ジェノヴァ風ミネストローネ、長く静かに煮て、最後に緑の香りを足す
野菜と豆は、形を保ったまま中心まで柔らかくなるまで煮ます。短いパスタは最後に加え、火を止めてからペストを混ぜて仕上げます。
火にかけている間のほとんどは、丸くやさしい香りの鍋です。じゃがいも、キャベツ、いんげん、ズッキーニ、完熟トマト、ボルロッティ豆、乾燥きのこが、弱火でいっしょに煮えていきます。そこへ小さな筋入りのパスタを入れ、火を止め、少し置いてからペストを数さじ混ぜ込みます。立ちのぼる湯気に、野菜の香りの上からバジルとにんにく、チーズの香りが重なる。最後にペストを混ぜるこの一手が、このスープの個性です。
ここで作るのは、ジェノヴァ風ミネストローネ(minestrone alla genovese)の一例です。野菜と豆とパスタを一つの鍋で煮て、ペストで仕上げます。イタリア全土に共通する唯一のミネストローネではありません。ジェノヴァ風のレシピの中でも、材料や作り方は資料や家庭によって変わります。この記事では、Cucchiaio d'Argentoの4人分のレシピ1本を最初から最後まで通して使い、ほかのレシピの分量は混ぜていません。
ミネストローネに決まった配合はある? ジェノヴァ風の特徴
ミネストローネは、地域ごとの多くのスープが共有する名前で、固定された一つの配合ではありません。 イタリア料理学会(Accademia Italiana della Cucina)のレシピ一覧には、この名前の料理がいくつも別々に載っています。マルケ州のミネストローネ、リグーリア州のペスト入りジェノヴァ風ミネストローネ、ロンバルディア州のミラノ風ミネストローネなどです。イタリア政府観光局系の公式観光サイトは、ジェノヴァ風ミネストローネを季節の野菜をペストで仕上げるスープとして紹介し、ジェノヴァ・プラ(Genova Pra')と結びつけています。Cucchiaio d'Argentoのレシピページ自身も、家庭ごとに季節の野菜で作る版があると書いています。
ですから、「本物のミネストローネはどれか」と探すより、「いま自分はどの版を作っているか」を意識するほうが役に立ちます。この記事の版は、キャベツ、乾燥きのこ、生のボルロッティ豆、ディタリーニを使い、野菜が形を保つよう静かに煮る作り方です。イタリア料理学会が載せているジェノヴァ風のレシピは別の道筋で、野菜をたっぷりの水で崩れるまで煮てスープにとろみをつけ、パスタを入れ、火を止めてペストを混ぜ、15分休ませてぬるめで出します。どちらもジェノヴァ風ですが、別の鍋です。
このスープは、ジェノヴァの港の話にも登場します。イタリア料理学会の「再利用の料理」に関する冊子は、小舟やいかだで働いていた食べ物売り、cadrai(カドライ)またはcatrai(カトライ)が、熱いミネストローネを船へ届け、ペストとにんにくを添えていたと伝えています。この話は、冊子が集めた引用や地域の著述を通して紹介されているものです。この料理の唯一の起源や、ジェノヴァの外への広がり方を示す証拠ではなく、記録として残る逸話として読むのがよいでしょう。
この料理に使える食材・調味料
豆・パスタ・きのこ・ペストの選び方と代用
ボルロッティ100 gは、さやから出した生の豆の重さです。 さや付きの重さでも、乾燥豆100 gでもありません。乾燥豆は戻して別にゆでる必要があるため、同じ重さの乾燥ボルロッティに替えるとレシピ全体が変わってしまいます。生のボルロッティが見つからない場合は、水煮のボルロッティやカンネッリーニが実用的な選択肢です。豆の風味は軽くなり、皮の感じや崩れ方も変わるので、水分と時間は豆の状態を見て調整してください。
ディタリーニ・リガーティは、短く筋の入った筒形のパスタです。手に入らなければ小さめのマカロニでも作れますが、形と口当たりが変わるので、そのパスタの袋の表示時間に合わせます。乾燥きのこは、乾燥ポルチーニなら香りの系統が近くなりますが、和のきのこなど別のものを使えば、香りは違ってきます。戻し汁はこのレシピでは使わないので、自己判断で鍋に足さないでください。
いんげんは冷凍でも代用できますが、解凍で出る水分のぶん、やわらかくなります。生のトマトを缶詰のトマトに替えるのも編集部の代用案で、液体の量と酸味が変わります。いちばん替えにくいのはペストです。バジル、にんにく、チーズ、ナッツ、オリーブ油の香りが仕上がりの個性を決めます。大さじ4はそのまま使い、油やチーズを余分に混ぜ足さないでください。
買い出しは、どこでも手に入る野菜から揃え、次に短いパスタ、豆、乾燥きのこ、最後にペストという順で考えるとよいでしょう。
道具
- 蓋つきの大きな厚手鍋。水2 Lに、野菜、豆、パスタをすべて加えても吹きこぼれない大きさが必要です。2 Lの鍋という意味ではないので、商品表示で実際の容量を確認してください。底が厚いと、長く弱火にかけても焦げつきにくくなります。
- きのこを戻す小さなボウル
- まな板と包丁
- 木べらまたはへら
つまずきやすいところと、鍋の中での直し方
このスープでつまずきやすいのは、長い煮込み、パスタを入れる時機、ペストを入れる時機の3つの場面です。ひとつずつ確かめてください。
| 状態 | 主な原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 野菜や豆がまだ硬い | 切り方が大きい、不ぞろい。鍋やコンロの火力が弱い | 煮込みを一律に切り上げず、弱火のまま豆と野菜を確かめ直す。次回は大きさをそろえて切る |
| 野菜が崩れる | 煮立たせすぎ、大きさが不ぞろい | 火を弱め、蓋を少しずらしたままにする。切り方もそろえる |
| スープが薄く感じる | このレシピには煮詰める、つぶす工程がない | まず塩で整える。じゃがいもと豆をつぶしてとろみを出すのは別のジェノヴァ風レシピの方法なので、このレシピの一部ではなくアレンジとして扱う |
| パスタが柔らかすぎる | 入れるのが早い、スープに入れたまま置いた | 食べる時間に近づけてパスタを入れ、表示時間より少し早く火を止める。残りはパスタを入れずに保存する |
| ペストの香りが弱い | ペストを加熱した、または煮立てた | 火を止め、少し休ませてからペストを入れ、それ以上は加熱しない |
| 塩辛い、または塩気が足りない | ペストやチーズの塩分は製品で違う | 塩は段階的に加え、ペストとチーズを入れたあとで味を見直す |
熱い鍋は重く、蓋の隙間から蒸気が出ます。野菜を混ぜるときや、パスタを入れるときの湯気とはねに注意してください。
変えて楽しむ
季節の野菜に替える。 元のレシピは、家庭ごとに季節の版があると述べています。季節の葉野菜を加えたり、一部と置き換えたりできますが、全体のバランスと水分が変わるので、様子を見ながら調整してください。
生のボルロッティを水煮のカンネッリーニに替える。 買い物が楽になります。豆の香りと皮の食感は軽くなり、水煮は生の豆とは火の通り方が違うので、時間はもう一度確かめます。
ディタリーニを小さなマカロニに替える。 手に入りやすい代用です。入れるタイミングは、そのマカロニの袋の表示時間に合わせます。
じゃがいもと豆を一部つぶしてとろみを出す。 イタリア料理学会のジェノヴァ風レシピは、野菜を崩れるまで煮てスープにとろみをつけます。この記事のレシピとは別の方法で、分量も別です。仕上がりはより濃くなります。
冷えた残りを焼く(ミネストローネ・フリット)。 次の節で紹介する、残りを再利用する伝統的な食べ方です。すでに作ったスープを別の形で食べる方法で、上のレシピの工程ではありません。
土地ごとの違いと食べ方

何を入れるか、どう仕上げるかは、土地によって変わります。 イタリア料理学会のレシピ一覧では、リグーリア州の項目がペスト入りジェノヴァ風ミネストローネで、ロンバルディア州には別にミラノ風ミネストローネがあります。Cucina Regionale Italianaの記事は、ミラノ風を米、豆、キャベツなどの野菜を合わせたものとして紹介し、季節によって温かい版と冷たい版があること、19世紀の文献に記述があることも論じています。これはミラノの一例で、ジェノヴァのペスト版と同じ料理ではありませんが、この名前がどれだけ幅広い料理を指すかを示しています。
イタリア料理学会の「再利用の料理」の冊子は、ジェノヴァの残りものの習慣も伝えています。冷えて固まったミネストローネを切り分け、少量の油で焼く「ミネストローネ・フリット」です。同じ冊子には、赤いんげん豆、いんげん、なす、じゃがいも、ズッキーニ、ペスト、パスタまたは米を使った6人分の別のミネストローネも載っていますが、別レシピなので、その分量はここには混ぜていません。ミネストローネ・フリットは伝統的な食べ方として紹介するものです。保存の方法ではないので、次の節の衛生上の注意は、いま残しておくすべてのスープに当てはまります。
同じ国の料理をもっと作ってみたい方は、イタリアの料理をもっと見るもご覧ください。
保存、温め直し、安全のこと
調理したスープを室温に長く置かないでください。残りは浅い容器に小分けして、早く冷やします。温め直すときは、鍋底までよく混ぜながら十分に加熱してください。厚生労働省は、目安として75°C以上を示しています。
食感のために、Cucchiaio d'Argentoのレシピは、できればパスタを入れずに保存することを勧めています。同レシピの案内は、密閉容器に入れて冷蔵で2〜3日、冷凍ならパスタとペストを入れずに2〜3か月です。これはレシピサイトの提案であり、安全が確かめられた保存期間ではないので、上の取り扱いの注意を守り、ご自身で判断してください。
温め直すのは、食べる分だけにします。パスタを入れずに保存した場合は、その分のパスタを別にゆでるか、温め直したスープの中で加熱してください。ペストの香りを戻したいときは、食べるときに器ごとに新しいペストを少量混ぜる方法もあります。
よくある質問
ジェノヴァ風ミネストローネは、ほかのミネストローネと何が違いますか?
ジェノヴァ風は、ペストで仕上げるのが特徴です。ミネストローネは地域ごとの多くのスープが共有する名前で、イタリアの資料も地域ごとの別の版を載せており、全国共通の標準はありません。この記事はジェノヴァ風の一つのレシピに従っています。
生のボルロッティ豆の代わりに何を使えますか?
水煮のボルロッティやカンネッリーニが、実用的な編集部の代用案です。豆の風味は軽くなり、食感と時間も変わります。生の豆100 gを乾燥豆100 gに置き換えることはできません。 乾燥豆は別に戻してゆでる必要があります。
ペストはいつ入れますか?
いちばん最後です。パスタが煮えたら火を止め、約2分休ませてからペストを混ぜます。そのあとは煮立てないでください。
パスタを入れたまま保存できますか?
できますが、パスタはどんどん柔らかくなります。元のレシピは、食感のためにパスタなしでの保存を勧めています。安全のためには、残りを浅い容器で早く冷まし、十分に温め直してください。
ミネストローネは冷たいまま食べる料理ですか?
このレシピは、短く休ませたあと、鍋から温かいまま出します。ほかの版は違います。イタリア料理学会のジェノヴァ風レシピは休ませてぬるめで出し、ミラノ風の例には季節によって温かい版と冷たい版があり、ジェノヴァのミネストローネ・フリットは冷えて固まった残りを焼く料理です。ジェノヴァ風がいつも冷たい料理だというわけではありません。
















