ブンタン、細い具をいくつも重ねて澄んだ汁を注ぐ
具はそれぞれ別に用意して細く切り、麺の上に混ぜず並べて盛ります。スープは澄んだまま保ち、鶏は時間ではなく中心温度で火が通ったかを判断します。
白い米麺の上に、鶏と干しえびでとった澄んだスープを注ぎます。麺の上には、細くほぐしたゆで鶏、黄色い薄焼き卵の細切り、giò lụa(ベトナムの豚肉ソーセージ)の細切り、えびそぼろのこんもりとした小山、しいたけ、刻んだねぎと rau răm が、それぞれ小さな山に分かれて並びます。干し大根の和え物、生の唐辛子、柑橘は脇に添えます。これがハノイの汁麺、ブンタンです。細く切った具を別々に並べるので、丼に盛る前の仕事がとても多い料理です。
ここで紹介するのは、ひとつの公開レシピに沿った作り方です。VnExpress が 2021 年 8 月に掲載した読者投稿レシピ「Bún thang chuẩn vị Hà Nội」(ハノイらしい味のブンタン)で、投稿者は Phùng Thơm、4〜5人分向けです。料理人が試作を重ねたレシピではなく読者の投稿であり、世界ごはん紀行の台所で試作したものでもありません。安全のために 2 点だけ変えています。1 つは、生の鶏に塩をすり込んで水洗いする工程をやめたこと。生の鶏肉は洗わないようにという食品安全委員会の助言に従っています。もう 1 つは、鶏をゆでる約 15 分をあくまで目安とし、実際の終点を中心温度 75°C 以上で 1 分以上としたことです。こちらは厚生労働省の示す基準に従っています。
掲載されているレシピには、鶏をゆでる水とスープの水の量、スープの調味料の大半の量、しょうが・香草・えびそぼろ用の油の量、しいたけ 20g が乾燥の重さか戻したあとの重さか、が書かれていません。大根のたれのいくつかの量は thìa(匙)で示されていますが、どの大きさの匙かも不明です。これらは推測で埋めずにそのまま残しているので、スープの味つけは味をみながら調えてください。
ほかのベトナムの汁麺を知っている方には、鶏のスープという点でフォー・ガーが近い一杯です。ただし、かにとトマトのブンリューや、ハノイの網焼き豚肉入りのブンチャーとは別の丼です。ベトナムのほかの料理はベトナムのページからどうぞ。
この料理に使える食材・調味料
選び方と代用
材料の選び方では、乾燥いかげそか sá sùng のどちらか一方という点が大事です。乾燥いかげそ 2〜3個、または sá sùng 2〜3個のどちらかを使い、両方は入れません。この記事では乾燥いかげそを使います。sá sùng を選ぶ場合は、いかの代わりに入れ、並べては入れません。
giò lụa は加熱済みのベトナムの豚肉ソーセージです。ふつうのハムに黙って置き換えず、ベトナム食材店やアジア食材店でその名前で探してください。麺の 1.5kg は生米麺(bún tươi)の分量で、乾麺では代用しません。
tinh dầu cà cuống(cà cuống 油)は、手に入るときだけ使う任意の材料です。なければ入れず、ほかのもので代えません。
hạt nêm、bột nêm、gia vị はどれもベトナムの調味料ですが、それぞれ別の製品です。同じものと決めつけたり、ただの塩とみなしたりしないでください。大根のたれの魚醤(nước mắm)と、食卓で加える蝦醤(mắm tôm)も別の製品です。
この料理には卵、えび(干しえびと mắm tôm)、いか、魚醤、豚肉、鶏肉が含まれます。魚醤、調味料、giò lụa、mắm tôm、cà cuống 油を使う場合はそれも含め、アレルゲンや同じ工場で作られていることの表示を確認してください。アレルギーのある人に出すときは、アレルゲンを含む食材がほかの食材に触れないようにします。
道具
- 大きな鍋:鶏をゆでる、スープを煮る
- ノンスティックのフライパン
- ざる
- 包丁と、生肉用とそのまま食べるもの用に分けたまな板
- ボウル数個
- すり鉢とすりこぎ
- 食品用温度計:鶏の中心温度を確かめる
作り始める前に:生の鶏肉と手の清潔
生の鶏肉は洗わないでください。洗うと流しや調理台に菌が飛び散るおそれがあります。生の鶏肉や豚肉、その汁が、香草、麺、加熱済みの具に触れないようにします。生肉を扱う前後には手を洗い、使った包丁、まな板、器具も洗ってください。鶏は中心が 75°C 以上になり、その状態が 1 分以上続くまで加熱します。
うまくいかないとき
| 状態 | 対処 |
|---|---|
| 約 15 分ゆでても鶏の中心が 75°C に届かない | 鍋に戻して弱火で加熱を続け、中心が 75°C 以上で 1 分以上になるまで確かめ直す |
| スープに泡が出続ける | 手順4のとおり、煮ている間ずっとすくう |
| スープの味がぼんやりする | スープの調味料を少しずつ加え、そのたびに味をみる。決まった量はない |
| 干し大根が水っぽい | 戻した大根を、和える前にもっと強く絞る |
| えびそぼろがだまになる | しっかり冷ましてから、つぶし続ける |
| 丼の中で具が混ざってしまう | 別々の山に盛り、スープは具の上ではなく、まわりに注ぐ |
このレシピの範囲での変え方
このレシピで材料を実際に選べるのは、スープに入れる乾燥いかげそか sá sùng のどちらかだけで、この記事ではいかげそを使っています。もうひとつの任意の要素は cà cuống 油で、あるときだけ加えます。ほかの肉、乾麺、別の調味料などへの置き換えは、掲載レシピに根拠がないため提案しません。自由に調整してよいのは、レシピがもともと決めていない部分、つまりスープの味つけと、唐辛子、柑橘、香草、mắm tôm を各自が食卓でどれだけ加えるかです。
ハノイのブンタン、Tết明けの食卓とつながる一杯
ブンタンはハノイの料理として紹介されています。 ベトナム国家観光総局の公式サイト Vietnam Tourism は、ハノイで食べたい料理の一つに挙げ、ベトナムハム、ほぐした鶏、オムレツの細切り、澄んでうまみのあるスープの料理と説明しています。同じページは、旧正月(Tết)のあとに、お祝いの残りの食材を朝食の一杯に仕立てる習慣とも結びつけています。
書き手の Vĩnh Quyên は、VOV5(Voice of Vietnam)の記事で、Tết のあとにご自身の家族が作ったブンタンを振り返っています。Tết のあいだにとっておいた鶏、干しえび、giò lụa、干し大根などを使い、別々の具を丁寧に切って並べ、熱いまま出す一杯でした。これは一つの家族の記憶であり、単一の起源や、ハノイのすべての家庭に共通する習慣を示すものではありません。それでも、祝いの残りが、丁寧な細切りと澄んだスープで整った一杯になるというこの料理の姿を理解する助けになります。
thang という言葉の意味や、この料理の歴史的な起源は、今回使った資料では扱われていないため、この記事では説明しません。地域や家庭による違いも比べていません。ここで紹介するのは、上で述べたハノイ風のひとつの作り方です。
残ったとき
残ったものは、浅い清潔な容器に入れて早く冷まし、すぐに 10°C 以下で冷蔵します。食べるまで熱いものは熱いまま保ち、残ったスープは沸騰するまで再加熱してから食べてください。保存期間はここでは示しません。
よくある質問
生の鶏を洗わないのはなぜですか?
VnExpress のレシピは、生の鶏に塩をすり込んで水洗いします。この記事ではその工程を省き、洗うと汚染が広がるおそれがあるとして生の鶏肉を洗わないよう勧める食品安全委員会の助言に従っています。すり込みに使う塩はスープには移さないので、材料にも入れていません。
15分で丸鶏に火が通りますか?
レシピは弱火で約 15 分としていますが、1.2〜1.3kg の鶏の安全確認とは考えていません。いちばん厚い部分に食品用温度計を刺し、厚生労働省が示すとおり、中心が 75°C 以上で 1 分以上になるまで加熱を続けてください。
エシャロット6個はどこに使いますか?
レシピには 6個とあります。5個は玉ねぎとしょうがと一緒に焼き、3個は鶏の鍋に入れ、1個は生のまま薄切りにしてえびそぼろ用に炒めます。鶏の鍋の 3個が焼いた 5個からとったものかは書かれておらず、そうだとすると、残る 2個の使い道は示されていません。この記事は、その行き先を創作せず、エシャロットを追加することもしません。
thìa はどのくらいの大きさですか?
thìa は「匙」という意味です。大根のたれでは、酢だけが小さじ(thìa cà phê)とはっきりしていて、砂糖、gia vị、魚醤、MSG は大きさの種類が書かれていない thìa です。そのため、これらは換算せず、書かれたままの量にしています。
スープとえびに入れる mắm はどんなものですか?
レシピには mắm とだけあり、魚醤か発酵えびの製品かは書かれていません。大根のたれの nước mắm とも、各丼に加える mắm tôm とも別のものです。少なめに入れて味をみてください。
しいたけは乾燥ですか、生ですか?
レシピは 20g のしいたけを水で戻し、軸を切ってすすぐとしているので乾燥品らしく見えますが、20g が乾燥の重さか戻したあとの重さかは書かれていません。具にするのは、戻しただけのものではなく、スープで煮たしいたけです。
スープは全部で何時間煮ますか?
レシピは、骨を 1〜2時間煮ること、約 1時間たったらいか、しいたけ、えび、玉ねぎを加えてさらに煮ることを示しています。後半の煮込みの長さは書かれていないため、合計時間はここでは示しません。

















