バインティウ:薄い生地が、中の空いた殻にふくらむ
白ごまをまとった薄い円形の生地、180°Cの熱い油、そして軽い甘さ。生地は1枚ずつ3〜4mmに伸ばし、あとは油にまかせます。丸く色づいた殻になって、割ると中が空気でいっぱいです。
平たくて薄い、白ごま入りの生地が熱い油に滑り込みます。すぐにふくらみはじめ、表面が持ち上がって、やがて全体が金色の丸い枕のようになります。少し冷めてから割ってみると、中はほとんど空気で、まわりを薄い壁が囲んでいます。これがバインティウ(bánh tiêu)。やさしい甘さとごまの香りをもつ、ベトナムの揚げパンです。
このレシピは、製粉会社Interflour Vietnamが公開している卵入りのバインティウの配合に沿っています。同社は卵を入れた配合を更新版のレシピとして紹介しています。生地は40〜60gずつに分け、3〜4mmに伸ばして、180°Cで揚げます。中身も、こしょうも、練乳もバニラも入りません。小麦の生地に、少しの卵と砂糖、そしてごまだけです。
このレシピは、世界ごはん紀行ではまだ台所で試作していません。分量と手順は公開されている内容のとおりに書いています。お近くのスーパーで買える小麦粉を使うと、結果が違うかもしれません。
同じ国の料理は、ベトナムの料理ガイドでも紹介しています。
ごまと甘さと空気:バインティウとは
バインティウは、薄くふくらむ殻と、空洞の中心、ごまをちりばめた表面が特徴の丸い揚げパンです。VTCニュースの特集記事は、ベトナムのバインティウを、ごまをのせた親しまれている甘い揚げおやつで、こしょうは一切入っていないと説明しています。
家庭料理のレシピサイトThật Là Ngonは、バインティウを家で作るおやつとして紹介し、家族でお茶を飲みながら楽しむ様子を書いています。これは一つの家庭向けレシピが描く食卓であって、全国に共通する習慣や儀礼ではありません。それでも、熱い飲み物のそばに置く、軽くて甘いもの、という肩肘の張らない立ち位置は伝わってきます。
レシピは一つではありません。ここで使うInterflourの配合は卵入りで、更新版を名乗っています。Thật Là Ngonのレシピは別の配合で、生地に練乳、油、バニラが入ります。どちらかを伝統の唯一の定義と読むべきではなく、この記事では二つを混ぜていません。
名前の由来:伝わる話はあっても、定まった歴史ではありません
ベトナム語の tiêu は胡椒を思わせます。それなのに、多くの人が知るバインティウは、甘いごま付きの揚げパンです。VTCニュースの特集はまさにこの不思議を取り上げて、二つの説明を紹介しています。一つは、名前を中国系の移民のコミュニティと、胡椒入りのパンに結びつける説。もう一つは、ごまの粒が点々と散った見た目から名前がついたという民間の説明です。
この記事は、どちらの説についても歴史資料や学術研究を挙げていません。私たちも、裏付けになる専門的な研究は見つけられていません。そのため名前の由来は、複数の話が語られている未解決の問いとして読むのがよさそうです。胡椒入りのパンから今のバインティウへ直接つながる流れも、特定の移住の経路や時期も、確かな事実としては扱いません。
選び方と代用
- 小麦粉: まずは一般的な万能タイプの小麦粉から始めます。小麦粉は水の吸い方が銘柄で違うため、生地の手触りやふくらみ方が違う可能性があります。
- イースト: 甘い生地用として売られている、耐糖性(osmotolerant)のインスタントドライイーストを探します。近い選択肢であって、同じ結果を保証するものではありません。ふつうのインスタントイーストを使うと、発酵の進み方が変わるかもしれません。
- ベーキングパウダー: 使うのはベーキングパウダーです。重曹ではありません。
- 砂糖: 白砂糖かグラニュー糖が自然な選択です。甘さや溶け方は多少変わるかもしれません。
- 水: 熱湯は使いません。
- ごま: 表面にまぶすのは白ごまです。
- 打ち粉や生地への油などは加えない: 材料表にある生地の材料だけで作ります。
道具
- ボウル
- ボウルにかぶせる清潔な布またはラップ
- キッチンスケール
- めん棒と清潔な台(まな板)
- ごまを入れる浅い器
- 揚げ物用の深い鍋
- 油温計(揚げ油の温度を測るため)
- 長い菜箸か網じゃくし
- 網(バット用の網)またはキッチンペーパー
平ら、焦げる、ムラになるとき:確認すること
レシピ自体は失敗の原因を示していません。以下は確実な原因ではなく、確認するポイントとして読んでください。
| 困りごと | 確認すること | 調整のしかた |
|---|---|---|
| 円がふくらまない | 厚さ、油の温度、イースト、小麦粉 | 3〜4mmと180°Cを守る。イーストの状態を確かめる。お使いの小麦粉は水の吸い方が違うかもしれないことも念頭に置く |
| ふくらんで火が通る前に外側が濃く色づく | 油が180°Cを超えていないか | 温度計で確認し、火を弱める |
| 油の温度が下がって揚げ物が進まない | 一度に入れた枚数が多すぎないか | 一度に揚げる枚数を減らし、次の分の前に油が180°Cに戻るのを待つ |
| ごまが落ちる | ごまの付け方 | 10分休ませる前に、生地にしっかりごまをまぶす |
アレンジ:この配合とは混ぜません
この記事は、甘くてごまをまとった基本の形に絞っています。ほかの作り方もありますが、それぞれ別のレシピとして作り、この配合には混ぜないでください。
- 練乳入りのバージョン: Thật Là Ngonのような一部の家庭レシピは、練乳、油、バニラを使い、小麦粉、水、砂糖、イーストの量もまったく違います。別のレシピとして作り、その分量をここに持ち込まないでください。
- 卵なしのバージョン: ここで使う卵入りの配合は、公開元が更新版として紹介しています。ということは、卵なしのレシピも存在すると考えられます。ここから卵を抜くのではなく、卵なし専用のレシピを使ってください。
- 黒ごまや別の砂糖: 色、香り、甘さが変わります。ここでは試していません。
食べ方:揚げたてを、お茶と一緒に

具もたれも添えず、そのままいただきます。割ると空洞が見え、ごまの香りと軽い甘さがすぐに立ちます。Thật Là Ngonの家庭レシピは、家族でお茶と一緒に楽しむことを勧めています。控えめな甘さに合う食べ方です。
食感がいちばんよいのは揚げてすぐ、手で持てる熱さまで冷めたころです。お客様に出すときは、小麦、卵、ごまが入っていることをお伝えください。
よくある質問
なぜ中が空洞になるのですか?
バインティウは、ふくらむように作られた生地です。厚さ3〜4mmの薄い円が180°Cの油に出会うと、ふくらんで殻になります。VTCニュースも、薄さがふくらみに関わると書いていますが、その専門的な説明は専門資料の裏付けがないため、ここではそれ以上踏み込みません。
一回分で何個できますか?
レシピは一つあたりの重さを40〜60gとしていますが、個数は示していません。何個になるかは、一つずつの重さをどう決めるかで変わります。
片栗粉や米粉は使えますか?
このレシピは小麦粉を前提に作られています。それらに置き換えた配合の確認はないので、同じ仕上がりになるとは約束できません。
バインティウにこしょうは入りますか?
入りません。ここで作る甘いごまの揚げパンにこしょうは入っていません。名前から胡椒を連想するかもしれませんが、VTCニュースは名前の由来について複数の話を紹介していて、どれも確定していません。
残ったら保存できますか?
この記事で使った資料には、安全な保存期間や温め直しについて信頼できる情報が見つからなかったため、案内しません。バインティウは揚げたてに近いうちに食べるのがおすすめです。
小麦粉やイーストの銘柄は同じでなければいけませんか?
銘柄の指定はありません。この配合はベトナムの製粉会社が自社の万能粉と、糖分の多い生地向けドライイーストで作ったものです。国内の小麦粉と耐糖性イーストは妥当な代替ですが、水の吸い方や発酵の違いは試していません。














