黒く焼いたパンノキ、きつね色の魚 — 二つのシンプルな調理を一皿に
パンノキは丸ごと焼き、魚は別に味つけして揚げ、最後に一つの皿に合わせます。この組み合わせがこの料理の中心です。
屋外の炭火か薪火の上に、パンノキを丸ごと一つ置き、ときどき返しながら皮が全体に焦げるまで焼きます。そこへ串を刺し、上から下まですっと通るか、手袋をした手でそっと押して実がへこめば、皮をむく合図です。一方、別の場所では、玉ねぎ、チャイブ、にんにく、タイム、塩をすり込んだ魚に薄く粉をまぶし、熱い油に入れます。
この情景は、トロントのセントビンセント・グレナディーン協会(St. Vincent and the Grenadines Association of Toronto)がまとめたレシピ冊子に書かれたものです。冊子は、炭火か薪火で焼く方法を現地でもっとも一般的なパンノキの焼き方としています。同じ冊子にオーブンで焼く方法も載っていて、この記事では家庭の台所で作れるようにそちらを使います。
分量の読み方 — 記録されていること、いないこと
以下の分量は、公開されているレシピから取った目安です。編集部は台所で試作していません。味つけはご自身で加減し、それぞれの火の通りは時計ではなく状態で判断してください。
主なレシピは、トロントの協会の冊子です。大きなパンノキ1個、ジャックフィッシュ1ポンド、ライムまたはレモン汁、刻んだ玉ねぎ・チャイブ・にんにく・タイム合わせて1/4カップ、塩大さじ1、衣用の粉、揚げ油が挙げられています。粉、油、柑橘汁の量は書かれていません。
別に、The Daughters of the British Empire in the USA が公開しているゲストレシピがあり、味つけと塩は冊子と一致しています。こちらには粉が約1カップ(好みで調整)、油が約1/4カップとあります。この二つの量は、作り方が成り立つようにこのレシピから借りたもので、冊子の数字ではありません。柑橘汁の量はどちらのレシピにもないので、ここでは「魚を覆って15分置ける量」とだけ書きます。
オーブンの温度は、冊子の350°F(約180°C)に従います。約180°Cは丸めた換算です。ゲストレシピには250〜350°Fという幅がありますが、作業の温度としては使いません。
わからないことは、推測で埋めずにそのまま残します。
- 魚の種類:どちらのレシピも「ジャックフィッシュ」がどの魚を指すか書いておらず、それを特定する資料も見つかっていないため、魚種は挙げません。
- 人数:どちらのレシピにも出来上がりの人数はなく、果実や魚の大きさでも変わります。
- 香味野菜の内訳:合計1/4カップだけで、それぞれの割合は書かれていません。
- 魚の重さ:1ポンドが下処理の前か後かわかりません。
63°C(145°F)という加熱の目標、冷蔵でのマリネ、生魚の衛生上の注意は、米国食品医薬品局(FDA)の指針をもとにした安全面の補足です。現地のレシピの伝統から来たものではありません。
道具
- オーブンと天板
- 丈夫な串かフォーク
- 耐熱の手袋
- 柑橘に漬けるための、ふた付きの浅い容器
- 生魚用のまな板と器具一式と、それ以外の食材用の別の一式
- 粉を広げる皿か紙
- キッチンペーパー
- フライパン
- 食品用の温度計
選び方と代用
パンノキ。 同じ香りと食感になる代用品はありません。大きなパンノキを選び、青果店や専門食材店には「丸ごと焼くつもりです」と伝えて相談してください。冷凍や加工品のパンノキがあるかどうかも尋ねられますが、このレシピでどうなるかは確かめていません。
魚。 ジャックフィッシュを扱っているか、その名前でどの魚を指すのかを魚屋に尋ねてください。手に入らなければ、粉をまぶしてフライパンで揚げるのに向く魚を相談します。これは伝統的な代用ではなく編集部からの提案で、風味、脂、骨、見た目は変わります。
選ぶときは、冷蔵ケースか氷の上で売られている新鮮な魚で、身に張りがあり、強い魚臭、酸っぱいにおい、アンモニア臭のないものにします。買ったらすぐに冷蔵し、2日以内に使う場合は40°F以下で保管してください。
小麦粉。 衣には小麦粉を使います。小麦を避けたい場合は米粉も一案ですが、編集部の提案で、食感は変わります。アレルギーのある人に作るときは、ラベルを確認してください。
うまくいかないとき
| 気づいたこと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 約1時間半たっても串が通らない | 実が大きい、またはオーブンが違う | 焼き続けて、もう一度確かめます。時間ではなく柔らかさで判断します |
| 穴を開け忘れたまま、もうオーブンに入れてしまった | 穴を開ける工程を飛ばした | オーブンを切り、耐熱の手袋で慎重に取り出します。触れるようになってから穴を開けます |
| 衣が厚い、またははがれる | 魚が濡れたままだった、または余分な粉が残っていた | 味つけの前に魚の水気をよくふき、粉は十分に払い落とします |
| 油から煙が出る | 火が強すぎる | 火を弱め、煙が止まってから魚を入れます |
| 片面4分で焼き色がついたが、中心が63°C(145°F)に届いていない | 魚が厚い。時間はあくまで目安 | 中心が63°C(145°F)に届くまで加熱を続けます。衣が濃くなりすぎるなら火を弱めます |
| 魚が塩辛い | この量の魚に塩大さじ1は多いことがある | パンノキをたっぷり添えて食べ、次回は塩を減らします |
生の魚やその汁を、加熱済みの食べ物に触れさせないでください。生魚用のまな板や器具は、加熱済みの食べ物用のものと分け、生魚を扱ったあとは手と器具を洗います。
試してみたい変化
火で焼く方法とライム/レモンの選択は冊子にあるものですが、ほかはすべて編集部の提案です。どれも皿の印象が変わるので、完全に同じものではなく、新しいバージョンとして楽しんでください。
| 変更 | やり方 | 変わること |
|---|---|---|
| 炭火か薪火で焼く | 実に穴を開け、火の上で間隔をあけて返し、皮が全体に焦げるまで焼きます。串か手袋越しの押し加減で確かめます | 冊子が現地で最も一般的とする方法です |
| ライムの代わりにレモン | 柑橘に漬けるとき、手元にあるほうを使います | 冊子はどちらも認めていますが、香りは同じではありません |
| チャイブの代わりに青ねぎ | 同じ香味野菜の合わせ方で使います | 場所によっては手に入りやすい一方、香りは変わります |
| 別の魚 | 粉をつけて揚げるのに向く魚を魚屋に相談し、中心63°C(145°F)まで火を通します | 風味、脂、骨、見た目が変わります |
| 小麦粉の代わりに米粉 | 同じように魚にまぶし、余分を払います | 小麦粉は避けられますが、食感は違います |
この料理の背景 — 海、漁業、そして一冊の冊子
セントビンセント・グレナディーン政府の観光客向け文化ページは、この国の食を海と漁業、島々の間を行き来する産物に結びつけて紹介しています。同じページが、フライド・ジャックフィッシュとローストブレッドフルーツを国の代表料理として挙げています。これは観光客向けの概説なので、この料理がどう紹介されているかはわかっても、各家庭でどう作られているかまではわかりません。
いちばん詳しいレシピの記録は、ディアスポラ(海外に暮らす人びと)から来ています。トロントの協会の教育委員会がパンノキの冊子をまとめ、そこでもこの料理を代表料理としています。冊子の説明では、パンノキの部分は2004年に出た農漁業省の刊行物『The Breadfruit Plant of St. Vincent and the Grenadines』をもとに手を加えて編集したもので、ジャックフィッシュの情報はセントビンセントの人びとの寄稿によるものです。
冊子は、食卓の幅も示しています。この料理は「ゴールデンアップル・ドリンク」と一緒に食べることが多いとされ、ローストしたパンノキを塩だらのブルジョルや季節のトリトリと合わせる例も載っています。焼き方も火とオーブンの両方が挙げられているので、どれか一つを唯一の正解として示してはいません。手元の資料からは、この料理の起源も、島々にパンノキが入った歴史もわからないため、そうした話は書かないことにしました。
カリブ海のほかの一皿と比べるなら、魚と主食の組み合わせとしてバルバドスのクークーとトビウオ、焼くのではなく煮込んだパンノキとしてグレナダのオイルダウン、塩魚と主食になる果実の組み合わせとしてセントルシアのグリーンフィグと塩だらがあります。
よくある質問
ジャックフィッシュとはどんな魚ですか?
使ったレシピは魚種を挙げておらず、はっきり決められる資料も見つかっていません。そのため、特定の魚と同じだとは言いません。魚屋で、その名前で何を売っているか尋ねてください。
生のパンノキが見つからないときは?
同じ食感と香りになる代用品は、見つかっていません。専門食材店に冷凍や加工品のパンノキがあるか尋ねることはできますが、このレシピでどうなるかは確かめていません。ほかのでんぷん質のものを使えば、それは別の一皿になります。
家庭のオーブンでパンノキを焼けますか?
焼けます。冊子にはオーブンで焼く方法があり、実に穴を開けてから350°F(約180°C)で約1時間半、柔らかくなるまで焼きます。串を通す確認方法も、手袋で押す確認方法も、火で焼く場合と同じです。
魚は片面4分で足りますか?
目安として考えてください。冊子には片面約4分、または焼き色がつくまでとありますが、厚みで時間は変わります。FDAの指針では、魚は中心温度63°C(145°F)まで、または身が不透明になってフォークでほぐれるまで加熱します。
トマトソースは必須ですか?
必須ではありません。冊子には、任意のトマトソースが別のレシピとして、材料も手順も別に載っています。この記事では、基本の魚とパンノキだけを扱います。
何人分ですか?
どちらのレシピにも出来上がりの人数はなく、編集部も確かめていません。パンノキの大きさや魚の切り分け方によって変わります。
残ったときはどうしますか?
レシピに保存の指示はなく、編集部も保存期間は示しません。残りは室温に置いたままにせず、冷ましてから、ふた付きの容器に入れてすぐ冷蔵してください。














