チェー・チョイ・ヌオック:温かいしょうがシロップに浮かぶ、やわらかなもち米団子
緑豆の餡を中にしっかり閉じ込めたなめらかなもち米団子。澄んだしょうがと椰子糖のシロップ。最後にスプーンで添える、別仕立てのパンダンココナッツクリーム。それぞれを別々に作り、器の中ではじめて一つにします。
レシピサイト Wok & Kin を書いているJeannetteは、チェー・チョイ・ヌオックを祖母につながる家族のレシピとして紹介しています。その説明によると、Jeannetteの家では旧正月のTết(テト)のころにこの甘味を作って食べ、三〜五個ずつ入れた小さな鉢を祖先への供え物として並べ、ふだんの季節にも楽しんでいるそうです。ベトナムのすべての家庭に共通する決まりではなく、一つの家族の食卓の話ですが、このレシピが生まれた場面です。
この甘味は四つの部分でできています。もち米粉と水だけで作るシンプルな生地で、油と少量の砂糖で炒めた緑豆餡を包みます。団子は真水で浮くまでゆで、冷水で冷まし、椰子糖を軽くたたいたしょうがと煮たシロップに入れます。結んだパンダンの葉で香りを移したココナッツクリームの小鍋と、軽く煎った白ごまで仕上げます。Jeannetteは、パンダンがココナッツクリームにほのかな香りを、椰子糖がシロップに深い甘みを与えると書き、温かいうちに食べることを勧めています。
ここで紹介する分量と作り方は、Jeannetteが公開しているレシピに沿っています。世界ごはん紀行編集部では、このレシピを台所で試作していません。
南部のチェー・チョイ・ヌオックと北部のバインチャイ
中に具を詰めたもち米団子の呼び名は、ベトナムの中でも地域によって変わります。ここで参照した資料のどれも、全国の呼び方を一つに決めてはいません。レシピサイト MM Bon Appétit を書いているMaiは、砂糖を詰めた自作のバインチョイ(bánh trôi)を北部ベトナムの版と呼んでいます。そのうえで、緑豆餡を入れた似た甘味を南部ではチェー・チョイ・ヌオックと呼び、北部ではそれをバインチャイ(bánh chay)と呼ぶと説明しています。あくまで一人の書き手による比較なので、呼び名の地図として固定せず、目安として読むのがよいでしょう。
北部側では、バインチャイが寒食節ハンティック(Hàn Thực)の文脈で紹介されています。この祭りを伝えるVietnamNet Globalの記事は、バインチョイを黒砂糖を包んだもち米の生地で皿に盛るもの、バインチャイを緑豆入りのもち米団子で甘い汁の入った器に盛るものとして説明し、汁の材料にタピオカ粉(cassava powder)、水、砂糖を挙げています。Cúc NguyễnによるCookbeoのハンティックのバインチャイのレシピは、砂糖水をタピオカでんぷんでとろみづけし、取り分けた緑豆とバニラで仕上げる作り方で、しょうがシロップもパンダンココナッツクリームも出てきません。
この記事のレシピは、それとは別の組み立てです。Wok & Kinのページ自体は、このレシピの地域を明記していません。世界ごはん紀行では、緑豆餡、しょうがと椰子糖のシロップ、別添えのパンダンココナッツクリームという構成から、Maiの比較に沿って南部風のチェー・チョイ・ヌオックとして紹介しています。唯一の南部のレシピではなく、でんぷんでとろみをつけた北部の汁物の代わりになるものでもありません。「中に緑豆の入ったもち米団子」という共通点があっても、二つの配合は同じではありません。
ほかのベトナム料理は、世界ごはん紀行のベトナム料理からご覧いただけます。
この料理に使える食材・調味料
道具
- 蓋つきのボウル(生地用)
- 緑豆を煮る鍋
- フードプロセッサー
- 餡を炒めるフライパン
- 餡の玉を冷やすための皿またはバット
- 団子をゆでる大きな鍋
- 穴あきお玉
- 団子を冷ます冷水のボウル
- しょうがシロップ用の小鍋
- パンダンココナッツクリーム用の小鍋
- ごまを煎る小さなフライパン
選び方と代用
生地はもち米粉と水だけです。普通の米粉ではなく、もち米粉を使ってください。ほかの種類の粉では同じ仕上がりにならないので、置き換えたり、普通の米粉を混ぜたりしないでください。「もち米粉」と表示された袋を探します。
緑豆は、すでに皮をむいて割ってあるものを選ぶと、下ごしらえの手間が省けます。この形のものを名前で探してください。
椰子糖はシロップに深い甘みを与えます。白砂糖にすると味が変わるので、このレシピでは椰子糖のままにします。
トッピングは、ココナッツミルクではなくココナッツクリームです。クリームはシロップに混ぜず、別の小鍋で仕上げます。パンダンの葉は生を1枚、結び目を作って使い、クリームに香りを移します。
生地や餡がうまくいかないとき
| 見た目の状態 | 対処 |
|---|---|
| 休ませた生地を再びこねると、乾いている | 水を大さじ1ずつ加え、そのつどこねて、なめらかになるまで続ける |
| 餡がフライパンの中でゆるいまま | 油と砂糖と一緒に、ペーストが一つの塊にまとまるまで混ぜ続ける |
| 餡がやわらかすぎて、きれいに包めない | 餡の玉を冷蔵庫に戻し、固くなるまで冷やす |
| 団子がまだ浮いてこない | 浮いてくるまで、そのまま沸騰した湯の中に置く |
| 冷ましているボウルの中で団子がくっつく | 水を替えて冷たさを保ち、触って冷たくなったら水を切る |
| 生地から餡が透けて見える | ゆでる前に、生地を餡のまわりに完全に回し、綴じ目をつまんで閉じ、表面を整える |
同じレシピの中でのバリエーション
- 一晩寝かせる生地。 生地は最低30分の代わりに、一晩休ませてもかまいません。変わるのは休ませる時間だけで、生地はもち米粉と水のままです。
- 餡に細ねぎ。 家庭によっては、細ねぎ(頭の部分)の薄切りを緑豆餡に加えることがあるそうです。この配合では入れません。
- シロップに白砂糖。 手元にあれば、椰子糖の代わりに普通の白砂糖を使う方法もあるそうです。ただし、椰子糖ならではの深い甘みは弱くなります。
- 供え物の小鉢。 冒頭で触れた家庭では、Tếtに三〜五個ずつ入れた小鉢を祖先に供えます。これはその家庭の盛りつけの話で、このレシピの収量や決まった一人分ではありません。
- 温かく、または熱く。 このレシピは、温かいまたは熱い状態で食べることを勧めており、作り方もそのように仕上げます。
よくある質問
生地にイーストは必要ですか?
いいえ。Wok & Kinのレシピにイーストは入っていません。レシピカードでは生地を冷やす時間を「rising(発酵)」の時間と呼んでいますが、ここでは実際の作業どおり、粉と水の生地を冷蔵庫で最低30分、または一晩休ませる工程として扱います。
ほかの粉でも作れますか?
Jeannetteは、もち米粉をほかの種類の粉に置き換えないよう書いています。このレシピでは、普通の米粉も混ぜません。
団子は何個できますか?
レシピカードには10人分とありますが、団子の個数も一個あたりの重さも書かれていないので、ここでも示しません。生地と餡をどう分けるかで、できる数は変わります。
どのくらい時間がかかりますか?
Wok & Kinのカードには、準備1時間、加熱30分、生地を休ませる30分、合計2時間と表示されています。ただし作り方では、豆を完全に冷ますことと、餡の玉を固くなるまで冷やすことも求められています。この二つには時間が示されていないため、2時間という数字は保証できません。生地を一晩休ませる場合は、作業が夜をまたぎます。
北部のバインチャイと同じものですか?
ここで作る形では、同じではありません。MM Bon AppétitのMaiは、南部のチェー・チョイ・ヌオックと北部のバインチャイを、緑豆餡を入れた近い関係の甘味として説明しています。CookbeoのハンティックのバインチャイのレシピはCúc Nguyễnによるもので、団子をタピオカでんぷんでとろみをつけた砂糖の汁に入れ、緑豆とバニラで仕上げます。VietnamNetの記事も、バインチャイの汁の材料にタピオカ粉、水、砂糖を挙げています。このレシピは、しょうがと椰子糖のシロップと、別添えのパンダンココナッツクリームを使う点が違います。
シロップを白砂糖で作ってもよいですか?
Jeannetteは白砂糖を代わりに使えると触れていますが、椰子糖のほうが深い甘みになると書いています。このレシピでは椰子糖のままにしており、白砂糖を使う場合の分量は示していません。























