ラタトゥイユ — 夏野菜が一つの鍋で、それぞれの姿のまま煮える
色づけないにんにく、柔らかく甘くなった玉ねぎ、輪郭が残る粗めの切り方、そして最後に加えるトマト。仕上がりは決まった時間ではなく、ほしい食感で判断します。
なす、ズッキーニ、ピーマン、トマトをひとつの鍋に集めると、つい全部を同じ柔らかさまで煮込みたくなります。ラタトゥイユが求めるのは、少し違う判断です。野菜は粗めに切り、順番に鍋へ入れていきます。ひとつの煮汁を分け合いながらも、皿の上ではそれぞれの野菜が見分けられるように仕上げるのです。
ラタトゥイユは、南フランスのプロヴァンス、とくにニースと結びつけて語られる野菜の煮込みです。この記事のレシピは、James Beard Foundation が掲載している James Beard 版に沿った、6人分の一鍋仕立てです。オリーブ油でにんにくと玉ねぎをやさしく炒め、ほかの野菜を加えて強めの火で約10分炒め、トマトは最後に入れます。
映画でよく知られている、薄切り野菜を渦巻きのように重ねた料理を思い浮かべた方もいるでしょう。あの重ね焼きはコンフィ・ビャルディ(confit byaldi)で、National Geographic は標準の作り方ではなく変化形として説明しています。これから作るのは、その手前にある素朴で粗めの煮込みです。
道具
- 大きくて厚手の鍋(このレシピではふたを使いません)
- 木べらまたは木のへら
- 計量カップ(240mlのもの)と計量スプーン
- 包丁とまな板
- トマトの皮をむくための、熱湯を沸かす小鍋と冷水のボウル
ピーマン、トマト、バジル、塩の選び方
ピーマン。 緑か赤を選べます。緑は甘さが控えめで、赤は甘みと色が加わります。どちらにしても合計は1 1/2カップで、両方を1 1/2カップずつ入れることはしません。
トマト。 生のトマトは皮をむいて種を除く手間がかかります。急ぐときは、粗く刻んだ缶詰のイタリアン・プラム・トマトを、同じ1 1/2カップで使えます。缶詰は塩分も汁気も製品によって違うので、表示を見て、塩は味見しながら調整してください。お住まいの地域で売っているカットトマト缶が、プラム・トマトと同じ商品とは限りません。
バジル。 生のバジルが手に入らなければ、乾燥バジル小さじ2を使います。香りは変わります。生と乾燥の両方を入れることはしません。
なす。 細長いなすなど別の品種も、容量をそろえれば使えます。品種によって柔らかくなる速さが違うので、火の通り具合を見てください。
塩。 塩は大さじ1です。細かい塩と粗い塩では大さじ1に入る量が違うため、使う塩によって味が変わることがあります。塩を控えたいときは少なめから始めて味見をします。
タバスコや缶詰のトマトなど市販品は、製品によって原材料や交差接触の可能性が異なるので、表示を確認してください。添えるバゲットには小麦が、添える卵料理には卵が含まれます。パンのほかのアレルゲンも表示で確かめ、卵は十分に加熱してください。
食べ方 — まず食感で、次に温度で選ぶ

James Beard のレシピは、ラタトゥイユを付け合わせ、前菜、あるいは一食の料理として出すことを挙げています。同じページには、パンにチーズをのせた主菜のアイデアもありますが、それは煮込みの配合に含まれない別の仕立てです。National Geographic は、ラタトゥイユは温かくても、常温でも、冷たくても食べられ、卵と合わせることもあると伝えています。
パンや卵と一緒に出すなら、別の添えものとして扱ってください。卵は別に、十分に加熱します。煮込み本体は、上に書いたとおりのままです。
水っぽい、苦い、油っぽい — 鍋の中で直す
| 状態 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| なすとズッキーニが水っぽくなる | 混ぜにくい鍋に野菜を詰め込みすぎた | 混ぜやすい大きな鍋を使う。トマトを入れたあと、煮汁を飛ばして最後の濃度を調整する |
| にんにくが苦い | にんにくが焦げた | 次回は火を弱く保ち、色づく前に鍋の端へ寄せる |
| なすが油を吸ってしまう | なすは油を吸いやすい | 元のレシピの油は合計1/2 cup。足すより、火加減と鍋底を見て調整する。油を足すのは元のレシピからの変更 |
| 10分の炒めの途中で野菜が張りつく | 火が強すぎる、混ぜ方が足りない | 火を弱めて混ぜ続ける。この段階では水を足さない |
| トマトのあとで乾きすぎる | 煮汁が飛んだ | 元のレシピが仕上げで認めているとおり、水、トマトジュース、ブロスのどれかを少量足す |
| 缶詰のトマトで塩辛くなる | 缶詰自体の塩分 | 次回は表示を確認し、レシピの塩を慎重に加える |
作り方のバリエーション — ほかの料理人たちのラタトゥイユ
ラタトゥイユは、家庭によっても料理人によっても違います。以下は仕上がりが変わる選択肢で、どれが「本物」かを決める順位ではありません。
- 野菜を別々に炒める。 National Geographic は、ニース出身の料理人 Sophie Agrofoglio が野菜を別々に火を通し、最後にふたをせず静かに合わせて煮て、余分な水分を出さないようにしていると紹介しています。野菜ごとの食感を出しやすい一方で、鍋の数も手間も増えます。上のレシピは、一鍋で作る方式です。
- 小さめに切る。 同じ記事は、シェフの Anne-Sophie Pic が、加熱を短くして食感を保つ狙いで小さめに切ることを好むと説明しています。ここで使う粗切りとは違う仕上がりになります。
- 生トマトか缶詰か。 生のトマトは皮をむき、種を除きます。汁気が多いと、煮詰めるのに時間がかかることがあります。缶詰のイタリアン・プラム・トマトは元のレシピが認めていて手軽ですが、塩分と汁気を確かめてください。National Geographic に出てくる缶詰を避ける考え方は、ある料理人の見解であって、誰にでも当てはまる決まりではありません。
- 辛味の有無。 カイエンペッパーやタバスコは元のレシピでは任意で、この料理に欠かせないものではありません。
映画の料理とは別もの — ラタトゥイユとコンフィ・ビャルディ

ズッキーニ、なす、トマトの薄い輪切りを重ねて渦巻きのように並べた料理を、「ラタトゥイユ」として思い浮かべる人は多いでしょう。National Geographic は、この重ね焼きをコンフィ・ビャルディとして、標準的な作り方ではなく変化形だと説明しています。この記事のレシピは粗切りの煮込みで、野菜を順に鍋へ入れて一緒に火を通します。
プロヴァンスとニース、そして名前のこと
ラタトゥイユは、プロヴァンスの野菜畑と結びついた料理です。ニース市の学校給食サービスのページは、ratatouille という言葉をオック語の ratatolha と結びつけて説明し、なす、ズッキーニ、トマトなど手に入りやすい庭の野菜を、にんにくで味つけした料理だと紹介しています。これは地元の機関による説明で、語源についての定まった結論ではありません。
National Geographic は、歴史を別の角度から報じています。この名前の最初の記録は1831年の軍事誌にあり、1903年のニースの料理書にも言及がある、というのです。記事は、今私たちが知るラタトゥイユは、何世紀も続いた料理という通説よりも新しく、決まりごとも少ないのではないかと示唆しています。資料によって説明している部分が違うので、一つの起源物語にまとめないほうがよいでしょう。
ラタトゥイユは、南フランスの夏野菜が熟す季節と結びつけて語られることが多く、そのイメージは野菜を選ぶときの手がかりになります。National Geographic は、ほかの南欧の野菜料理との似た面にも触れています。たとえばスペインのピスト(pisto)や、イタリアのカポナータは別の料理です。南フランスのほかの料理はブイヤベースを、この国の料理をもっと知りたいときはフランスのページをどうぞ。
よくある質問
ラタトゥイユにはどの野菜が必要ですか?
ここで使った James Beard のレシピは、玉ねぎ、にんにく、緑または赤のピーマン、なす、ズッキーニ、トマトに、オリーブ油、塩、黒こしょう、バジル、任意のカイエンペッパーまたはタバスコを使います。ラタトゥイユは地域や家庭によって違うため、ほかの組み合わせもありますが、このレシピが従っているのは上の配合です。
野菜は別々に火を通すべきですか?
どちらの方法もあります。National Geographic が伝えるように、野菜を一つずつ火を通して最後に合わせるニースの料理人もいます。このレシピは、野菜を順に加えていく James Beard の一鍋方式です。どちらか一方だけが正しいわけではありません。
作り置きはできますか?
このレシピの資料では保存についてふれられていないため、保存の日数や温度はここでは案内しません。冷まし方、保存、温め直しについては、お住まいの地域の食品安全当局の案内に従ってください。
映画に出てくる料理と同じですか?
違います。薄切りを重ねた料理はコンフィ・ビャルディで、National Geographic は変化形だと説明しています。ここで紹介したのは、粗切りの煮込みです。
温かくても冷たくてもいいですか?
どちらでも大丈夫です。National Geographic は、ラタトゥイユは温かくても、常温でも、冷たくても食べられると伝えています。James Beard のレシピは、付け合わせ、前菜、一食の料理として出すことを挙げています。














