ひとつの肉だねと、トーストしたバンズ。ハンバーガーの食卓
肉は軽く混ぜて柔らかさを残し、油とバターでしっかり焼き色をつけます。火が通ったかどうかは、焼き色や時間ではなく温度計で決めます。パティの中心は71°C以上が条件です。
週末の食卓を思い浮かべてください。フライパンから皿に移したばかりのパティ、切り口をこんがり焼いた柔らかいバンズ、そばの板にはレタス、アボカド、トマト、赤玉ねぎ。それぞれが好きなように重ねて、自分のハンバーガーを組み立てます。牛肉のパティをバンにはさんだだけのこの組み合わせは、アメリカでもっともなじみ深い食事のひとつになりました。
このレシピは、ジェームズ・ビアード財団(James Beard Foundation)が公開している「James Beard's Favorite Hamburger」をもとにした4人分です。ひと工夫は肉だねにあります。赤身の牛ひき肉に、おろし玉ねぎと生クリーム少々を混ぜてから成形します。焼くのは植物油と有塩バターで、ポテトロールにリトルジェムレタス、アボカド、ビーフステーキトマト、赤玉ねぎを合わせて仕上げます。
数あるハンバーガーのひとつであって、これが唯一の伝統形というわけではありません。分量は公開されているレシピのとおりです。焼き時間は、パティの厚みや火力、フライパンで変わるため決めていません。そのかわり、すべてのパティを温度計で確かめます。
ハンバーガーとは何か ― ハンブルグステーキとは別の料理
この記事でいうハンバーガーは、牛肉のパティをバンにはさんだ料理、つまりアメリカで定着した現代のサンドイッチのことです。スミソニアン・マガジン(Smithsonian Magazine)も、現代のハンバーガーを牛肉パティとバンの組み合わせとして説明しています。
名前はドイツのハンブルクを思わせます。HISTORYの概説は、この料理を「ハンブルク風」の刻み肉ステーキやドイツ系移民と結びつけています。ただ、皿に盛って食べる刻み肉のステーキと、バンにはさんだパティは同じ料理ではありません。ドイツのルントシュテュック・ヴァルム(Rundstück warm)も同じ料理ではありません。誰が、どこで最初にパティをパンにはさんだのかは、いまも決着していません。いくつもの人物と土地が名乗りを上げていますが、どの主張も確認されていないのです。
アメリカ中に広がった道すじ
誰が発明したかを追うより、ハンバーガーがどう日常に入り込んだかをたどるほうが見通しやすいでしょう。HISTORYの概説によると、19世紀後半、ランチワゴンや催しの屋台、道沿いの食堂などで、牛肉が皿からバンへ移ったのかもしれません。ただし、どの場所が最初だったかには異論があります。同じ概説は、1904年のセントルイス万国博覧会のころにハンバーガーが広く知られるようになったこと、1921年からのホワイトキャッスル(White Castle)がチェーン展開を後押ししたことにも触れています。
スミソニアン・マガジンも、起源ははっきりせず、発明を名乗る説が複数あるとしています。そのうえで、ホワイトキャッスルのウォルター・アンダーソン(Walter Anderson)とビリー・イングラム(Billy Ingram)が、ハンバーガーを大衆向けの食べ物にする助けになったと伝えます。片手で持て、カウンターや屋台ですぐ買える食べ物は、当時の食べ方に合っていたのでしょう。
今日、アメリカのハンバーガーに唯一の正解はありません。平らな鉄板で薄く押しつけたパティも、網の上で焼く厚いパティも、チーズ、ピクルス、玉ねぎなどの重ね方も、店や地域、家庭で違います。玉ねぎと生クリームを混ぜたパティに新鮮な野菜を合わせるジェームズ・ビアード版は、その中でも、家庭で作りやすい分かりやすい一例です。
牛肉・バンズ・野菜の選び方
牛ひき肉。 「93% lean」は、アメリカで使われる脂肪分の表示です。日本ではひき肉の表示が違うことが多いので、赤身寄りの牛ひき肉を選びますが、同じ配合とは限りません。脂の多いひき肉や、牛豚の合いびき肉に替えると風味も食感も変わるので、別のレシピとして考えてください。
塩。 コーシャーソルトは、細かい食卓塩とは粒の大きさが違います。同じ小さじ1でも塩味は同じとは限りません。別の塩を使うときは、そのことを頭に置いて味を決めてください。
生クリーム。 生クリームを使います。牛乳は脂肪分も水分も違うので、替えても同じ仕上がりにはなりません。
バター。 有塩バターを使います。無塩バターでも作れますが、全体の塩味は変わります。
バンズ。 ポテトロールは柔らかく、ほんのり甘いパンです。スーパーの普通のハンバーガー用バンズでも代用できますが、柔らかさと甘みは違ってきます。
野菜。 リトルジェムレタスはほかのリーフレタスに、ビーフステーキトマトは大玉のスライス用トマトに替えられます。赤玉ねぎの辛さは品種によって違います。
用意する道具
- 大きめのボウル
- 厚手の大きなフライパン
- 幅広のフライ返し
- 細いプローブの瞬間温度計
- 清潔な皿(生のパティ用と、焼き上がったパティ用に別々に)
- まな板と包丁
細いプローブのデジタル温度計なら、パティの中心を探りやすくなります。厚手のフライパンは熱が落ちにくいので、肉を入れても温度が保たれます。
柔らかく、安全に焼くためのトラブル対策
| 困りごと | 見るところ | 対処 |
|---|---|---|
| パティが固く詰まる | 肉を混ぜすぎたかもしれない | 次回は味が均一になった時点で混ぜるのをやめる。粘りが出るまで練る必要はない |
| パティが割れた | 原因はいろいろ | 次回は混ぜすぎを避け、形をきれいに整えて、焼く前に冷やす。返すのは一度だけ |
| 外は焼けているのに中心が温まっていない | 厚み、火力、フライパンで加熱時間が変わる | 焼き続けて、中心が71°C以上になるまで再び測る |
| パティが薄くて測りにくい | プローブの先が中心を外れる | 側面から、または斜めに差し込み、先端を真ん中に置く |
| 中がまだピンク色 | 色は火が通ったかどうかの判断基準にならない | 色ではなく温度計の数字で判断する |
ひき肉は、混ぜる直前まで冷蔵庫に入れておきます。焼いたパティを生肉をのせた皿に戻さないこと。成形したあとは手を洗ってください。残ったものも、ふつうの食品衛生の注意をはらって扱います。
アレンジの例
以下は原典から変えた点です。ジェームズ・ビアード版そのものではなく、自分なりの調整として楽しんでください。
- 赤玉ねぎの薄切りを水にさらす。 辛みが和らぎますが、水気が残るとバーガーがべちゃつくので、しっかり水気を取ってください。
- アボカドを抜く。 レタス、トマト、玉ねぎだけでも、手に入りやすい材料で簡素なバーガーになります。
- 普通のハンバーガー用バンズを使う。 手に入りやすいですが、柔らかく甘いポテトロールとは食感が変わります。
- フライパンのかわりにグリルで焼く。 原典の記事はグリルも選択肢として挙げています。火力が違うので焼き時間は変わりますが、中心が71°C以上という条件は同じです。
- 脂の多い牛肉の配合にする。 肉汁と脂の出方が変わるため、別のレシピとして考え、原典の配合と混同しないようにします。
食卓に出す

ハンバーガーは、具を板に並べて、各自が組み立てる食卓によく合います。ポテトの付け合わせや、トマトと赤玉ねぎのサラダを添えるのも、気軽に品数を増やす方法のひとつです。どれも好みで加えるもので、決まった組み合わせはありません。ひき肉を使うアメリカの家庭料理をもう一品作るなら、チリコンカンが続けやすい一皿です。手に持って食べる料理どうしで比べたければ、ペイスティ(pasty)もあります。
よくある質問
パティを柔らかく仕上げるには?
混ぜすぎないことです。塩、こしょう、おろし玉ねぎ、生クリームが均一に広がったら手を止め、4等分して厚みをそろえます。
中がピンク色でも大丈夫ですか?
色では判断しないでください。最も厚い部分の中心を温度計で測り、71°C以上に達しているか確かめます。
レアに焼いてもいいですか?
原典のレシピは、好みとしてレア(片面約5分)を紹介しています。この記事は、ひき肉についての米国政府の指針にしたがい、火の通っていない牛ひき肉はすすめません。中心が71°C以上になるまで焼いてください。
生クリームのかわりに牛乳を使えますか?
使えますが、牛乳は脂肪分も水分も違うので、同じ仕上がりにはなりません。レシピの変更として考えてください。
ポテトロールが見つからないときは?
市販の普通のハンバーガー用バンズで作れます。柔らかさと甘みには違いが出ます。
















