日曜の朝、コロンボ周辺の店先には、バナナの葉でくるんだ包みが積まれます。Daily FTの販売記事によれば、日曜の朝に予約が入り、昼前には売り切れてしまう店もあるそうです。これは特定の店の話ではなく、この土地の食文化の一場面として受け取ってください。閉じた包みを温めて、皿の上で葉を開く。立ちのぼる蒸気の下から、肉のだしで炊いた米と、いくつもの副菜が顔を出します。ランプライスの面白さは、米と副菜を別々に作るところにあります。鍋の数が増えるのは覚悟のうえで、最後に一包へまとめるときの満足感を目指して作る料理です。

葉を開くと、米とカレーが別々の料理から一皿になる
ランプライスは、ただの炊き込みご飯ではありません。Sri Lanka Tourism Promotion Bureauは、米と付け合わせをプランテンの葉で焼く料理として紹介し、オランダの遺産だとも述べています。Explore Sri Lankaが記録する構成はもう少し具体的で、肉のだしで炊く米に、肉カレー、肉団子、灰色バナナ、シーニサンボル、ブランチャンなど複数の付け合わせを組み合わせます。
具材を米に混ぜ込んでしまうと、どこを食べても同じ味になります。カレーはカレー、ナスはナス、米は米として別々に仕上げてから包むから、口に入れたときの食感と香りの違いが残るのです。そして葉の中での最終加熱が、それぞれの部品をゆるやかに結び付けます。
料理名の表記は、英語資料だけでも lamprais、lumprice、lump rice と揺れています。由来についても、オランダ語の一説に決めきれません。Explore Sri Lankaは、インドネシアの lempur とシンハラの buth-mula という別の包みご飯が重なったという説明も載せています。綴りの揺れと包み料理の重なりを眺めていると、唯一の起源を断定しないほうが、この料理の姿に近いように思えてきます。
lamprais、lumprice、lump rice と、呼び名は資料ごとに違います。lempur と buth-mula の話も、あくまでExplore Sri Lankaが記す一つの説明であり、すべての家庭が同じように語るわけではありません。ただ、どの説にも通じているのは、葉で包んで持ち運べる米料理だということです。今回の作り方も、その包みの構造を軸にしています。
コロンボのバーガー文化として残った包み

Explore Sri Lankaは、この料理をコロンボ周辺のバーガーの女性料理人と結び付けています。The Spiceryの説明では、バーガーはオランダ系商人と現地シンハラ人女性の子孫にあたります。だからランプライスを「オランダ料理そのもの」と呼ぶのは正確ではありません。米、肉、香辛料、葉の扱いといった異なる食文化の知恵が、コロンボ周辺のバーガーの食文化の中で重なり、異なる料理が一包になったものと考えるほうが、実態に近いでしょう。
店や家庭によって中身が変わるのも自然なことです。Daily FTには、混合肉の代わりに鶏を使う店、卵やブランチャンを省く店、包みの大きさが違う店が記録されています。Explore Sri Lankaが挙げるクラシック寄りの部品は、肉のだしの米、牛・豚・鶏の肉カレー、肉団子、灰色バナナ、シーニサンボル、ブランチャンです。今回のレシピは、この流れをくむ三種肉は一例として組みました。卵は任意で、魚介のブランチャンは代替もききます。卵とブランチャンの分岐や、店ごとの包みの違いがあるなかで、これは家庭版の一つの設計だと思ってください。
Daily FTが伝える日曜朝の予約や、限られた数の包みという記録は、すべての家庭にそのまま当てはまるものではありません。それでもThe Spiceryのバーガー料理の説明を読むと、手間のかかる米と副菜を一つの包みにまとめることに、どんな意味があったのかが見えてきます。普段の食事と、祝いや集まりの料理のあいだに置かれた包み、と言えそうです。
途中で見つける、味の決め手
スパイスを砕く道具
肉だしと米に使うホールスパイスは、粗く砕くと香りがよく出ます。少量ずつ、粒の大きさをそろえて砕きたいなら、スパイスミル 小型が向いています。今後もこの作業を続けるつもりなら、リンク先で容量と手入れのしやすさを確かめてみてください。乳鉢、すり鉢、包丁でも代わりになるので、一度だけ作る人は買わなくて構いません。
失敗したら、包む前の部品へ戻る

包んだあとに直そうとしても、うまくいきません。原因になった部品まで戻るのが近道です。水分は包む前に直すのが鉄則で、カレーが水っぽいときは肉を取り出し、鍋を中火で3〜5分詰めてから肉を戻します。葉包みに入れたあとで煮詰めると、米が崩れてしまいます。
米が硬いときは、米の硬さは熱いだしで戻します。包む前に熱いだしを大さじ2〜3加え、ふたをして5分蒸らします。水を一度に足すのは避けてください。肉が硬ければ、無塩の熱湯かだしを足して弱火で10〜15分延ばし、ほぐれるまで待ちます。
シーニサンボルが焦げたら、焦げは混ぜないこと。焦げた底には触れず、上の部分だけを別皿へ移します。砂糖で苦みを隠そうとしても、たいていうまくいきません。
葉が裂けたとき
しならない葉は、追加で数秒温めてください。ただし黒く焦げるまで直火に当てないこと。小さな裂け目は別の葉で包み直し、継ぎ目を下にします。大きく破れたときは、クッキングシートで内側を包み、外側にアルミホイルを巻いて焼きます。葉の香りはなくなりますが、米と副菜の構成は保てます。
塩気が強いとき
ブランチャンとモルディブフィッシュ、そして肉だし。この三つの塩分が重なると、一包が塩辛くなります。一度に重ねないよう気をつけてください。カレーが塩辛くなったら、無塩のだしを少量ずつ足し、ナスや米を増やして一包あたりの塩味を分散させます。レモンや酢で塩味をごまかそうとすると、酸味が増えて、シーニサンボルやナスの役割とぶつかってしまいます。
日本の台所で変える場所、変えない場所

現地の材料が揃わなくても、ランプライスの骨格は保てます。ただ、何が変わるのかは知っておきたいところです。香りを残すバナナの葉は、包みの役目と葉の香りを担っています。クッキングシートとアルミホイルなら蒸気と形は保てますが、葉の香りまでは再現されません。モルディブフィッシュをかつお節に替えるとうま味は寄りますが、香りの方向は違います。ブランチャンは干しえびペーストで魚介の代替として発酵香に近づけられます。アレルギーや原材料表示が気になるなら、省略を優先してください。青い調理用バナナは固めのじゃがいもに置き換えられますが、食感が変わるじゃがいもは、甘みと繊維感が別物になります。
三種肉を鶏だけへ替える
牛・豚・鶏各200gを、鶏もも肉600gに替えることもできます。ただし肉だしの厚みと三種肉の食感が変わるので、今回のクラシック寄りの構成とは別の家庭版として作ることになります。鶏肉は煮すぎると崩れやすいため、だしを先に取る工程では、鶏を後半に加える方法もあります。
ブランチャンと魚介を省く
ブランチャンとモルディブフィッシュを省いても、米、肉カレー、ナス、シーニサンボル、肉団子、葉包みは残ります。かつお節や干しえびへの置き換えは、完全な再現ではなく、うま味の方向を補う工夫です。魚介の除去が必要な方は、代替品の原材料と製造ラインの表示も確認してください。
葉を開いて、米へ少しずつ副菜を混ぜる

焼き上がったら8分休ませるのを忘れずに。それから皿の上で葉を開くと、米、肉カレー、ナス、バナナ、シーニサンボル、肉団子がそれぞれの場所に収まっているのが見えます。米だけ、カレーだけと部品ごとに食べ切ってしまうのはもったいない。米にカレーを少しのせ、甘酸っぱいナスや辛い玉ねぎをひとさじ合わせると、ひと口ごとに味を組み替える楽しみが生まれます。葉の香りを主役にしすぎず、肉のだしのコク、酸味、甘辛さ、魚介のうま味の違いを、ひと口の中で拾ってみてください。
よくある質問

バナナの葉がない場合、作れますか?
作れます。クッキングシートで包み、外側をアルミホイルで固定すれば、蒸気と形は保てます。バナナの葉の香りまでは再現できないので、同じ料理の構造を日本で実行するための代替と考えてください。アルミホイルだけで直接包むのは避け、食材と金属が触れないようにします。
肉を一種類にしてもよいですか?
Daily FTには鶏だけを使う店の例があるので、鶏600gに置き換える分岐は成り立ちます。ただ、三種肉版に比べてだしの厚みと食感は変わります。材料が足りないからといって「本場と同じ」とは言えません。
モルディブフィッシュはかつお節で代用できますか?
かつお節8gで、魚介のうま味を補えます。ただ、香り、塩気、削り方が違うため、ブランチャンやモルディブフィッシュそのものの風味とは別物です。魚介アレルギーがある場合は、かつお節も避けてください。うま味を無理に足す必要はありません。
作った翌日に食べられますか?
調理後は、部品も完成した包みも、浅い容器に移して速やかに冷まします。冷蔵で保存し、食べるときは葉を破らないよう天板に置いて、中心まで熱くなるまで再加熱してください。室温に長く置いたものや、においや状態に異変があるものは食べないでください。保存日数は家庭の冷却や冷蔵の条件で変わるため、この記事で一律にはお約束できません。
辛さを下げるにはどこを減らしますか?
まず乾燥赤唐辛子とチリパウダーを半量にします。シナモン、カルダモン、クミン、黒こしょうは残しましょう。シーニサンボルの唐辛子も減らして、玉ねぎと砂糖の甘辛さを生かし、食卓で辛さを追加しなくて済む設計にします。辛さを下げても、酸味、魚介のうま味、葉の香りは別の要素としてちゃんと残ります。
関連するスリランカ料理

ランプライスのあとに読みたくなる料理を三つ挙げます。
- アンブル・ティヤルの作り方 — ゴラカやタマリンドの酸味を、魚を煮詰める料理で確かめる。
- ククルマスカレーの作り方 — スリランカの鶏カレーを単品で作り、肉カレーの香辛料を深掘りする。
- ホッパーの作り方 — 米とココナッツを使う朝食へ進み、包み料理とは違う食卓の形を見る。














