テーブルの中央に、粒を盛った器と、鶏と豆と玉ねぎが浮かぶ煮汁の器が並びます。各自が大粒の小麦の粒をスプーンで取り分け、その上から汁をたっぷりかけると、器からシナモンとキャラウェイの香りが立ちのぼります。レバノンのモグラビエ(Moghrabieh/مغربية)は、この大粒の粒そのものの名前であり、それを使った料理の名前でもあります。
今回つくるのは、鶏とひよこ豆、小玉ねぎを煮込み、大粒のモグラビエに煮汁を含ませる一皿です。粒は通常の細粒クスクスと同じ調理法にはしません。使うのは乾燥モグラビエで、分量は6人分です。粒の柔らかさは実際に噛んで確かめ、鶏肉の安全な加熱は温度計で確かめます。この二つは別々の確認です。煮汁は食べる直前にかけます。
煮汁をかけながら囲む、レバノンの食卓
モグラビエという名は、モロッコに由来する意味として紹介されることがあります。ただ、名前だけから、いつ伝わったのか、誰が考え出したのかまでは言えません。セモリナ小麦でつくった大粒の生地は、乾燥パスタのように茹でて柔らかくします。細粒クスクスを思わせる名前でも、スプーンで一粒ずつ拾える大きさと噛みごたえがまるで違います。粒と料理が同じ名前なのは、この粒がそれだけ料理の中心にあるからでしょう。
鍋の中には、三つの食感が同居します。ほぐれる鶏の肉、とろりと柔らかい小玉ねぎ、そしてひよこ豆と小麦の粒です。鶏がよく使われますが、牛肉や骨付きの羊肉で作る家もあります。肉の種類を変えるときは、鶏の加熱時間をそのまま当てはめないでください。香辛料はキャラウェイ、シナモン、クミン、7スパイスを使います。辛い唐辛子は必須ではありません。

茹で上がった粒は、その後も汁を吸い続けます。だから煮汁と具は別の器で出せますし、二つの器で取り分けると、汁気たっぷりの一皿にも、少なめの一皿にも、各自で仕上げられます。もちろん別盛りだけが正しい作法というわけではありません。日本の食卓でも、全量を鍋で混ぜてしまわず、食べる分だけ合わせれば、最後の一皿まで汁気を調整しやすくなります。
トリポリで育った料理家Rouba Shahinが紹介する家庭の版は、鶏を入れない汁気の少ないモグラビエです。ギーと玉ねぎ、ひよこ豆を合わせ、シナモンとバハラットで仕上げ、ラップ状のパンに包んで食べることもあります。これはレバノン全土に共通する食べ方ではなく、彼女の家庭の味です。ラマダンに向けて小分けにして冷凍しておく作り置きも、本人が紹介しています。
祝いの席にも登場します。Habib Daoudのレシピ紹介には、下ガリラヤのラマ村でレストランを営むDaoud家が、クリスマスイブにモグラビエを食べると記録されています。これはパレスチナ料理の家族の具体例で、レバノンのすべての家庭のクリスマス習慣として広げることはできません。なお、この資料で使われるマフトゥールは、ブルグルを粉と水で覆って丸めた粒で、レバノンのセモリナ生地と同じ原料とは言えません。土地や家によって粒そのものが違うのですから、まさに家庭ごとに変わる一皿です。
途中で見つける、味の決め手
粒をつぶさず、煮汁を残すコツ
粒に硬い芯が残るのは、塩味が足りないこととは別の問題です。仕上げる前なら茹でを2〜3分延ばし、すでに仕上げの途中なら、熱い煮汁を50mlずつ加えて弱火で2〜3分煮て、もう一度確かめます(家庭向けの対処です)。粒の大きさや乾燥の具合はメーカーによって違い、必要な時間も変わります。時計だけに頼らず、芯は噛んで確かめてください。

すでに柔らかい粒が汁を吸って乾いてしまったときは、食べる直前に熱い煮汁を50mlずつ足します。崩れ始めた粒は、長く加熱せずに火を止め、混ぜる回数を減らしてください。これは硬い芯への対処とは別です。鍋底が焦げてしまったら、底をこそげて全体に混ぜず、上の焦げていない部分だけを別鍋へ移します。
香辛料の輪郭と塩味は、別々に整えます。キャラウェイとクミンは併用する別の材料なので、香りを強くしたいときも、片方を増やして代わりにすることはしません。汁は煮詰めると塩味も濃くなります。汁と粒を別々に味見し、粒に含ませる前と、皿にかける前の二度確かめてください。塩辛くなってしまったら、水を100mlずつ加えて薄め、温め直します(家庭向けの調整です)。香辛料をむやみに足して塩味を隠すのは避けましょう。
汁気の少ない一皿から、五つの食べ方へ
トリポリ出身のRouba Shahinの乾いた版は、鶏を使いません。ギーと玉ねぎ、ひよこ豆、シナモン、バハラットで炒め合わせる、彼女の家庭と地域の食べ方です。鶏の汁煮から単に汁を捨てたものではなく、別の作り方だと考えてください。彼女の手順では、粒を1時間浸水し、シナモンスティック、ローリエ、クローブと一緒に約20分茹でてから炒め合わせます。これはあくまで彼女の方法で、今回の鶏の汁煮版や、すべての製品に共通する下処理ではありません。汁気を少なく仕上げる考え方を借りて、日本の家庭向けに整えた変え方を、次の表にまとめました。伝統として認められたものではなく、あくまで提案です。

| 食べ方 | 変えるもの・量 | 仕上がりと注意 |
|---|---|---|
| 汁を多めに楽しむ | 取り分け後に熱い煮汁100mlずつを追加 | 粒と汁は直前に合わせる。全量を入れたまま置かない |
| 汁気を控える | 粒の仕上げで汁を50mlずつ加える | 汁を増やす前に硬い芯がないことを確認。長く煮詰めて乾かさない |
| 乳を使わない | バター大さじ2を植物油大さじ2へ置き換える | バターの香りは減る。小麦は含むため小麦アレルギー対応ではない |
| 肉を使わない | 鶏1.2kgを省き、ひよこ豆を同じ水煮缶1缶追加 | 水で玉ねぎと香辛料を煮る。鶏の旨みとは違う家庭向け提案 |
| パンに包む | 汁気を切った粒と具100gを薄いパン1枚へ | 鶏を使うなら骨を外す。汁が多いとパンが破れやすい |
同じ豆や粒を使った料理は、ほかにもあります。ひよこ豆にヨーグルトとパンを重ねる食べ方ならファッテ、小麦の粒をハーブと合わせる料理ならタブレへ。同じ豆でも違う食感が楽しめます。ただし、タブレに使うブルグルは、乾燥モグラビエの代わりにはなりません。
保存とよくある質問
大鍋を食卓に出したあとは、粒と、煮汁・具を分けて、清潔な浅い容器に小分けします。調理後2時間以内に冷蔵庫へ入れてください。32℃を超える暑さにさらした場合は1時間以内です。完全に室温まで冷めるのを待って大鍋に置いたままにせず、小分けした温かい状態のまま冷蔵して構いません。保存の目安は、冷蔵4℃以下で3〜4日以内、冷凍−18℃以下で煮込みの品質として2〜3か月です。これは品質の期間であり、一律に安全を保証するものではありません。

普通のクスクスで代用できますか?
細粒クスクスを、15〜20分茹でるこの手順にそのまま入れることはできません。粒の形も食感も変わってしまうからです。代用品で作るなら、包装に指定された戻し方や加熱方法で別に調理し、鶏と豆の煮汁を食べる直前にかける形にしてください(家庭向けの提案です)。モグラビエと同じ仕上がりにはなりません。この記事の工程画像も、大粒のモグラビエ用のものです。
翌日に温め直すときは?
冷蔵しておいた汁と、鶏・豆・玉ねぎを鍋に入れて中火で温め、全体が熱くなったところで粒を加えます。足りない汁気は、水か煮汁を50mlずつ足して調整します。再加熱も中心74℃以上まで確認してください。鶏も残り物も同じです。電子レンジを使うときは、途中で混ぜて冷たい部分を残さないようにします。冷凍品は、冷蔵庫で解凍するか、電子レンジで解凍してすぐ再加熱します。室温での解凍はしません。
辛さを控えたいときは?
この配合には唐辛子を加えていませんが、黒こしょうと香辛料は入っています。7スパイスは製品によって配合が違うので、表示を確かめてください。子どもや刺激が苦手な人に出すなら、黒こしょうの量を減らす方法があります(家庭向けの提案です)。シナモンの甘い香りがしても、糖分を加えた甘さではありません。
小麦や乳のアレルギーがある場合は?
小麦を含むモグラビエ、クスクス、マフトゥールは、いずれも小麦を避けるための代替にはなりません。乳を避けて植物油で作る版でも、小麦は残ります。原材料表示と製造時の混入情報を確認してください。少量なら食べられる、といった勧め方はしません。
鶏の焼き色やほぐれやすさは、味と食感の目安であって、安全な加熱の証明ではありません。肉に触れた器具と、食べるための器具は分け、温度計で中心温度を確かめてください。小麦と乳を含む材料を食卓で共有するときは、取り分ける前に、食べられない材料がないか確認しましょう。
栄養値はどのくらいですか?
栄養表示は、Simply Lebaneseの6人分のレシピにある1人分の推計値、598kcal・たんぱく質33.7g・脂質27.6g・炭水化物64.9g・食物繊維7.5gを、6倍した全量の参考値です。今回の鶏の重量1.2kgは、原資料の2〜3lbの範囲内にあり、米国カップは約240mlで計量した家庭向けの目安です。銘柄、骨と皮の歩留まり、汁を飲む量によって、栄養値は変わります。実測値や、各皿で保証される量ではなく、元のレシピの計算に基づく概算としてご覧ください。














