この料理の物語 — 揚げパンの隣に、甘いヨーグルト

マハーラーシュトラのグディ・パドワの食卓を思い浮かべてください。台所では、ふくらんだプーリー(揚げパン)が油から引き上げられ、その隣の小鉢には、冷やしたシュリカンドが盛られています。熱々の揚げパンと、冷たいヨーグルトの甘味。シュリカンドは水切りしたヨーグルトで作る甘味で、この二つを同じ食卓に並べるのが、祝いの日の典型的な組み合わせです。
Shrikhandは、マハーラーシュトラとグジャラートに伝わる甘味です。基本の材料は、水切りヨーグルト、砂糖、カルダモン、サフラン。仕上げにナッツを添えます。焼いたり凝固剤で固めたりはしません。ヨーグルトから乳清を除くことで濃度を出すので、水切りで作る濃厚さがこの甘味の中心です。口に含むと、ヨーグルトの酸味の上に砂糖の甘さが乗り、カルダモンの香りが後から立ち上がります。
この甘味は、祭りや特別な日、結婚式の食事にも登場します。ただし、すべての家庭が同じ配合で作るわけではありません。プーリーに添えて食べることもあれば、冷たいデザートとして単独で味わうこともあります。日本でも、無糖ヨーグルトと少量の香辛料があれば作れます。加熱調理をほとんどしない料理なので、味を左右するのは水分の扱いです。香りの核になるのはサフランとカルダモンで、この二つが、普段のヨーグルトを祝いの器に盛る甘味へ変えてくれます。
水切りしたヨーグルトは、マラーティー語でchakka(チャッカ)と呼ばれます。濃さの目安は、通常のヨーグルトよりクリームチーズに近い状態です。発酵を進めて作るのではなく、水分を抜いて濃くしていきます。
途中で見つける、味の決め手
なめらかさを作るコツ

水切りの4時間は、あくまで開始の目安です。布の目、製品の濃度、容器の形で結果が変わるので、時計よりすくった跡が残る濃さを見てください。ヨーグルトが乳清に浸かると水切りが進みにくくなります。深い受け皿を使い、たまった乳清はこまめに取り除きましょう。酸味が強くなったヨーグルトは、甘味でごまかさず、新鮮なものを選んでください。
粉砂糖は、でんぷん無添加のものを選びます。細粒の砂糖を使うときは、舌やスプーンで粒が消えたかを確かめてください。冷却前に少し柔らかくても、冷やすと締まります。すぐに粉や凝固剤を足さないでください。
ゆるい仕上がりになったときは、原因が二つ考えられます。水切りが足りなかったのか、牛乳を入れすぎたのかです。サフラン用の牛乳は10mlを守り、色を濃くするために増やさないでください。砂糖を混ぜたあとに出てくる液体は、乳清だけではありません。ここで再び水切りすると、糖分も香りも一緒に抜けて、配合が変わってしまいます。すぐに食べるなら、器に入れた柔らかいヨーグルトデザートとして冷やし、次回は味付け前に水分を抜くようにしましょう。
冷却後に硬すぎるときは、牛乳を小さじ1ずつ加えて緩めます。一度に入れず、混ぜたあとにスプーンから落ちる状態を見て止めてください。
マンゴーを混ぜる日、香辛料だけで楽しむ日

シュリカンドはマハーラーシュトラでもグジャラートでも親しまれていますが、州ごとに砂糖の量やナッツの種類を決められる根拠はありません。サフランとカルダモンを効かせる基本形、マンゴーを混ぜるもの、ナッツを替えるものなど、家庭や店ごとの幅があると考えてください。家庭ごとに変わる香りも、この甘味の魅力です。
マンゴーを混ぜたものは、Amrakhand(アムラカンド)とも呼ばれます。ここで紹介するのは編集部のアレンジ案です。完成した基本配合の全量に、無糖で濃いマンゴーピューレ80gをまず加えます。柔らかくなりすぎるなら、それ以上は増やしません。果物が入ると甘さも水分も変わるため、基本配合の砂糖を40gから始め、混ぜたあとで調整してください。ピューレの水分に合わせるのがコツです。これは伝統配合の唯一の正解ではなく、日本で作りやすいよう少量を足す案です。
サフランを省いても、カルダモン入りの甘味として作れます。色と香りは変わりますが、牛乳10mlも省略できます。乳製品を使わないアレンジでは、濃い無糖ギリシャ風ヨーグルト400gと植物性ミルク10mlを使います。乳製品と同じ味や栄養にはなりません。大豆やナッツの表示を確認してください。水切りで固まらない製品もあり、その場合は同じ完成状態を無理に求めないことです。
この料理の背景 — 西インドの新年を祝う甘味

グディ・パドワは、マハーラーシュトラで祝うマラーティーの新年です。春、チャイトラ月の満ちていく月の初日に当たります。家の外にグディを掲げ、家庭では祝いの食事を囲みます。春の新年の食卓に欠かせない文化です。日付は年ごとに変わるので、今年の開催日はここでは挙げません。
グディ・パドワの料理として、シュリカンドとプーリーの組み合わせが紹介されています。冷たくて濃厚な甘味と揚げパンを、同じ食事の中で楽しむのです。食後専用の甘味と決めつけることはありません。もちろん、すべての地域や家庭で同じ順番や食べ方をするわけではなく、あくまで一つの組み合わせです。プーリーと一緒に盛りつけると、祝いの食卓らしくなります。
この料理の発明者、成立した年代、名称の語源は、今回確定できていないので触れません。伝統的なやり方でなめらかさを出すには、水切りしたヨーグルトをpuran yantraという裏ごし器に通す方法があります。日本では泡立て器で対応できます。専用の器具を買わないと作れない料理ではありません。
祝いの甘味だけで食事を終えず、野菜料理にも興味が向いた方もいるでしょう。既存のウンドゥユの記事は、グジャラートの冬の野菜とスパイスを扱っています。冬の料理をグディ・パドワの必須料理と混同しないようにしてください。
- グジャラートの野菜料理を作るなら、ウンドゥユの材料と作り方も参考になります。
よくある質問

ヨーグルトと牛乳は乳を含みます。ピスタチオやアーモンドにアレルギーがある場合は使わないでください。植物性に替えるときも、製品の原材料表示を確認します。大豆やナッツ由来を避ける必要がある方は、適合する製品を選んでください。
栄養欄は、ギリシャヨーグルト400gを使った場合の概算です。普通のヨーグルトを水切りした場合は、乳清へ移る成分が異なるため、同じ値にはなりません。計算例では、ヨーグルトに森永乳業パルテノ・プレーン砂糖不使用の表示(100g当たり99kcal、たんぱく質10.2g、脂質4.3g、炭水化物4.9g)を使いました。特定商品の購入を指定するものではありません。砂糖60gはグラニュー糖、牛乳10mlは約10g、ピスタチオ10gは成分表の「いり・味付け」を、エネルギーと三大栄養素の近似に使っています。無塩品の実測ではありません。微量の香辛料は計算に入れていません。全量で約700kcal、たんぱく質42.9g、脂質23.2g、炭水化物82.2gで、1人分は約175kcalです。砂糖を足したり、果物を加えたり、植物性製品に替えたりすると変わります。
普通のヨーグルトでも作れますか?
無糖の全脂プレーンヨーグルトで作れます。基本配合では、1000gから水切り後の400gを確保します。ギリシャヨーグルト400gなら時間を短縮できますが、製品によっては追加の水切りが必要です。低脂肪のものも水切りはできるものの、全脂と同じ濃厚さになるとは限りません。名前や種類より、製品より仕上がりの濃さを見て選んでください。
サフランや専用の器具がなくても作れますか?
サフランは省略できます。カルダモンを残せば、基本の香りを作りやすくなります。道具は、ざる、ボウル、清潔な食品用の布、泡立て器で足ります。布は食品用のものを使い、繊維や洗剤の臭いが移るものは避けてください。無糖ギリシャヨーグルトを使うなら、水切りの道具も要りません。
どのくらい保存できますか?
清潔な蓋付き容器に入れ、4℃以下で冷蔵します。家庭では当日から翌日に食べ切ることを目安にしてください。これは編集部の保守的な提案で、安全期限を実測したものではありません。元のヨーグルトや牛乳は、開封後の指定を優先します。長期保存の保証はできません。食べる分だけ取り出し、異臭やカビがなくても、適切に冷蔵していないものを安全とみなさないでください。
水切りも保存も冷蔵庫の中で行います。FDAの一般原則では、要冷蔵食品を常温に置くのは2時間を超えないこと、気温が約32℃を超える場合は1時間を超えないこととされています。これは常温で水切りしてよい時間を示すものではありません。作業が終わったら、速やかに冷蔵へ戻してください。原材料にアレルギーがある方は、対応する代替を確認しましょう。











