黒豆を詰めて揚げたユカタンのパヌーチョスに、ほぐし鶏、紫玉ねぎ、レタス、トマト、アボカドを重ねた食卓
🔪下準備50分
🔥調理55分
🍽️分量4
🌍料理メキシコ料理・ユカタン料理

パヌーチョスの作り方|ユカタンの豆入りトルティーヤ

約28分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 7

鶏肉をアチョーテと柑橘に漬け、火を通す

所要時間下味15分 / 加熱15〜18分

手順1: 鶏肉をアチョーテと柑橘に漬け、火を通す

アチョーテペースト30g、オレンジ果汁60ml、ライム果汁20ml、にんにく、クミン、オレガノ、塩を混ぜます。鶏もも肉350gを一口大に切り、下味をもみ込んで15分置いてください。ペーストの塩分が強いときは、追加の塩を減らします。

厚手のフライパンを中火で温め、鶏肉と漬け汁、水50mlを入れて沸かします。そのあと弱めの中火にしてふたをし、12〜15分煮ます。中心温度が74℃以上で、断面に赤い部分がなく、汁がさらさらから少し濃くなった赤橙色になったら火を止めましょう。5分休ませてから繊維に沿ってほぐし、汁を大さじ1〜2だけ戻します。汁が多いときは、肉と分けておきます。赤橙色の汁を少し残したほぐし鶏が、生地の重さに負けない上具になります。加熱温度と家庭配合は、安全面を考えた編集部案です。

STEP 22 / 7

黒豆をつぶし、流れないペーストにする

所要時間約15分 / 火は中火から弱火

手順2: 黒豆をつぶし、流れないペーストにする

玉ねぎ40gとにんにくを油15mlで2〜3分炒め、香りが出たら黒いんげん豆300g、水または煮汁80ml、塩を加えます。ふつふつする弱火で8分煮てから、つぶすか粗く攪拌してください。完全な液体にはせず、へらの筋が2秒残る濃さにします。

小鍋かフライパンに戻し、弱火で3〜5分、水分を飛ばします。冷めるとさらに固くなるので、熱いうちに粉のように乾かさないでください。ゆるければ弱火で2分ずつ足し、固すぎれば水を小さじ1ずつ戻します。油を増やしてごまかしてはいけません。目指すのは、へらの跡が残り、絞り出せない固さです。

熱いうちは少しやわらかく、へらで持ち上げるとゆっくり落ちるくらいがちょうどよい状態です。冷めてスプーンを逆さにしても落ちない固さになれば、トルティーヤの中で広がりにくくなります。乾いてひび割れたら水を小さじ1、ゆるく垂れたら弱火で2分で戻してください。

STEP 33 / 7

紫玉ねぎを酢に入れ、具材を水切りする

所要時間薄切り5分 / 漬け込み30分

手順3: 紫玉ねぎを酢に入れ、具材を水切りする

紫玉ねぎ120gを薄切りにし、沸騰直前の湯をさっと回しかけて、辛味を軽く抜きます。白ワインビネガー80ml、水40ml、塩2g、好みでハバネロを合わせ、玉ねぎを漬けましょう。赤紫色が透ける30分を待つと、外側が透けて、赤紫色が鮮やかになります。酢液はよく混ぜて塩を溶かし、玉ねぎは手でほぐして液になじませます。しんなりして、つまむと軽く曲がるなめらかな状態が目安です。

レタスは細切り、トマトは角切り、きゅうりは薄切りにし、アボカドは最後に切ります。野菜の水分は、キッチンペーパーで押さえてください。酢漬けは肉に混ぜず、仕上げにのせます。辛味を分けたい人のために、ハバネロを入れない容器を先に取り分けておきましょう。湯通しと分量は家庭用の編集部案です。

STEP 44 / 7

マサ・ハリナをこね、薄いトルティーヤを焼く

所要時間こね5分 / 休ませ10分 / 焼成約15分

手順4: マサ・ハリナをこね、薄いトルティーヤを焼く

マサ・ハリナ240gと塩3gに、ぬるま湯を300mlから加えていき、耳たぶほどの固さで、ひびのない生地にします。5分こねて10分休ませ、8等分して1個約70gにしてください。厚手の保存袋の間か、トルティーヤプレスで、直径10cm、厚さ3mmに押します。

油をひかない厚手のフライパンを中火から強めの中火で温め、片面45秒、返して45秒、もう一度返して15〜30秒焼きます。表面が乾き、縁が浮き、中央に小さな気泡が出てから軽くふくらめば合図です。中央に気泡が出て薄い層が浮く瞬間を見逃さないようにし、焦げそうなら火を少し落としてください。ふくらまないときは、生地が乾いている、厚さが均一でない、フライパンの温度が低いのどれかかもしれません。水を数滴足してこね直し、1枚で試します。温度と分量は家庭用の編集部案です。

全面を硬く焼くと薄い上層が割れやすくなります。表面が乾いて中央がふくらんだら、そこで取り出してください。取り出したトルティーヤは乾いた布で覆い、水分を保ちます。ふくらみが小さくても、縁の内側に浅い切れ目を入れて下層を残せば、豆を詰められます。

STEP 55 / 7

薄い上層を開け、黒豆を詰める

所要時間約12分

手順5: 薄い上層を開け、黒豆を詰める

焼いたトルティーヤを1分だけ冷まし、縁から5mm内側に短い切れ目を入れて、表面の薄い層だけを開きます。下層を残して上層だけを開くのがこつで、下側の生地は切り抜きません。黒豆ペーストを1個あたり約20g、中央へ薄く広げ、開いた層を戻して縁を軽く押さえます。焼いたトルティーヤは中火で薄い焼き色がつき、指で触れると少し乾いて張りがある状態が切れ目を入れる目安です。温度は触れる程度のぬくもりまで下げ、層が破れず、豆が縁から出ない柔らかさなら次へ進みます。

裂けてしまったら、水で練ったマサを米粒大にして外側から補修し、豆は追加しないでください。豆を入れすぎると揚げ油に漏れ、少なすぎると、この料理の構造が分からなくなります。最初の1枚で量を確かめましょう。

STEP 66 / 7

170〜175℃の油で揚げる

所要時間1個3〜4分

手順6: 170〜175℃の油で揚げる

フライパンに油を8mm張り、170〜175℃を保ちます。温度計がなければ、乾いた木べらの先に細かな泡が続く状態を目安にしてください。パヌーチョスを1〜2個ずつそっと入れ、片面1分30秒から2分、返して1分から1分30秒揚げます。

取り出す目安は、きつね色の縁と、継ぎ目から豆が出ない状態です。表面が均一なきつね色で、縁が硬く、持ち上げたときに油が細く落ちるようなら、網に立てて油を切ります。165℃未満だと油を吸って重くなり、180℃を大きく超えると、表面だけ焦げて豆が温まりません。万一破裂したら、火は止めずにトングで距離を取り、油が落ち着いてから取り出します。水は決してかけないでください。

最初の1個は、豆の量、継ぎ目、揚げ時間を確かめる試運転です。表面がすぐ濃くなるなら火を弱め、色が付かずに油を吸うなら、1個ずつ揚げて温度を戻します。揚げたものは重ねず、網やキッチンペーパーの上に立てて、表面を蒸らさないようにしましょう。

STEP 77 / 7

具を重ね、温かいうちに食べる

所要時間盛り付け5分

手順7: 具を重ね、温かいうちに食べる

揚げたパヌーチョス1個に、レタス、ほぐし鶏、トマト、きゅうり、アボカド、紫玉ねぎを順に少量ずつのせます。鶏肉の赤橙色の汁はかけすぎず、紫玉ねぎの酢を小さじ1程度添えてください。ハバネロは別添えにして、辛さは食べる人が調整します。揚げたてはきつね色の焼き色で、持つと軽くパリッと張り、中の豆がしっとり温かい状態です。具は温かいうちに重ね、冷めて衣が柔らかくなる前に食べましょう。

熱い生地、常温の野菜、冷たいアボカド。この温度の違いを重ねて、揚げた直後の硬さが残るうちに出します。揚げた生地に酸味と野菜を重ねるのが、現地の食べ方です。肉、酸味、辛味の量を、食べる人がそれぞれ変えられるよう、具材は一皿に混ぜ込まないでください。盛り付け順は編集部案です。

生の鶏肉を扱った器具は、洗ってから野菜に使ってください。鶏肉の汁を生野菜に直接かけるのも避けます。揚げ油には、水分の多いトマトや酢漬け、濡れた豆を落とさないこと。具は表面の汁を落としてから盛ります。パヌーチョスは揚げた直後がいちばん食感を保つので、具をのせたまま保存しないでください。

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Ingredients

材料を分けて見る

準備

買い出しの前に

表は、黒豆、トルティーヤ生地、鶏肉、紫玉ねぎと仕上げ、揚げ油の五つに分けています。日本で現地の材料を置き換えるとき、外せないのは二つです。粉はマサ・ハリナ、色と香りはアチョーテ。マサ・ハリナは、一般的なコーンフラワーやコーンスターチ、小麦粉ではなく、とうもろこしの香りと成形性を担う専用の粉です。アチョーテ(アナトー)は色だけでなく土っぽい香りも運ぶので、赤い着色料に替えても同じ味とは言えません。購入支援V2は、材料表の「マサ・ハリナ」「アチョーテ」から一般名の検索カードを作ります。特定のブランドや価格は、ここでは挙げません。

パヌーチョスの材料。マサ・ハリナ、黒いんげん豆、鶏もも肉、アチョーテ、紫玉ねぎ、柑橘、野菜を並べた調理台
マサ・ハリナとアチョーテを中心に、黒豆と仕上げの野菜をそろえる
6品目

黒豆ペースト

材料 分量 代替・備考
加熱済み黒いんげん豆 300g 缶詰は汁を切って使う。乾燥豆なら戻して柔らかく煮たもの
白玉ねぎ 40g みじん切り。紫玉ねぎでもよいが、上の酢漬けとは分ける
にんにく 1/2片(約3g) 省略すると豆の甘さが前に出る
水または豆の煮汁 80ml ペーストの濃度調整用。最初から全量を入れない
塩 3g 缶詰の塩分を確認して調整
菜種油またはラード 15ml 豆を炒める油。ラードは香りが強くなる
3品目

トルティーヤ生地

材料 分量 代替・備考
マサ・ハリナ 240g マサレパ、コーンスターチ、小麦粉では代用しない
ぬるま湯 320ml前後 粉の乾き具合で10mlずつ増減する
塩 3g 生地用。入れすぎると豆と具の味を隠す
8品目

アチョーテ風の鶏肉

材料 分量 代替・備考
鶏もも肉 350g 皮なし。七面鳥が手に入れば同量で置き換えられる
アチョーテペースト(アナトー) 30g 商品の塩分により塩を減らす。種子や粉末を使う場合は風味が変わる
オレンジ果汁 60ml ユカタンのサワーオレンジを日本で置き換える果汁
ライム果汁 20ml レモンだけにせず、オレンジの丸い香りを残す
にんにく 1片(約6g) すりおろす
クミンパウダー 2g 小さじ1弱。香りを足しすぎない
乾燥オレガノ 1g 小さじ1/2。省略してもアチョーテの軸は残る
塩 4g ペーストの塩分を見て調整
10品目

紫玉ねぎの酢漬けと仕上げ

材料 分量 代替・備考
紫玉ねぎ 120g 薄切り。赤玉ねぎでもよい
白ワインビネガー 80ml 米酢でも作れるが、香りは穏やかになる
水 40ml 酢の角を和らげる
塩 2g 酢漬け用
ハバネロ 1/2個まで 辛さが苦手なら省略し、別添えのソースにする
レタス 80g 細切り
トマト 1個(約150g) 角切り。水分が多ければ種を少し除く
きゅうり 1/2本(約60g) 薄切り。資料にある付け合わせの一例
アボカド 1個 食べる直前に切る
香菜 10g 苦手なら省略可
1品目

揚げるための油

材料 分量 代替・備考
揚げ油 300ml前後 フライパンに8mmの深さ。菜種油など香りの弱い油
日本で買い足すなら

買うなら、まずマサ・ハリナです。トルティーヤの成形性に直結するので、初めて作る人でも、一般的なコーンフラワーで済ませずに買う価値があります。アチョーテは、色だけが欲しい人には必須ではありません。ただ、鶏肉をユカタンらしい赤橙色と土の香りに寄せたいなら、買う対象に入れてください。トルティーヤプレスは必須ではなく、8個だけなら厚手の保存袋を切り開き、平底の鍋や皿で押せます。生のマサ、サワーオレンジ、七面鳥が手に入らなくても、料理の核は失われません。代わりは表に書いた範囲で用意します。専用粉は買い、専用器具は急がない。これが材料集めの順番です。

黒豆ペーストは缶詰でも作れます。甘い黒豆煮ではなく、塩味の料理用の水煮を選び、汁を切ってから使います。

アレルギーと揚げ油の注意

この料理には、とうもろこし、豆、鶏肉、柑橘、香辛料を使います。アチョーテペースト、缶詰、酢、揚げ油は、製品の表示でアレルゲンと共用設備を確かめてください。鶏肉は中心74℃以上になったのを確認し、加熱前の包丁、まな板、トングを生野菜に使い回さないこと。揚げ油には、水分の多い具を落とさず、トルティーヤをそっと入れます。油がはねたときは、水をかけてはいけません。ハバネロを扱った手で目や顔を触らないようにし、辛さが苦手な人の分は、酢漬けとソースを分けておきます。


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材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

栄養情報 1人分の目安
160kcal
エネルギー
7.5g
タンパク質
7.3g
脂質
16.8g
炭水化物
3.0g
食物繊維
263mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。
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材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

メリダの市場や経済食堂の朝。小さなとうもろこしトルティーヤが鉄板の上でふくらみ、薄い層がふわりと浮いたところへ、黒豆のペーストが差し込まれます。豆を外に塗るのではなく内側に隠すのが、パヌーチョス(原綴りは Panuchos、単数形は Panucho)の手つきです。そのまま油へ滑らせるとじゅっと音が立ち、揚がった生地の上に肉、野菜、紫玉ねぎが重なっていきます。ユカタン州の観光案内が、市場の屋台や経済食堂、レストランで食べられる料理として紹介している、ごくふつうの朝の一皿です。

メリダの食堂を思わせる卓上に並ぶパヌーチョスの材料と揚げたトルティーヤ
ユカタンの市場や食堂で重ねられる具材を、家庭の調理台に並べたイメージ

ひと口かじると、外側は香ばしく、内側からは濃い黒豆のペーストが出てきます。その上に、アチョーテ風の鶏肉、レタス、トマト、アボカド、紫玉ねぎが重なります。酸味のある紫玉ねぎが揚げた生地と豆の重さを切るので、最後まで軽やかに食べ進められます。具は、資料で確かめられるのは鶏肉か七面鳥です。野菜の組み合わせは家庭で組み替えられる部分なので、この二つは分けて考えてください。初めて作るときにつまずきやすいのは、粉の種類、豆ペーストの固さ、そして焼いた生地の薄い層を破らずに開くことの三つです。

この記事の家庭版は4人分8個です。生のマサではなくマサ・ハリナを使い、サワーオレンジはオレンジ果汁とライム汁で補います。鶏もも肉にはアチョーテ、クミン、オレガノ、柑橘で下味を付け、家庭のフライパンで中心74℃以上まで加熱してほぐします。特別なトルティーヤプレスは必須にせず、厚手の袋と平底の器で代用します。ここに並べる配合は、参照した家庭向けの配合を4人分にまとめ直した編集部案です。伝統的な唯一の配合ではありません。

ユカタンの朝、豆をトルティーヤの内側へ

ユカタンの料理は、マヤの人々のとうもろこしが土台にあります。メキシコ文化省(Secretaría de Cultura)とユカタン州政府(Gobierno del Estado de Yucatán)は、そこにスペイン、カリブ海、ヨーロッパなどとの出会いが重なって、食材も味も層を増やしてきたと説明しています。赤玉ねぎ、酸味のある柑橘、アチョーテ、ハバネロ。甘いだけではない、くっきりした輪郭の味が並びます。とうもろこしを中心に異なる時代の味が重なるのがこの土地の台所で、パヌーチョスは、とうもろこし、豆、肉、酸味、辛味を一皿に積み上げた料理だと言えます。

似た名前の料理にサルブーテがあります。パヌーチョスは、焼いてふくらませたトルティーヤの上層を開き、豆を内部へ詰めてから揚げます。サルブーテは生地をそのまま揚げる料理として紹介されていて(Yucatán Travel、Directo al Paladar México)、サルブーテにはない内側の豆が大きな違いです。どちらが正しいという話ではありません。同じ食堂や市場に並ぶ、食感の違う別々の料理です。

豆知識|名前にまつわる小話

パヌーチョスの名は、Don Hucho という人物とメリダの宿に結び付けて語られることがあります。Directo al Paladar México などの料理記事が紹介している話ですが、あくまで伝説として伝わるもので、確かな発祥史とは言えません。起源をひとつに決めるより、ユカタンの市場や経済食堂で今も受け継がれる食べ方のほうに目を向けたほうが、この料理の楽しさはよく伝わります。

メリダの経済食堂、市場の屋台、レストラン。パヌーチョスはそうした場所で出てきます。載せる具は、鶏肉、七面鳥、レタス、トマト、アボカド、キュウリ、紫玉ねぎ、ハバネロなど、資料によって少しずつ違います(Yucatán Travel、Secretaría de Cultura、SIC)。そこで今回は鶏肉を使い、野菜と紫玉ねぎの酸味を別々に用意しました。肉と野菜を一度に固定せず、食卓で重ねることで、食べる人が一個ごとに重ね方を変えられます。現地ではフレッシュウォーターやハバネロソースが添えられることもありますが、だからといって料理の辛さを一律にする理由にはなりません。

パヌーチョスを食卓に運ぶ

メリダの市場や食堂で出会う一皿を、家庭ではこう運びます。レタス、トマト、アボカド、きゅうり、紫玉ねぎ、ハバネロの皿を横に置き、揚げたてを各自が一個ずつ好きに仕立てる。一皿に固定せず、食卓で具を選ぶ。特定の店の話ではなく、この料理が暮らしの中で食べられてきた姿を、そのまま台所に持ち込むつもりで並べてみてください。肉は七面鳥のこともあれば鶏肉のこともあり(Yucatán Travel、SIC、Secretaría de Cultura)、今回の鶏肉版が唯一の正解というわけではありません。現地ではフレッシュウォーターや別添えのハバネロソースが添えられることがありますが、辛さも飲み物も、家庭で加減して構いません。

名前の由来は伝説として伝わるだけで、確かな発祥史は示されていません。だから「本場の一皿」をひとつに決めず、店ごと、家庭ごとに具や添えものが違う料理として受け止めるのが安全です。資料で確かめられる地域差の話も、サルブーテとの並び方や、鶏肉か七面鳥かといった具の幅までです。ここで紹介する重ね方は、その幅の中から選んだ一例です。

日本での置き換えで残るものと変わるものも、ここで整理しておきます。マサ・ハリナは、生のマサを用意しにくい日本の家庭では最も実用的な選択です。ただし粉を変えると、生地のふくらみも香りも変わります。サワーオレンジの代わりには、オレンジ果汁とライム汁を使います。果実の丸みはオレンジ、鋭い酸味はライムが受け持つので、ライムだけ、酢だけにはしません。アチョーテはペーストを使えば、色と香りを一度に足せます。赤い着色料、パプリカだけ、チリパウダーだけでは、同じ味になりません。買うのは粉と香り、見送れるのは専用器具で、1回だけ作るためにトルティーヤプレスを買う必要はありません。生地を何度も作る人だけが、作業時間との釣り合いで考えればよいでしょう。

アチョーテと酸味の背景をもっと知りたくなったら、コチニータ・ピビルへどうぞ。

豆や具を重ねるメキシコのmasa料理と形を比べたいときは、ソペが手がかりになります。

とうもろこし生地を蒸す料理との違いは、タマーレで確かめられます。

失敗しそうなときの戻し方

うまくいかないときは、状態を見て水、火、酸味を一つだけ戻すのが近道です。生地が割れるのは水分不足と厚さの不均一、ふくらまないのは温度不足か焼きすぎ、豆が漏れるのは詰めすぎか補修不足、と整理できます。油を吸ったら、次に揚げる個数を減らして170〜175℃に戻してください。焦げたら温度を下げ、黒くなった豆ペーストは混ぜ戻しません。味が重いときは、ハバネロを増やすのではなく紫玉ねぎの酢漬けを足します。鶏肉が乾いたときは、取り分けた汁を少量戻しましょう。

困った状態 原因の候補 戻し方
生地を押すと縁が割れる 水分不足、休ませ不足 水を小さじ1ずつ足してこね、10分休ませる
トルティーヤが膨らまない 生地が厚い、フライパンが低温、焼きすぎ 1枚を薄く押し直し、中火から強めの中火で焼き時間を調整する
豆が揚げ油へ漏れる ペーストがゆるい、詰めすぎ、上層の補修不足 豆を減らし、縁へ少量のマサを塗って閉じる
表面が焦げて中が重い 油温が高すぎる 次の1個を入れる前に170〜175℃へ下げ、火を弱める
油を吸って柔らかい 油温が低い、同時に入れすぎた 1〜2個ずつ揚げ、網へ立てて余分な油を落とす
味が重く感じる 酸味が足りない、鶏肉の汁が多い 紫玉ねぎを増やし、鶏肉の汁は小さじ1ずつ戻す
コツ|最初の1個を味見の基準にする

最初に揚げた1個を半分に割り、外側の硬さ、豆の温度、継ぎ目、油の残りを確かめます。豆が熱くなければ、ペーストを冷ましすぎたのかもしれません。残りを弱火で温め直し、水分は足しすぎないでください。酸味が足りなければ紫玉ねぎを追加します。油をさらに吸った生地は、揚げ直さないほうがよいでしょう。

保存と翌日の食べ方

生地と具を別々に冷やすのが、保存の基本です。鶏肉と黒豆は浅い容器に移して粗熱を取り、2時間以内を目安に冷蔵します。生野菜と酢漬けは別の容器に入れてください。加熱済みの鶏肉の冷蔵は3〜4日が目安です。においやぬめりがあるとき、常温に置いたままにしたときは、食べないでください。冷凍するなら、鶏肉と黒豆だけを一食分ずつ分けます。紫玉ねぎは冷蔵で食感が変わるため、作り置きは清潔な容器で早めに使い切ります。具をのせたパヌーチョスは保存しません。

翌日は、トルティーヤを乾いたフライパンかトースターで温め直し、具は別に温めてから、食卓でのせてください。冷却と冷蔵は一般的な食品安全の考え方に沿った編集方針で、日数は最終稿で公式の食品安全資料と照合します。

保存するもの 容器と期間の目安 翌日の戻し方
ほぐし鶏 浅い密閉容器で冷蔵3〜4日、または小分け冷凍 汁を少量添えて小鍋で中心まで温める
黒豆ペースト 清潔な容器で冷蔵3日程度 水を小さじ1ずつ足し、弱火で練り戻す
紫玉ねぎの酢漬け 酢が全体に回る密閉容器で冷蔵 加熱せず、汁を切ってのせる
揚げたトルティーヤ 具をのせず当日中 乾いたフライパンで短時間温め、食感が戻らなければ作り直す

よくある質問

パヌーチョスとサルブーテは何が違いますか?

パヌーチョスはトルティーヤの内部に黒豆を詰めて揚げ、サルブーテは生地をそのまま揚げます(Yucatán Travel、Directo al Paladar México)。上に肉や野菜をのせる点は似ているので、見た目だけでは見分けにくい二つです。

マサ・ハリナをコーンフラワーで代用できますか?

一般的なコーンフラワーやコーンスターチは、生地の水分保持と成形性が違うため、同じパヌーチョスとしてはおすすめしません。マサ・ハリナがないときは、豆を中へ詰める工程をあきらめ、通常のコーントルティーヤに豆と具をのせる別の家庭料理に切り替えるほうが、失敗を隠さずに済みます。マサ・ハリナを買うなら、残りをタコス用トルティーヤやソペに使う予定のある人ほど、無駄が少なくなります。

アチョーテがなければ赤い色を足せばよいですか?

アチョーテは色と穏やかな土の香りを担うので、パプリカや着色料だけでは同じ風味になりません。手に入らないときは、鶏肉を柑橘、にんにく、クミン、オレガノで調理し、アチョーテなしの家庭版として、味が違うことを承知のうえで楽しんでください。赤橙色に仕上がっても、それを本場の味と同じだとは考えないでください。

トルティーヤプレスは必要ですか?

8個なら、厚手の保存袋を切り開き、平底の鍋や皿で上下から押せます。何度も作る人や、直径をそろえたい人には作業が楽になりますが、1回のための必需品ではありません。先にマサ・ハリナとアチョーテへ予算を回したほうが、味の違いを確かめやすいでしょう。

ハバネロは省けますか?

省けます。紫玉ねぎの酢漬けは残し、ハバネロだけを別添えにすれば、酸味と辛味を分けられます。料理資料やユカタン州の案内にハバネロは登場しますが、全員が同じ辛さで食べる決まりではありません。生のハバネロを触った手で顔を触らないこと、包丁とまな板を洗うことも、忘れないでください。

主な参考リンク

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