ブンモック:澄んだ熱いスープに豚肉団子の一杯
手で刻んで弾力を残した豚肉団子、やわらかく煮たスペアリブ、やわらかいけれど少し歯ごたえの残る干しタケノコ、そして細いブンに熱々を注ぐ澄んだ豚骨スープです。
ハノイのブンモックは、早朝に通りで食べる一杯として語られています。豚骨のだしに、麺、スペアリブ、モック(mọc)と呼ばれる小さな豚肉団子、きのこ、タケノコ、香草が入った、熱くて軽いスープです。この情景は、フードライターのHuyên Trầnさんが雑誌Word Hanoiに書いたストリートフードの記事によるもので、当サイトが現地を訪れた話ではありません。早朝の通りで食べる軽い汁麺というのが、この料理の出発点です。
この記事で作るのは、ひとつのレシピです。VnExpress Cookingで公開されているBùi Thủyさんの「Cách làm bún mọc sườn Hà Nội」(ハノイ風ブンモック・スオン)で、豚ロースのスペアリブ、手で刻んだ豚肩肉にキクラゲと椎茸を混ぜた団子、干しタケノコ、細いブンを使う版です。ハノイには別の具をのせた一杯もあり、この記事が唯一の正統な配合だと主張するものではありません。
このレシピは、世界ごはん紀行の台所で試作したものではありません。レシピページには5〜6人分、45分と表示されています。ただし干しタケノコを戻して何度もゆでる時間は示されておらず、この45分には含まれていません。タケノコは別に時間を見込み、45分を全体の所要時間と考えないでください。だしの水、エシャロット、調味料、麺、香草など、分量が示されていない材料は、以下では「適量」「少々」と書いています。
ほかのベトナムの汁麺と食べ比べたい方には、カニとトマトのだしのブンリウや、中部ベトナムの牛だしのブンボーフエがおすすめです。どちらもまったく違う方向に進みます。ハノイの網焼きの豚肉とブンのブンチャーは、同じ街の豚肉と麺を使いながら、熱いスープは使いません。ほかの料理はベトナムのページにまとめています。
「モック」とはこの一杯の何か
このレシピでいうモックは、生の豚肩肉を手で刻み、刻んだキクラゲと椎茸、干しエシャロット、少量の魚醤とこしょうを混ぜて練り、スプーンで小さな団子に丸めたものです。きのこは豚肉に混ぜ込みます。団子に黒い粒が見えるのはそのためですが、料理名が指しているのはきのこではありません。
名前の由来は定まっていません。Huyên Trầnさんの記事は、ハノイのモック村(Mộc village)に由来するという説と、特徴的な豚肉団子「モック」に由来するという説の2つを挙げています。どちらも証明されたものとしては示されておらず、この記事もどちらかを選びません。
Bùi Thủyさんは、手軽さから既製のジョーソン(giò sống、生の豚肉ペースト)に刻んだきのこを混ぜる店もあると書いたうえで、手で刻んだ豚肩肉のほうが食感がよいとしています。肉をミンサーなどで挽かないようにとも勧めています。そのためこの記事でも、最初の工程は包丁の背で刻むことにしています。
ひとつのレシピと、まわりの版
採用したレシピは、スペアリブと豚骨のだし、モック、きのこ、干しタケノコ、細いブンでできています。ほかの一杯はこれらの一部を変えますが、ここでは背景として触れるだけで、下のレシピには加えません。
| 版 | 登場する場所 | この記事での扱い |
|---|---|---|
| 鶏肉のブンモック | Bùi Thủyさんが別の版として言及 | 扱わない。このレシピは豚肉のまま |
| 干しタケノコの代わりにドックムン(dọc mùng、サトイモ科の茎) | Bùi Thủyさんが、季節や好みで干しタケノコの代わりにできるとしている | 分量も下ごしらえも示されていないので、工程には書かない |
| 若いタケノコ | Huyên Trầnさんが書くハノイの一杯 | 背景のみ。このレシピは干しタケノコを使う |
| ジョールア/チャールア(豚肉のソーセージ) | Huyên Trầnさんによると、ハノイの一杯に加わることがある | 背景のみ。ここでは加えない |
| 団子に既製のジョーソンを使う | Bùi Thủyさんが書く、店の手軽な方法 | 使わない。団子は手で刻む |
この料理に使える食材・調味料
道具
- 手で刻むための丈夫な中華包丁または包丁と、まな板
- 寸胴鍋とアク取り
- 干しタケノコ用の別鍋とざる
- モックを取り分けるスプーン
- 骨を漉す目の細かいこし器
- モックの中心温度を測る温度計
- 残りを入れる浅い容器
選び方と代用
豚肩肉は、脂身が少し残ったものを選んでください。赤身だけの肉では、このレシピがめざす弾力とジューシーさから離れてしまいます。xương bayはxương homとも呼ばれる、肉のついた平たい豚骨です。使うのは2個。肉屋さんには「だし用の肉つき豚骨」と伝えて探しますが、別の骨では同じだしにならないことがあります。
干しタケノコ、干しエシャロット、キクラゲ、ノコギリコリアンダー、細いブンは、ベトナム食材店やアジア食材店で探します。干しタケノコは、食品用として市販されている下処理済みの製品を選び、始める前に戻し方の表示を読んでください。麺は、生でも乾麺でも、買ったブンのパッケージの表示どおりにゆでます。
魚醤は、モックにもタケノコにも使います。薄口しょうゆ、オイスターソース、エビのペースト、顆粒だしは、このレシピには入りません。
この料理には豚肉と魚由来の調味料が入ります。市販の魚醤、麺、乾物には別の表示がある場合があるので、同じ工場で作られる食品についての表示も含め、各製品のラベルを確認してください。
食感の確認と立て直し
めざすのは、弾力がありジューシーなモックと、やわらかいけれど少し歯ごたえが残るタケノコです。以下の確認は、上の作り方の範囲内でできることです。
| 気づくこと | 確認すること | 対処 |
|---|---|---|
| 肉だねがまとまらず丸められない | まとまって弾力が出るまで練ったか | 丸める前にもっと練る。まだゆるければ、手でもう少し刻む |
| 団子は浮いたが、中心が気になる | 浮いたかどうかではなく、中心温度 | 温度計で測り、中心が75°Cで1分以上になるようにする |
| アクでスープが濁る | スペアリブと骨を浸し、下ゆでし、洗ったか。アクを取ったか | アクを取り、ふたをせずに弱火で静かに煮る |
| 煮てもタケノコが硬い | 工程7の下ごしらえがどこまでできていたか | ふたをせず、やわらかく少し歯ごたえが残るまで煮る。下ごしらえはパッケージの表示に従う |
| スープの味がぼんやりする | 味つけ | 塩を少しずつ加えて味をみる |
食品衛生、保存、温め直し
団子が浮くのは、このレシピでの火の通りの目安であって、安全を測るものではありません。スープが澄んでいても、中心まで火が通った証拠にはなりません。厚生労働省の家庭向けの目安は、加熱調理する食品の中心を75°Cで1分以上加熱することです。生の豚肉と肉汁は香草などそのまま食べるものから離し、生の豚肉を触ったあとは手・包丁・まな板を洗ってください。
干しタケノコを蓋なしで繰り返しゆでるのは、このレシピの手順です。レシピにはこれをタケノコの毒を取り除くことと結びつける説明もありますが、その裏づけは確認できておらず、この記事は毒抜きを保証しません。市販の食品用干しタケノコの表示に従ってください。
残った場合の家庭向けの目安は次のとおりです。鍋を常温に長く置かない、残りは浅い容器で早く冷ます、10°C以下の冷蔵庫で保存する、温め直すときはスープを沸騰させる。この料理に固有の保存期間は示されていないので、ここでも書きません。
よくある質問
豚ひき肉やフードプロセッサーを使ってもよいですか?
Bùi Thủyさんは肉を挽かないよう勧めていて、豚肩肉を包丁の背で粘りが出るまで手で刻んでいます。このレシピもそれに従います。既製のジョーソンなどの近道は、手で刻んだ肩肉に比べて食感が劣るとも書かれています。
キクラゲと椎茸の50 gは、乾燥の重さですか、戻したあとの重さですか?
レシピには、それぞれの50 gを戻す前に量るのか、戻したあとに量るのか書かれていません。この記事も50 gのまま載せていて、戻したあとの重さには換算していません。
干しタケノコの戻し時間とゆで時間はどれくらいですか?
戻す時間、ゆでる回数、ゆでる時間は示されていません。食品用干しタケノコのパッケージの表示に従い、表示されている45分とは別に時間を見込んでください。
調味料が、ある所ではmắm、別の所ではnước mắmと書かれているのはなぜですか?
材料表ではモックに使うものがmắmと書かれ、タケノコの炒めでは少量の良質なnước mắmと書かれています。この記事ではどちらも魚醤としています。薄口しょうゆ、オイスターソース、エビのペースト、顆粒だしは、レシピに出てきません。
若いタケノコやドックムンでも作れますか?
Huyên Trầnさんはハノイの一杯に若いタケノコが入ると書き、Bùi Thủyさんは季節や好みでドックムンを干しタケノコの代わりにできるとしています。ただし、どちらも分量や下ごしらえが示されていないので、この記事では作り方を載せず、干しタケノコのまま作ります。
ソーセージを加えてもよいですか?
ジョールアやチャールアは、Huyên Trầnさんによるとハノイの一杯に入ることがありますが、このレシピには含まれません。
残ったらどう保存しますか?
浅い容器に入れて早く冷まし、10°C以下の冷蔵庫に入れてください。鍋を常温に長く置かないようにし、温め直すときはスープを沸騰させます。


















