バイン・トロイ|浮いて、沈んで、やがて浮いたままになる小さな白い団子
もち米生地のやわらかくなめらかな皮が、ひび割れなく、きび糖のひとかけを包んでいること。鍋から上げるのは、浮き上がってそのまま浮いていることを確かめてからです。
静かに泡立つ湯に、小さな白い団子を入れます。団子はいったん鍋底へ沈み、しばらくすると浮き上がり、また沈み、もう一度浮いて、ようやく水面にとどまります。ひとつひとつの中には、もち米生地で手包みした未精製きび糖のかけらがひとつ。これがベトナム北部の小さな甘いお菓子、バイン・トロイ(bánh trôi)です。trôi は「浮かぶ」という意味だと説明され、名前が鍋の中の団子の様子そのものと結びついています。
この記事で扱うのは北部の小さなタイプです。もち米粉に少量のうるち米粉を合わせた生地で、芯は塊状のきび糖(đường phên)。茹でて氷水で冷まし、炒り白ごまを添えます。レシピサイトによっては bánh trôi nước とも呼びますが、ここでは バイン・トロイ を主な名前にします。緑豆餡のバイン・チャイ(bánh chay)、生姜シロップで温かく食べる南部のチェー・チョイ・ヌオック(chè trôi nước)、バイン・トロイ・タウ(bánh trôi tàu)は別の料理なので、それぞれの餡やシロップはこのレシピに混ぜません。
作り方は、MM Bon Appétit が公開している1つのレシピに従います。ほかのレシピの分量や手順は混ぜていません。同ページの作者は、芯の砂糖は加熱でやわらかくなるものの完全には溶けず、少し歯ごたえが残ると書いています。
このレシピは世界ごはん紀行ではまだ試作していません。以下の分量と時間は公開レシピのとおりで、とくに仕上がりの個数は未確認です(よくある質問を参照してください)。
道具
- キッチンスケール
- 広めのボウル
- 泡立て器
- 混ぜるための箸またはスプーン
- 生地を休ませるときにかける清潔な布やふた
- 安定したまな板と、糖の塊を切る丈夫な小型包丁
- 乾いたフライパン(ごまが生の場合のみ)
- 大きな鍋
- 穴あきお玉
- 氷水用のボウル
- 盛りつけ用の皿
選び方と代用
đường phên がこの菓子の中心です。 未精製のきび糖の塊で、その風味と、加熱後もわずかに残る歯ごたえがバイン・トロイらしさの一部になっています。買い物では、似た品として panela を探せますが、形や硬さが違うことがあります。日本の黒糖のような色の濃い塊状のきび糖も代用の候補にはなりますが、同等とは確認できていません。芯のやわらかくなり方や風味に違いが出ると考えてください。パームシュガー(đường thốt nốt)は別のものでおすすめできないため、ここでは使いません。
2種類の米粉は区別してください。 生地をつくるのはもち米粉で、うるち米粉は少量の添えです。うるち米粉を片栗粉やコーンスターチに置き換えないでください。白玉粉など日本のほかのもち米加工品は、製粉や食感が同じとは確認できていません。使う場合は水の吸い方が変わると見て、追加の水を手の感触で調整してください。
ごまは炒り白ごまを使います。 生のごましかないときは、乾いたフライパンで香りが立つまで炒り、色づきすぎる前に止めます。
このレシピにはごまが含まれます。米粉や砂糖は、製造工程で他のアレルゲンが混入する可能性があるので、表示を確認してください。この情報は医学的な安全の保証ではありません。
うまくいかないとき|生地・継ぎ目・鍋の湯
| 状態 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 生地が粉っぽく、乾いた粉が残る | 水がまだ少し足りない | 追加の温水を、一度にではなく少しずつ加える |
| 生地がべたつく | 水が多すぎる | 水を足すのをやめ、生地を休ませる |
| 茹でている間に糖が漏れる | 乾いたひび割れや継ぎ目のゆるみ | 茹でる前にひびをなめらかにし、継ぎ目をしっかり閉じる |
| 団子が破れる、崩れる | 湯が強く沸きすぎている | 中弱火を保ち、団子が鍋の中で転がらないようにする |
| 中が生っぽい気がする | 最初に浮いたところで取り出した | 団子は浮いてもまた沈むことがある。浮いたままになるまで待つ |
Tuổi Trẻ の記事には、温水が生地づくりに向くという家庭の作り手の助言が載っています。冷水で練った米の生地は割れやすく、熱すぎる湯だとべたつくそうです。また、団子が浮いてからも強火にしないよう勧めています。これらは正確な温度ではなく家庭の知恵なので、やわらかく、なめらかで、べたつかないかどうかを手の感触で判断してください。
食べ方と残ったとき

このレシピのバイン・トロイは、水で冷ましたあと室温で食べ、トッピングは炒り白ごまだけです。シロップもココナッツも生姜も使いません。それらは次の節の、近い団子の世界のものです。
バイン・トロイを室温に置く時間、冷蔵、再加熱について、確認できた案内はありません。食べる分だけ作ってください。
近い米粉団子との違い|同じ生地の仲間でも、別の料理
名前が似ていて、どれも米粉の生地を使いますが、芯、大きさ、シロップ、出すときの温度が違うので、レシピを取り違えやすい料理です。MM Bon Appétit は次のように区別しています。
| 料理 | 芯と大きさ | 食べ方 |
|---|---|---|
| バイン・トロイ(北部) | 小さく、塊状のきび糖が芯 | 茹でて水で冷まし、ごまをのせる |
| バイン・チャイ(北部) | 大きめで、緑豆餡入り | とろみのある甘いシロップで |
| チェー・チョイ・ヌオック(南部) | 大きく、緑豆餡入り | 温かい生姜入りの砂糖シロップで |
| バイン・トロイ・タウ | 別系統の、より大きな団子 | 温かい生姜シロップで |
このレシピで作るのは、いちばん上のひとつだけです。ベトナムのほかの料理は ベトナム でどうぞ。
Tết Hàn Thực と、浮き沈みを詠んだ詩
バイン・トロイは、旧暦3月3日のTết Hàn Thực(寒食節)と深く結びついています。 ベトナム国営放送のVOVによると、この節日は中国から来たもので、ベトナムでは火を使わないという習慣は受け継がれませんでした。かわりに、バイン・トロイとバイン・チャイを祖先へ供える日になったそうです。VOVは学者のLê Quý Đônの記録を引いていますが、ここではVOVの紹介として書いており、記録そのものを直接確認したわけではありません。
ベトナムの新聞Tuổi Trẻは、研究者や家庭の証言を集めています。北部では家族が集まって団子を手作りし、供えるといいます。南部や中部では、習慣も供え物も異なります。全国のすべての家庭に共通する習慣ではありません。
この料理は、Hồ Xuân Hươngの詩「Bánh trôi」でも知られています。鍋の中で浮き沈みする丸く白い団子を、女性の境遇のたとえにした詩です。詩は文学上のイメージであって、この料理の由来を説明するものではありませんが、鍋の中で見られる浮き沈みと同じ光景を題材にしています。
よくある質問
バイン・トロイとバイン・チャイは同じものですか?
違います。どちらも米粉の生地を使い、Tết Hàn Thực にも登場しますが、バイン・トロイは小さくてきび糖が芯で、水で冷まして食べます。バイン・チャイは大きめで、緑豆餡が入り、とろみのある甘いシロップで食べます。
đường phên が手に入らないときは、ほかの砂糖でもいいですか?
MM Bon Appétit が似た品として挙げる panela や、色の濃い塊状のきび糖が候補になりますが、同じとは確認できていません。形、硬さ、芯のやわらかくなり方、風味が変わることがあります。レシピの作者は、パームシュガーはすすめていません。
浮いたらすぐ茹で上がりですか?
そうとは限りません。団子は浮いて、また沈むことが何度かあります。このレシピは20〜25分を目安にして、「水面に浮いたままになる」ことを茹で上がりのしるしとしています。レシピカードの調理時間は20分、本文の手順は20〜25分と書かれていて差があるので、最終的には浮いたままかどうかで確認してください。
何個できますか?
MM Bon Appétit のレシピカードの収量は30個で、生地は1個15gです。ただし、15gという分け方、30個という数、粉や水の量は、きれいに合わないかもしれません。75gの糖から1 cm角が何片取れるかも、切り方次第です。このレシピは試作前のため、実際の個数は未確認です。
追加の水は全部入れる必要がありますか?
いいえ。少しずつ加え、乾いた粉がなくなって生地がまとまったら止めます。レシピの作者は、最大20gのうち17gを使っていますが、必要な量は粉によって変わることがあります。
Tết Hàn Thực は火を使わない日ですか?
中国での節日の起源は、火を避けることと結びついています。ただしVOVによると、ベトナムでは普段どおり調理をして、バイン・トロイとバイン・チャイを祖先に供えます。
分量が違う別のレシピもありますか?
あります。world.food など、ほかの公開レシピでは割合や時間が違います。この記事は1つのレシピに従い、混ぜていません。














