日曜の食卓で、牛肉の渦巻きがほどける
薄切りの牛肉で、マスタード、ベーコン、玉ねぎ、酸味のある小さなピクルスを巻き、焼き色をつけてから蓋をして煮込みます。串がすっと通るまで煮て、ソースは同じ鍋からつくります。
フランケン地方では、ルーラーデ(Rouladen)は日曜や祝日の食事でおなじみの料理として、家庭の食卓にも地域のレストランにも並びます。手間と時間のかかる料理です。牛肉をたたいて薄くのばし、具を重ねて巻き、焼き色をつけてから、根菜と赤ワインとともにゆっくり煮込みます。食卓で切り分けると、断面の真ん中にベーコンと玉ねぎとピクルスの渦巻きが現れ、そこへ濃い色のソースが流れ込みます。
Rinderroulade(複数形はRinderrouladen)は、この巻き料理の牛肉版です。この記事では、ドイツの料理雑誌essen & trinkenに載っている定番の4人分レシピを最初から最後まで追い、フランケンとザクセンの地域の例も並べて紹介します。家庭で作るときにつまずきやすいのは、十分に大きい牛肉を手に入れること、ほどけないように巻くこと、そして煮込みの終わりを見極めることの3点です。それぞれ、以下の節で順に取り上げます。
ルーラーデとは何か、巻く料理の名前と古い記録
Rinderrouladeは、具を詰めて巻き、煮込んだ牛肉料理です。 フランケン地方の団体Genussregion Oberfrankenは、Rouladeという言葉をフランス語のrouler(巻く)と結びつけています。「Rind」は牛肉のことで、肉ではなくキャベツの葉で包むドイツ式ロールキャベツのKohlroulade(コールルーラーデ)とは、ここで区別されます。
同じフランケンの資料は、早い時期の文献記録として、1733年のJohann Albrecht Grunauerの料理書に載る「Rollade」を挙げています。牛肉にベーコン、ゆでた牛タン、ピスタチオを詰めてワインソースで煮るもので、現在よく見る詰め物とはかなり違います。資料自身が、その後この料理がどう発展したかは記録されていないと述べています。そのため1733年のレシピは、現代のルーラーデの直接の祖先と見るのではなく、古い記録をのぞき見る小窓として受け取るのがよいでしょう。
ドイツ語のRinderroulade(牛肉の巻き)とKohlroulade(キャベツ巻き)は、名前の頭の部分だけが違います。ルーラーデという言葉は「巻いたもの」を指すので、何で巻くか、何を巻くかで料理が分かれます。
フランケンとザクセンに見る、家庭と地域の違い
詰め物は家庭ごとに違います。フランケンで今日の定番として紹介されている詰め物は、ベーコン、玉ねぎ、酸味のあるきゅうりのピクルスで、団子と赤キャベツを添えて食べます。
ザクセン州の観光局は、クリムミッツシャウ(Crimmitschau)のレストランSchloßbräuの一皿を紹介しています。バウツェンのマスタード(Bautzener Senf)、きゅうり、玉ねぎ、燻製ベーコンを使い、かぼちゃ入りのポテトパンケーキ、Kürbisklitscher(キュルビスクリッチャー)を添える提案です。これは一軒のレストランの一例で、ザクセン全体やドイツ全体の決まりではありません。
この記事では、これらの配合を混ぜずに、essen & trinkenの1つのレシピの分量と手順で通します。中に入れるのは中辛マスタード、ベーコン、白玉ねぎ、コルニッション。ソースは赤ワインに、にんじん、根セロリ、ポロねぎ、玉ねぎを合わせます。ほかのドイツ料理も見てみたい方は、ドイツ料理のレシピ一覧もご覧ください。
牛肉、ピクルス、ベーコン、でんぷんの選び方
牛肉は、大きくて薄いものが必要です。 essen & trinkenは、向いている部位としてOberschale(もも肉の内側にあたる部位、topside)を挙げ、Unterschale(silverside)やHüfte(rump)も使えるとしています。ふつうの薄切り肉は、具を包むには幅が足りないことが多いので、精肉店で「巻いて煮込むための、大きくて薄い牛肉」と相談してみてください。小さい肉を重ねて大きさを補う場合は、元の部位を1枚で使うのとは仕上がりが少し変わります。レシピは具体的な厚さを指定していません。破れずに巻ける程度まで、肉をのばします。
コルニッションは、酸味のある小さなピクルスです。 甘いピクルスを使うと、詰め物の酸味も甘みも変わるので、できれば酸っぱいタイプを選んでください。
ベーコンは製品によって違います。 燻製の香りも塩気も差があり、あとで加える塩の量に響きます。ソースは味見をしてから塩を足します。
マスタードは、レシピが中辛を指定しています。 ほかのマスタードに替えると、辛さと酸味が変わります。
でんぷんは、ドイツ語の原文ではSpeisestärkeです。 食用でんぷん全般を指す言葉で、原料までは書かれていません。この記事のレシピではコーンスターチを選びました。じゃがいもでんぷん(日本の片栗粉もこの仲間)は別の製品で、同じ量で同じとろみや質感になるとは限りません。
ソース用の野菜にも注意があります。根セロリ(celeriac)は、茎のセロリとは別の野菜です。見つからずに省くとレシピからの変更になり、ソースの香りが変わります。ポロねぎを別の種類のねぎに替える場合も同じです。
道具
- ラップと肉たたき:牛肉をのばすため
- まな板と包丁:生肉用は、ほかの食材と分けておく
- ルーラーデ用ピン(Rouladennadeln)またはたこ糸:巻いた肉を留める
- 蓋付きの、オーブンに入れられる厚手の鍋:蓋と取っ手も180°Cに耐えるか確認してください
- ざると、野菜を押しつぶすスプーン
- 串:柔らかさの確認用
硬い、ほどける、ソースがゆるい、そんなときの対処
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 巻きがほどける | 具を端まで置いた、両脇を折っていない | 具は広い端に寄せ、長辺を折ってから巻き、合わせ目を留める |
| 焼き色が薄い | 鍋が混み合っている | 鍋の大きさに応じて、数回に分けて焼く |
| ソースが苦い | 鍋底の焼き付きが焦げた | 肉に色がつき、鍋が黒くならない火加減で焼く |
| 90〜120分煮ても肉が固い | 煮込み不足(essen & trinkenが挙げる主な原因) | 蓋をしたまま煮込みを続け、串で確かめる。時間の幅は目安で、上限ではない |
| 長く煮て液体が減ってきた | 煮込み時間が長い | 肉を返すときや時間を延ばすときに、鍋の中の液量を確認する |
| ソースが濃すぎる | 煮詰めすぎ、またはでんぷんが多い | でんぷんは冷水で溶いて、一度に入れず少しずつ加える |
| ソースがゆるい | 煮詰めが足りない | でんぷんを入れる前に少し長く煮てから、必要に応じてとろみをつける |
保存と温め直し
essen & trinkenによると、できあがったルーラーデは、ソースと一緒に密閉容器に入れて、冷蔵で2〜3日、冷凍で最長3か月保存できる目安です。これは掲載媒体の目安で、家庭の状況によって変わるため、保証ではありません。
日本の厚生労働省の家庭向けの一般的な案内では、残ったものは浅い容器に小分けして早く冷ましてから冷蔵し、温め直すときは75°C以上にします(スープなど液体は沸騰するまで)。冷凍したルーラーデは冷蔵庫で解凍し、ソースと一緒に鍋で全体が十分に熱くなるまで温めてください。
家庭の好みで変える5つの食卓
最初の3つは、essen & trinkenのレシピに対する変更で、原典の一部ではありません。あとの2つは、地域の資料にある食べ方の例です。
- 酸味をおだやかに: コルニッションを原典の8本より減らすと、酸味がやわらぎます。
- 別のマスタードで: 中辛マスタードを替えると、辛さと酸味が変わります。ドイツの原典と同じ味にはなりません。
- アルコールを避ける: 赤ワインを牛のだしか水に替えます。ソースの香りは変わり、酸味も弱くなります。
- フランケン風に: Genussregion Oberfrankenが紹介するとおり、団子と赤キャベツを添えます。
- クリムミッツシャウの例: ザクセン州観光局のレストラン紹介にあるように、かぼちゃ入りのポテトパンケーキ、Kürbisklitscherを添えます。
よくある質問
どの部位の牛肉を使えばよいですか?
essen & trinkenは、Oberschale(もも肉の内側にあたる部位)が向くとし、UnterschaleやHüfteも代わりに使えるとしています。ふつうの薄切り肉では幅が足りないときは、精肉店に、巻いて煮込むための大きくて薄い肉を相談してください。
ルーラーデが固くなるのはなぜですか?
essen & trinkenが挙げる主な原因は、煮込み時間が短いことです。90分で打ち切らずに、串を刺して確かめ、抵抗なく通るまで蓋をして煮込んでください。そのとき、鍋の液量にも注意します。
作り置きはできますか?
できます。essen & trinkenによると、できあがったルーラーデは、ソースと一緒に密閉容器に入れて、冷蔵で2〜3日、冷凍で最長3か月が目安です。温め直すときは、ソースごと全体が十分に熱くなるまで加熱してください。
コルニッションの代わりに何を使えますか?
酸味のある小さなピクルスを選んでください。甘いピクルスを使うと詰め物の味が変わるため、甘めで違う仕上がりになります。
何を添えて食べますか?
じゃがいも、団子、赤キャベツ、シュペッツレ(Spätzle)などが典型的な付け合わせです。フランケンでは団子と赤キャベツが定番の組み合わせで、ザクセンのクリムミッツシャウにあるレストランでは、かぼちゃ入りのポテトパンケーキ、Kürbisklitscherを添えています。



















