アイスランドの観光局ビジット・アイスランド(Visit Iceland)は、野菜入りの羊肉スープ(lamb meat soup)を、現地で味わってみたい料理のひとつに挙げ、寒い日に合うスープとして紹介しています。骨付きの羊肉を水でゆっくり煮て、うまみが出たところに、ルタバガ、じゃがいも、にんじんをごろごろと加え、ひとつかみのオートミールを入れる。だしと食事が同じ一鍋から生まれるのが、キョートスーパ(kjötsúpa)です。
骨付き羊肉と根菜、とろみのある汁の一鍋
最初に骨付き羊肉で水にうまみを移し、そこへ根菜の甘みとオートミールのやわらかいとろみを重ねます。キャベツは最後に入れます。
キョートスーパに、ただひとつの正解はありません。この記事がもとにしたアイスランド協会ワシントンD.C.(The Icelandic Association of Washington D.C.)のレシピは、アイスランドの家庭ごとに少しずつ違う作り方があると書いています。ここで紹介するのは、そのレシピをもとにした家庭向けの一例です。ハーブの選び方、穀物の選び方、火を通す順序は、レシピに書かれたとおりにしています。
このレシピは世界ごはん紀行編集部では試作していません。分量、順序、各段階の時間は、参考文献に挙げた公開レシピに従っています。そのレシピには、何人分か、全体の調理時間、羊肉の安全な中心温度が書かれていないため、この記事でも示しません。
選び方と代用
羊肉。 骨付きの羊肩肉かすね肉を選びます。目安として、1.5ポンドは約680 g、1ポンドは約454 g、1/2ポンドは約227 gです。アイスランド産やニュージーランド産でなくても、手に入る良質な骨付き羊肉を使ってください。骨なしの肉でも作れますが、煮汁の深みが変わるので、同じ仕上がりではなく代用として考えてください。
ルタバガ。 ルタバガ(スウェーデンかぶ、swede)が見つからない場合は、カブ(turnip)で代用できます。味は少し変わります。カブは一般にルタバガより甘みが控えめで、水分が出やすいです。
ハーブ。 アイスランドの乾燥スープハーブ(íslensk súpujurtir)があればそれを使えます。この記事は手に入りやすいHerbes de Provenceを使います。アイスランドのハーブミックスとは香りが同じになりません。
穀物。 オートミール、米、またはその両方を使えます。この記事はオートミールだけを使います。オートミールに米を足さないでください。
単位。 カップは米国カップの容量のままにします。米国カップはほかの「カップ」と同じとは限らず、オーツも重さではなく容量で量ります。
塩。 塩は幅のある分量です。粒の大きさで小さじ1杯の塩辛さが変わるので、少し残しておき、最後に味を見て決めます。
道具
- 大きな鍋
- アク(泡)をすくうお玉かスキマー
- 包丁とまな板
- おたま
- 皿とフォーク2本(工程5で羊肉を骨から外す場合のみ)
食べ方

熱いうちに器へよそい、羊肉、根菜、キャベツ、煮汁が1杯ずつに入るようにします。
もとのレシピには保存や温め直しの説明がないため、保存期間や温度はここでは示しません。残った場合は、お住まいの地域の食品衛生の案内に従ってください。
うまくいかないとき
| 困りごと | 確認すること | 対処 |
|---|---|---|
| 20分たっても根菜が硬い | 切った大きさ、じゃがいもやルタバガの種類 | 決められた時間を過ぎても、やわらかくなるまで煮てからキャベツを加える |
| 野菜がやわらかくなったのに羊肉が硬い | 羊肉の部位や大きさ | 肉がやわらかくなり、しっかり火が通るまで煮てからキャベツを加える |
| 表面に泡が残る | 沸騰のときに泡をすくったか | 工程1で最初に沸いたときにすくう。表面の泡は取れるが、澄んだ煮汁になるとは限らない |
| 煮汁が思ったよりとろみがある、または濁る | じゃがいもの煮崩れ、オートミール | オートミールとじゃがいもの働きによるもの。粉質のじゃがいもは崩れやすく、汁にとろみが出る |
| キャベツがくたくたで色がさえない | キャベツを入れたタイミング | ほかの材料がやわらかくなる工程4まで入れず、好みのやわらかさになるまでだけ煮る |
| 味がぼんやりする | 最後の塩加減 | 塩と黒こしょうを少しずつ足して味を見る |
アレンジ
もとのレシピが認めている選択肢です。どれかひとつの道を選び、組み合わせないでください。
- アイスランドのスープハーブ。 íslensk súpujurtirが手に入れば、もとのレシピはHerbes de Provenceの代わりに使えるとしています。
- 単品のハーブ。 もとのレシピは別の選択肢として、タイム、オレガノ、パセリ、マジョラムを各1 tsp、ローリエ1枚も挙げています。Herbes de Provenceと一緒にではなく、代わりに使います。
- オートミールの代わりに米。 もとのレシピは、米、またはオートミールと米の両方も認めています。この記事はオートミールだけで作ります。
- ルタバガの代わりにカブ。 もとのレシピが代用として挙げています。味と食感は変わります。
- 羊肉に焼き色をつける。 もとのレシピは先に焼き色をつけてもよいとしていますが、通常は羊肉をそのまま鍋に入れる方法です。
アイスランド・マット(Icelandic MAT)など、ほかの公開レシピも、骨付き羊肉、根菜、米やオーツを組み合わせ、キャベツを遅めに加えますが、分量と時間はそれぞれ違います。その分量をこの記事のレシピに混ぜないでください。
アイスランドの食文化のなかのキョートスーパ
ビジット・アイスランドは、羊肉のスープ、ラムチョップ、ローストした脚肉を伝統的な羊肉料理として挙げ、アイスランドの食の伝統における羊肉の位置を説明しています。野菜入りの羊肉スープは、味わってみたい料理のひとつとして、寒い日向けのスープと紹介されています。これは観光局による概観で、すべてのアイスランドの家庭の話ではありません。同じ国の料理をもっと見たいときは、アイスランドのページをご覧ください。
アイスランドの英語誌レイキャビク・グレープヴァイン(The Reykjavík Grapevine)は、キョートスーパを今も食べられている伝統料理として紹介しています。軽い調子で書かれた記事で、昔の形は羊肉と乳酸、穀物(のちに米やオーツ)で作られ、酸味のあるスキールを加える、より濃厚なスープの変形も挙げています。野菜が入っていない時代もあったとも述べます。
同じ記事は、昔のキョートスーパを日曜日やクリスマスの食事として描き、現代のものを、温かく保って温め直して食べる実用的な食事として描いています。ただし、これは一誌の食の記憶の語りで、確定した歴史ではありません。
この記事のレシピは、根菜とキャベツが入った現代の形です。昔の乳酸やスキールを使った形を再現するものではなく、唯一の本場のレシピでもありません。数ある家庭版のひとつです。
よくある質問
キョートスーパとはどんな料理ですか?
羊肉と野菜のアイスランドのスープです。ビジット・アイスランドはlamb meat soup、レイキャビク・グレープヴァインはIcelandic meat soupと呼んでいます。作り方は家庭ごとに違います。
ルタバガの代わりに何を使えますか?
もとのレシピはカブ(turnip)を代わりに挙げています。カブは一般にルタバガより甘みが控えめなので、味は少し変わります。
アイスランドのスープ用ハーブがなくても作れますか?
作れます。この記事では、もとのレシピが挙げる選択肢のHerbes de Provenceを2 tbsp使っています。香りはアイスランドのミックスとは異なります。
何人分できますか?
もとのレシピに人数の記載がないため、ここでも数字は示しません。どのくらい取り分けられるかは、器の大きさと、ひとりが食べる量によります。
オートミールの代わりに米を使えますか?
もとのレシピは、米、または米とオートミールの両方を認めています。この記事はオートミールだけで作ります。米にするなら、オートミールに足すのではなく、別のバージョンとして考えてください。













