ダンケ:牛乳、パパイヤ、ココナッツの殻、バナナの葉
牛乳を弱火で沸かし、沸騰しているあいだにパパイヤの凝固剤を加え、できた凝乳をココナッツ殻の型で圧して、熱いうちにバナナの葉で包みます。食べるときは薄く切り、両面をきつね色に焼きます。
鍋の牛乳が弱火でゆっくり沸いてきます。まだ沸騰しているところへパパイヤのラテックスを加えると、牛乳はやわらかな凝乳にまとまっていきます。その凝乳を半割りのココナッツ殻に詰めて圧し、乳清を出し切ります。形になったものが熱いうちに、バナナの葉で包みます。これがダンケです。インドネシア・南スラウェシ州のエンレカンと結びついた乳製品で、インドネシア食品技術者協会(PATPI)が編んだ食品の百科事典『Ensiklopedia Produk Pangan Indonesia』に、この作り方が載っています。
この記事は、その本に印刷されているダンケのレシピと、同じ章に書かれた食べ方、つまり薄切りにして両面をフライパンで焼きつけるやり方に沿っています。ダンケ全般の唯一の標準としてではなく、分量や材料の異なる別の版もあります。
本のレシピは牛乳5リットルに対して、パパイヤの凝固剤を1/2 sendok makan(インドネシアの大さじ)とし、330〜350 gのダンケが4個できると記しています。この収量は本に書かれた数字で、家庭で測った値でも、何人分という数でもありません。世界ごはん紀行では、このレシピを家庭の台所で試作していません。
ここで当サイトが選んだ点が二つあります。レシピの行には「牛乳」としか書かれておらず、章の中に牛乳または水牛乳の記述があるだけなので、家庭で買いやすいプレーンな市販の殺菌全脂牛乳を使うことにしました。また本は、パパイヤの凝固剤として、果実のラテックス(生)、葉の汁、乾燥した粗パパイン粉の形を挙げていますが、1/2 sendok makan がどの形の強さを前提にしているかは示していません。ここでは果実の生ラテックスを選んでいます。さらに、温度の数値も、加熱・凝固・圧搾の時間も、殻の大きさも、薄切りの厚さも本には書かれていません。そのため以下の方法は、弱火で沸騰、凝乳ができた状態、圧す、熱いうちに包む、きつね色という、本が述べている状態をたよりに進めます。
ダンケは牛乳から作ります。乳製品を避けている方は食べないでください。
選び方と代用
- 牛乳: プレーンな殺菌全脂の牛乳を買います。脱脂乳、山羊乳、加糖練乳、ココナッツミルクには替えないでください。
- 凝固剤: パパイヤ果実の生ラテックスを使います。sendok makan はインドネシアの大さじのことで、量は1/2 sendok makan のままにします。
- 同量での置き換えはしません: パパイヤの葉の汁、乾燥した粗パパイン粉、市販のパパインは、それぞれ形も強さも違い、ここでは同等の量を示していません。果実のラテックスと同じ量では使わないでください。
- 余計なものは入れません: このレシピには塩、油、ライム果汁、レンネット、クエン酸は入りません。
道具
- 牛乳5 Lが入る大きな鍋
- ココナッツ殻の型
- 包むためのバナナの葉
- 凝乳を移すスプーン
- 包丁とまな板
- フライパン
- 平らなヘラ
うまくいかないときは
本には火加減、時間、圧す強さ、薄切りの厚さの数字が書かれていないので、時計で調整できる点はほとんどありません。確かめられるのは、手順の順序と、そのときの状態です。
| 気づいたこと | 確かめること | してはいけないこと |
|---|---|---|
| 凝乳がなかなかできない、少ししかできない | ラテックスを入れたときに牛乳が沸騰していたか、牛乳がプレーンな全脂牛乳か | 対処としてライム、塩、レンネット、ラテックスの追加を入れないでください。このレシピには追加の量も加熱時間も示されていません |
| 型の中の凝乳がとても水っぽい | 乳清が分かれるまで圧したか | 圧す工程を省かないでください。圧す時間も強さも示されていないので、乳清が分かれたかどうかで判断します |
| 薄切りが片面しか焼けていない | 1枚ずつ返して、反対の面も焼いたか | 揚げ焼きにしないでください。これはフライパンで焼く食べ方です |
いちばん大きな不確定要素は凝固剤そのものです。生のパパイヤのラテックスは一定ではなく、1/2 sendok makan でどれだけの強さになるのかも示されていません。牛乳の固まりが悪いとき、原因が作り手の手順ではなくラテックスの側にある可能性もあり、このレシピに測って直す方法はありません。
ダンケの別の版
以下は、上のレシピに加える変更ではなく、別々のレシピです。それぞれ自分の材料をもっているので、PATPIのレシピに混ぜないでください。
| 版 | 使うもの | 違い |
|---|---|---|
| Cookpadのギタ・フロジア(Gita Flozia)さんの家庭のレシピ(マカッサル、2021年) | 生の牛乳または缶入りの牛乳1 L、パパイヤの樹液3 ml、ライム果汁100 ml、塩5 g | ライムと塩を使います。牛乳は弱火で静かにかき混ぜ、アルミホイルかバナナの葉で包み、そのまま食べるか、好みで揚げます |
| パパイヤの葉の汁 | PATPIの本が凝固剤の形の一つとして挙げ、Budaya Indonesiaの投稿記事にも出てきます | 量は示されておらず、果実のラテックスとは同等ではありません |
| 乾燥した粗パパイン粉 | PATPIの本が凝固剤の形の一つとして挙げています | 強さも、同等の量も示されていません |
| 『Mustikarasa』の書き起こしにあるドゥリ版 | 搾りたての牛乳、水、パパイヤの茎。加熱し、かき混ぜ、圧して、ご飯と一緒に出します | 材料表と作り方で水の量が食い違い、パパイヤの茎の量もはっきりしません |
| 研究室での実験(Indian Journal of Agricultural Research、2024年) | 乾燥したパパイヤラテックスを薄めた粗パパイン溶液を、量と温度を変えて使います | 研究の方法であって家庭のレシピではありません。温度の条件が、要旨、方法、結論で食い違っています |
エンレカンと南スラウェシのダンケ
PATPIの百科事典も、インドネシア観光省のJadesta(観光情報サイト)の掲載も、ダンケを南スラウェシ州のエンレカンと結びつけ、牛乳または水牛乳に触れています。Jadestaでは、煮沸して作る地元の産品と説明されています。Budaya Indonesiaの投稿記事は、パパイヤの葉の汁で牛乳を固め、ココナッツ殻で圧す作り方を伝えていて、殻の型はPATPIのレシピにも、ダンケを扱った研究室の実験にも登場します。レシピを書く人や研究者がチーズと呼ぶこともあり、Cookpadのレシピは「Dangke (Keju Susu)」という題で、2024年の研究も「Dangke-cheese」と呼んでいます。
PATPIの本は2017年8月にIPB Pressから初版が刊行され(ISBN 978-602-440-183-2)、食品技術の専門家による項目を集めたものです。PATPIが無料のPDFを公開した際の告知には、第1巻は94人の著者による134の製品項目を収めていると書かれています。このウェブの告知の日付は2023年4月1日で、PDFが掲載された日であり、本が出版された日ではありません。ダンケの章を寄稿したのはPATPIマカッサル支部のアブ・バカール・タワリ(Abu Bakar Tawali)さんで、印刷された39ページに記されています。レシピと作り方は37ページ、薄切りにして焼く食べ方は38ページです。
本は、凝固剤を加熱前ではなく沸騰中に加えるほうが収量が多いと述べています。これは本の記述で、この記事のために測った値ではありません。また、本はダンケを発酵製品の中に入れていますが、レシピ自体は牛乳を温めて凝固させ、圧すだけで、菌を加える工程も熟成の工程もないため、ここでも付け加えていません。
インドネシアのほかの料理は、インドネシアのページもご覧ください。
よくある質問
4個は何人分ですか?
本は、牛乳5 Lから330〜350 gのダンケが4個できたと記しています。何人分かは示されておらず、薄切りにして焼いたあとの量も書かれていません。4は個数であって、人数ではありません。
パパイヤの葉の汁や乾燥パパインを同じ量で使えますか?
使えません。本は果実のラテックス、葉の汁、乾燥した粗パパイン粉に触れていますが、1/2 sendok makan をどの形の強さや濃さにも結びつけていません。そのため同量での置き換えは示しておらず、形のあいだの換算もありません。
ライム、塩、油を加えますか?
この版には加えません。PATPIのレシピにもその食べ方にも、これらは入っていません。ライム果汁と塩を使うCookpadのレシピは別の人のレシピで、これと組み合わせることはしません。本にはフライパンで焼くときの油の量も指示もありませんが、それは油なしでうまくいくと保証するものではなく、ただ何も指定されていないということです。
加熱や圧搾は何分ですか?
本には、加熱、凝固、圧搾、焼きのいずれについても時間と温度の数値がありません。本が述べている状態をたよりに進めてください。弱火で沸騰、凝乳ができる、乳清を圧して出す、熱いうちに包む、両面がきつね色になる、という順です。
ダンケはどのくらい持ちますか?
この記事では保存期間も温め直しの方法も案内しません。本には1978年の研究から引いた保存についての別の記述が印刷されていますが、生のレシピの一部ではなく、今の食品安全の指針でもないので、ここでは繰り返しません。
ダンケは発酵させますか?
本は発酵製品の仲間として扱っていますが、ここで使うレシピには発酵させる、菌を加える、熟成させるといった工程がありません。牛乳を温め、パパイヤのラテックスで固め、圧すだけです。





















