穴のあいた小さな皿に殻が並び、開口部のひとつひとつで緑の粒を含んだバターが泡立っています。身を食べ終えたあとは、殻と皿に残った溶けバターをパンでぬぐう。ラルース(Larousse)のブルゴーニュ風エスカルゴのレシピも、パンを添えてすぐに出す、という一文で締めくくられています。熱い殻と泡立つバター、そして最後の一滴をぬぐうパン。それがこの料理の食卓です。
熱い殻、泡立つバター、パンで最後の一滴まで
殻に、加熱済みのエスカルゴと、エシャロット・にんにく・パセリをたっぷり練り込んだバターを詰めます。開口部でバターが泡立つまで温め、すぐにパンを添えて出します。
フランスで「ブルゴーニュ風」と呼ばれる殻詰めの料理です。加熱済みのエスカルゴを、バター、エシャロット、にんにく、平葉パセリを混ぜた香草バターとともに殻へ戻し、オーブンで温めます。ただ、「エスカルゴ」という言葉だけでは、種類もレシピもひとつに決まりません。ブルゴーニュの観光局は、ブルゴーニュのエスカルゴを学名 Helix pomatia、別名 Gros blanc(グロ・ブラン)、Escargot des vignes(ブドウ畑のエスカルゴ)と説明しています。一方で、食品として売られているエスカルゴは、商品によって種類も産地も異なることがあります。料理名がブルゴーニュ風だからといって、どの商品もブルゴーニュ産とは限りません。買うときはラベルで確かめてください。
この記事はラルースのレシピに沿った4人分です。缶詰のエスカルゴ48個(1人12個)に、バター400gと香味野菜を合わせます。ラルースの表示は35分で、内訳は下準備30分、加熱5分。ただしバターを室温でやわらかくするのに別途約1時間かかると注記されているので、その時間は先に見込んでおいてください。使うのは、食用として市販されている加熱済みの製品です。生きた野生のカタツムリを採ったり下処理したりする方法は、このレシピでは扱いません。
エスカルゴ、殻、エシャロット、パセリ、バターの選び方
エスカルゴ
食品として売られている加熱済みの缶詰か冷凍品を選び、取り扱いと加熱の指示はラベルに従います。種類、産地、野生か養殖かは商品によって違うことがあり、ブルゴーニュ産の Helix pomatia と決めつけず、ラベルを読んで確かめます。
殻
殻が付いていない商品もあります。その場合は、食品用に洗浄された空殻を別に用意してください。殻は、加熱中も食卓でも、エスカルゴとバターを収めておく器の役目で、食べるものではありません。殻が手に入らないときは、後の「殻がないとき」を見てください。
エシャロット
このレシピのエシャロット(échalote)は小型のシャロットで、玉ねぎとにんにくの中間のような風味です。市場によっては、「エシャロット」の名前で別の商品が売られていることがあるので、小さな本物のシャロットを探します。見つからなければ小さな玉ねぎを少量使えば補えますが、香りは変わります。
パセリ
平葉パセリ(イタリアンパセリ)が persil plat にあたります。縮れ葉のパセリでも作れますが、香りが違い、細かく刻むのも少し大変です。
バター
ラルースは有塩か無塩かを指定していません。この記事では無塩バターを使い、塩は味つけのときに加減することをすすめます。塩分を自分で管理できるからです。
道具
穴付きのエスカルゴ皿があると、殻を開口部を上にして安定して並べられます。なければ小さな耐熱皿でも作れます。トングと鍋敷きは、熱い殻や皿を扱うために用意しておきましょう。
- 穴付きのエスカルゴ皿、または小さな耐熱皿
- 食品用の空殻(エスカルゴに殻が付いていない場合)
- ざる、または目の細かい網
- ペーパータオル
- まな板と包丁
- ボウルと木べら
- 食べるときの細いフォークまたはピック
- キッチントング
- 鍋敷き
うまくいかないとき
バターのやわらかさと、パセリやエスカルゴの水気。うまくいかないときは、たいていこのどちらかが原因です。
| 起きること | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| バターと香味野菜がなめらかに混ざらない | バターのやわらかさが足りない | ポマード状になるまで室温に置き、木べらで練る |
| 殻にバターが詰めにくい | 香味野菜の刻みが粗い | 次回はエシャロット、にんにく、パセリをもっと細かく刻み、開口部に入りやすくする |
| バターが水っぽい、ゆるい | パセリやエスカルゴの水気が残っている | パセリは刻む前によく水気を取り、すすいだエスカルゴはペーパータオルで押さえて乾かす |
| 殻からバターがこぼれる | 殻が傾いている | 皿の穴に開口部を上にして置く |
| 中まで熱くなったか分からない | オーブンや商品によって差がある | 商品のラベルの指示に従い、中まで熱くなっているかを確かめる |
アレンジと代用
殻がないとき
食品用の殻が手に入らなければ、小さな耐熱皿に1個ずつエスカルゴを置き、バターをかぶせます。これは編集部の提案で、ラルースのレシピにはありません。殻詰めの見た目にはなりませんし、食べ方も変わります。
エシャロットの代わり
小さな玉ねぎを少量使えば、エシャロットの代わりになります。香りは玉ねぎ寄りになります。
縮れ葉のパセリ
使えますが、平葉パセリとは香りも食感も違い、細かく刻むのも手間がかかります。
別のエスカルゴ料理
モロッコのバブーシュも、エスカルゴを使う料理です。こちらは香草とスパイスの煮汁で食べるもので、この殻詰めのレシピのアレンジではなく、別の料理です。
ブルゴーニュのエスカルゴと家族の食卓
ボーヌとボーヌ地方の観光局によると、ブルゴーニュのエスカルゴは Helix pomatia、別名 Gros blanc、Escargot des vignes です。観光局は、エスカルゴをブルゴーニュを代表する料理のひとつとして紹介し、とくにクリスマスや家族の食事で食べられると説明しています。地域の観光概説であり、すべての家庭やすべての季節に当てはまる決まりではありません。
観光局は伝統的な作り方にも触れています。エスカルゴを短いブイヨンで煮て殻に戻し、バター、パセリ、にんにくを詰めてオーブンで焼く、という型です。缶詰の加熱済み製品を使えば、家庭で最初の加熱を省けます。
同じ資料は、20世紀前半の採集の圧力でエスカルゴの個体数が減ったと述べています。Helix pomatia はフランスで1979年から保護されていて、繁殖期の4月1日から6月30日は採取が禁じられているとも書いています。これは観光局自身の要約であり、法的な案内ではありません。この記事は、エスカルゴの採取をすすめるものではありません。
地域差:シャラントのプティ・グリ
フランスのエスカルゴは、ブルゴーニュ風だけではありません。ヌーヴェル=アキテーヌ地域の食品機関は、シャラント沿岸地域の*プティ・グリ(petit-gris)*を、ブルゴーニュ種として知られる大型のエスカルゴとは区別しています。シャラントでは、バターとにんにくを詰める伝統的な調理のほか、煮込みやソースを使った料理にもします。プティ・グリの地元での呼び名には、cagouillard、luma、cagouille があります。
種類、地域、調理法が違うので、この記事ではシャラントの料理をブルゴーニュ風のレシピに混ぜていません。プティ・グリの料理を作りたいときは、別のレシピとして考えてください。
よくある質問
殻も食べますか?
食べません。殻は、加熱中も食卓でも、エスカルゴとバターを収める食品用の容器です。身を引き出し、バターはパンでぬぐって食べます。
240°Cのまま焼いてもいいですか?
この記事はラルースの方法どおり、240°Cに予熱してからオーブンを止め、5〜10分、バターが泡立つまで温めます。一定の温度で焼き続ける方法には置き換えていません。商品のラベルに加熱の指示があればそれを優先し、中まで熱くなっているかを確かめてください。
バターを減らしてもいいですか?
400gのバターは、4人分48個の殻を詰めるラルースのレシピの比率です。この記事では分量を書いたとおりに保っています。
缶詰のエスカルゴはすべてブルゴーニュ種ですか?
そうとは限りません。種類、産地、野生か養殖かは商品によって違うことがあります。購入する商品のラベルを確認してください。
自分で採ったものは使えますか?
使えません。食品として売られている加熱済みのものを使ってください。このレシピでは、野生のエスカルゴの採取、浄化、下処理は扱いません。
どのくらい日持ちしますか?
参照した資料には、保存期間も安全な再加熱温度も書かれていません。お手元の商品のラベルに従ってください。この料理は、熱いうちにすぐ出すものです。















