Canh khoai mỡ:とろみを自分でつくる紫のスープ
ヤムだけで口当たりがなめらかになった、自然な紫色のスープ。全体に散る小さくやわらかい海老。最後に加えるみずみずしい緑の香草。生クリームも小麦粉もコーンスターチも使いません。
ベトナム料理のレシピを書いているVicky Phamは、canh khoai mỡを、蒸したご飯やほかのたんぱく質のおかずと並べて、家族で分け合う食卓に出るスープとして紹介しています。器の中の色は見間違えようがありません。にごった紫色にとろみがつき、刻んだ海老と、刻んだ香草の鮮やかな緑が散っています。
Canhは、ベトナムの日常の汁物を指す呼び名で、khoai mỡはこのスープに色と厚みを与えるヤムのことです。canh khoai tímとも呼ばれます。MM Bon Appétitのレシピが指摘するとおり、ベトナム料理では紫ヤムを塩味の料理に使います。このスープでは、乳製品なしでとろりとなめらかな舌ざわりが生まれます。
この記事が従うのは、MM Bon Appétitの4人分、冷凍すりおろしヤムと新鮮な海老を刻んで使う1つのレシピです。分量と順序は、ほかの版と混ぜずにまとめて守っています。世界ごはん紀行では、このレシピを台所で試作していません。分量と手順は、そのレシピの記載どおりに紹介しています。同じ食卓の料理をほかにも知りたい方は、ベトナムのページもご覧ください。
とろみはどこから来るのか:働いているのはヤム
このスープのとろみは、すべてヤムから生まれます。 ヤムを細かくすりおろし、だしの中で煮ることで、でんぷんと繊維が汁全体に広がります。Vicky Phamも、すりおろした(またはスプーンで削った)ヤムが汁にとろみを与えると説明しています。材料表にとろみ付けの材料がないのはそのためで、どのヤムを買うかが何より大事になります。
khoai mỡは、ヤムの一種Dioscorea alata L.のベトナム名です。ベトナム農業科学院(Vietnam Academy of Agricultural Sciences)の学術誌に載った研究は、このヤムをD. alataと同定し、khoai mỡの別名としてkhoai vạc、củ mỡ、củ cáiを記録しています。ベトナム北部の各地で農家が維持している在来のヤム品種についても報告しています。Kew(王立植物園)のPlants of the World Onlineは、D. alataを、ベトナムを含む熱帯アジア原産の種として認めています。ベトナムの根菜・いも類を調べた研究は、D. alataをサツマイモ(Ipomoea batatas)やタロイモ(Colocasia esculenta)とは別に挙げ、その系統を食用として記録しています。
この植物としての区別は、台所でもそのまま大切な区別になります。MM Bon Appétitのレシピは紫ヤムを指定し、紫サツマイモではないとはっきり述べています。紫サツマイモもタロイモも別の植物で、このスープと同じ食感にはなりません。
どこの料理か、台所ごとに何が変わるか
レシピ作者のあいだでも、地域の見方は一致していません。Delightful PlateのSophie Phamは南部ベトナムのスープと呼び、別のレシピ作者は中部ベトナムのスープとしています。そのためこの記事では、単にベトナムのスープと呼びます。
家庭ごとに変わるのは、たんぱく質と食感です。MM Bon Appétitのレシピは、新鮮な海老を刻んだもの、豚ひき肉、干しえび、リブレット、鶏肉を別々の版として挙げています。Vicky Phamは、海老、干しえび、豚ひき肉で作ることが多いと書いています。Sophie Phamは、なめらかなスープにする家庭と、具の粒を残してざっくり仕上げる家庭があると書いています。以下の版で使うのは、新鮮な海老を刻んだものだけです。
この料理に使える食材・調味料
選び方と代用
- ヤム: khoai mỡ、または紫ヤムと表示された冷凍すりおろしを探してください。タロイモ、紫サツマイモ、ウベ風味の粉末では代用しないでください。別の食材なので、同じ仕上がりにはなりません。
- 冷凍の代わりに生のヤム: 丸ごとの生のヤムも使えます。4人分でおよそ500 gです。とろみが強くなり、水を多めに足す必要が出ることもあるため、水は様子を見ながら少しずつ加えてください。くわしくは「よくある質問」をご覧ください。
- 香草: ngò gaiもngò omも見つからなければ、青ねぎを多めに使います。
- ブイヨン: 顆粒を使ってください。粉末のブイヨンはかさ密度も塩分も違うことがあるので、小さじ2の顆粒と同じ量を粉末で入れてはいけません。
- 塩と砂糖: どちらも加えません。味付けは魚醤とブイヨンで行います。
道具
- 水1.5 Lとヤムが入り、混ぜる余裕がある大きさのスープ鍋
- 海老を刻む切れ味のよい包丁、またはフードプロセッサー
- 海老を冷蔵庫でマリネするための、蓋つきの小さなボウル
- 鍋底をこそげられる木べらやへら
- 泡を除くためのスプーンか小さなこし網
- おたまとスープ用の器
- 使える場合は、すぐ測れる温度計
新鮮な海老は使うまで冷蔵庫に入れておき、マリネも台所のカウンターではなく冷蔵庫で行ってください。生の魚介は、そのまま食べる食品から離しておきます。生の海老に触れた包丁、まな板、ボウル、作業台は、ほかのものに使う前に洗ってください。海老は、身が固く、真珠のような色で不透明になるまで加熱します。色だけで判断しないでください。多くの魚介は145°Fまで加熱するのが目安で、プローブを差し込める場合は温度計で確かめてください。
うまくいかないとき
| 状態 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| スープが濃すぎる | ヤムからでんぷんが多く出た、または生のヤムを使った | 水を少しずつ足して混ぜ、好みの流れ方になるまで調える |
| ヤムが鍋底に張りつく | 煮ている間の混ぜ方が足りない | 時々、鍋底をこそげながら混ぜる |
| 海老が大きなかたまりになっている | 炒めるときにかたまりをほぐさなかった | 手順1で海老を細かく刻み、手順3で木べらでほぐす |
| 水が煮立つ前にヤムを入れてしまった | 手順の順序 | 鍋を煮立たせて手順5から続ける。次回は煮立つのを待ってから入れる |
| 味がぼやける | 最後の味付けが足りない | 魚醤を少しずつ足し、足すたびに味を見る |
| 香草がくすんでしおれている | 入れるのが早すぎた | 最後に火を止めるときに入れ、各器にも新しい香草を散らす |
同じ料理のなかのバリエーション
- 冷凍の代わりに生のヤム: 4人分で丸ごとの生ヤムを約500 g。煮上がりが濃くなるので、水は必要に応じて多めに足します。
- 香草: ngò gaiとngò omは、両方でも片方だけでも使えます。どちらも手に入らなければ、青ねぎを増やして代わりにします。
- 食感: なめらかなスープにする家庭と、粒の残るざっくりした仕上がりにする家庭があります。ここで使う冷凍すりおろしヤムは、そのなかでもなめらかなほうの仕上がりになります。
- たんぱく質: 新鮮な海老の代わりに、豚ひき肉、干しえび、リブレット、鶏肉で作る版もあります。それぞれ別のレシピで、分量も時間も別になるため、この版ではそれらの分量を調整せず、海老だけで作ります。
よくある質問
ヤムの代わりに紫サツマイモ、タロイモ、ウベの粉末を使えますか?
使えません。紫ヤム(Dioscorea alata)は紫サツマイモやタロイモとは別の植物で、MM Bon Appétitのレシピも、紫ヤムは紫サツマイモではないと明言しています。このスープのとろみはヤムそのものから生まれるため、代用品では同じ厚みや風味になりません。ウベ風味の粉末は、そもそも野菜ではありません。
冷凍のすりおろしヤムの代わりに生のヤムを使えますか?
使えます。MM Bon Appétitのレシピは丸ごとの生ヤムを認めていて、4人分で約500 gを目安にしています。煮る時間の目安は15〜20分で、冷凍すりおろしヤムの約10分より長くなります。また、生のヤムだととろみが強くなり水を追加する必要があるとも書かれていますが、水の量は決まっていないので、様子を見て足してください。生のヤムを扱うレシピ作者の中には、皮が肌を刺激することがあるため、皮をむくときは手袋をするよう勧める人もいます。
冷凍ヤムは解凍後に水切りが必要ですか?
必要ありません。解凍して、そのまま鍋に入れます。
粉末のブイヨンしかありません。どのくらい使えばよいですか?
このレシピの小さじ2は、顆粒での計量です。粉末のブイヨンはかさ密度も塩分も違うことがあり、決まった換算はありません。少しずつ加えて味を見ながら、小さじ2分まで入れるかどうかを決めてください。
海老に火が通ったかどうかは、どう見分けますか?
身が固く、真珠のような色で不透明になっているかを見ますが、色だけに頼らないでください。FDA(米国食品医薬品局)は、多くの魚介を145°Fまで加熱するよう勧めています。海老にプローブを差し込めるなら、温度計を使ってください。
このスープはベトナムのどの地方のものですか?
レシピ作者によって、呼び方が違います。Delightful Plateは南部ベトナムのスープとし、別の作者は中部ベトナムのスープとしています。どちらかに決めず、この記事ではベトナムの家庭のスープとして紹介しています。
何を添えて食べますか?
ベトナムのレシピ作者は、蒸したご飯と一緒に、ほかのおかずと並べる家族の食事の一品として紹介しています。いちばん簡単なのは、別の小鉢に温かい白ご飯を添える食べ方です。
















