白菜を根元から手で割ると、葉は芯でつながったままです。その葉と葉のあいだに、厚い白い軸を中心に塩をすり込み、あとから赤いペーストを一枚ずつ挟んでいきます。コチュカル(韓国の唐辛子粉)、にんにく、魚醤、塩辛いえびの塩辛(セウジョッ)を、冷ましたもち米粉の粥でのばしたものです。最後は四つ割りにした白菜をそれぞれ自分の外葉でくるりと包みます。塩は厚い軸に、赤いペーストは葉の一枚ごとに。それが通白菜キムチ(통배추김치)の仕込みです。
韓国では単に「キムチ」と言えば、この白菜を葉のまま漬けたものを指すことがとても多くあります。店の瓶詰めではなく、自分の台所で一枚ずつ重ねて仕上げる料理として紹介します。この記事は一つの配合を最初から最後まで通して書いています。白菜は約2.7kgで、できあがりは約3.6kgです。
作業は段階に分かれます。白菜は2時間塩漬けにして30分ごとに返し、そのあいだに粥を煮て完全に冷まします。そのあと白菜を洗って水を切り、ヤンニョムを合わせ、葉に塗って容器に詰めます。できあがったらそのまま食卓に出すことも、発酵を待つこともできます。全体の所要時間は、粥が冷める早さ、白菜の水の切れ具合、台所の暖かさで変わるので、時計の数字ではなく段階で見通しを立ててください。
この一回分で守ることは三つです。葉を芯につなげたまま割ること、厚い白い軸に塩をしっかり効かせること、ヤンニョムを薄く、全部の葉に塗ること。そのうえで、すぐ食べるか酸っぱくなるまで待つかを決めます。
しっかり酸味が出た白菜キムチは、キムチチゲのような煮込みにも使えます。ビビンバやキンパなど、ご飯ものの脇に添える料理でもあります。
キムチの中でも、白菜を葉ごと漬ける型
通白菜キムチは、白菜を大きな四つ割りの、葉がつながった形のまま漬けたキムチです。白菜を切らずに漬けるのが特徴で、배추김치(ベチュキムチ、baechu-kimchi)や포기김치(ポギキムチ、pogi-kimchi)とも呼ばれます。白菜をあらかじめ切ってから味付けするマッキムチ(막김치)は、別のレシピです。大根を角切りにしたカクテキや、唐辛子を使わない白キムチ(ペクキムチ)とも違います。調味料が同じでも、先に切るかどうかで工程も仕上がりも変わるので、この記事は葉ごと漬ける形だけを扱います。
韓国観光公社(VISITKOREA)は、白菜キムチをキムチと言えば一般にこれを指す型、毎食の食卓に上る副菜として紹介しています。ただ、キムチは白菜以外にもさまざまな形があります。ここで紹介する配合は一つの型の一つのレシピで、キムチ全体の代表ではありません。
この料理に使える食材・調味料
コチュカル、セウジョッ、もち米粉の選び方
韓国食材店か通販で探したいのは3つの材料です。一般名で検索するのが手早く、最初に目に入った商品で決めず、内容量と原材料表示を見比べてください。
コチュカルは、ヤンニョムの赤い色と辛さを決めます。粒の粗さや辛さは商品ごとに違います。一味唐辛子など別の唐辛子粉と同量で置き換えることはしないでください。食感も辛さも変わります。
セウジョッは、小えびを塩で発酵させたものです。分量を量る前に、漬け汁ごと刻みます。塩味とうま味の両方を担うので、抜いたり別のものに替えたりすると味が変わります。
もち米粉は、もち米から作った粉です。うるち米の米粉や片栗粉は、同じものとは考えないでください。
魚醤は、タイのナンプラーのように別の地域のものでも使えますが、味は変わります。韓国大根は、原レシピも認める一般的な大根で代用できます。水分と辛みは違ってきます。
にらとセリは、なくても成り立ちます。なくなるのは香りの層です。にらを省くなら、青ねぎ3本で代えるのが原レシピの提案です。
道具
- まな板と包丁
- 白菜を塩漬けにする大きくて浅い盆
- ざるまたは水切りかご
- 小鍋と木べら
- ヤンニョムを混ぜる大きめのボウル
- 食品用手袋
- 清潔な広口の保存容器(約3.6kg分なので、複数に分けることもあります)
道具は特別なものではなく、大きな盆とボウル、清潔な容器が準備の中心です。
うまくいかないとき:原因と対処
起きやすい失敗は表のとおりです。ほとんどは下ごしらえの段階で防げます。
| 起きたこと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 葉がばらけて塗りにくい | 芯を切り落としすぎた、または包丁で最後まで切った | 根元には浅い切れ目だけを入れ、手で割る。2回目の切れ目は芯の近くに入れ、四つ割りの葉をつなげておく |
| 塩辛すぎる | 塩漬けのあとの洗い方が足りなかった | 水切りの前に冷水で数回洗う。ヤンニョムに塩は足さない |
| ヤンニョムが水っぽくて薄い | 白菜の水切りが足りなかった | 塗り始める前に、ざるでしっかり水を切る |
| 粥が焦げた | 加熱中に鍋底を混ぜなかった | 約10分のあいだ、中火で鍋底から混ぜ続ける |
| 温かい粥にヤンニョムを入れた | 粥を冷まさなかった | 調味料を入れる前に、粥を完全に冷ます |
| ヤンニョムのない葉があり、根元だけ厚い | ヤンニョムを一か所に集中させた | 芯の近くの内側の葉も含め、全部の葉を持ち上げて薄く塗る |
| 開けるとシューッと鳴る、容器がふくらむ | ふたを閉めた状態で発酵のガスがたまった | 発酵中の容器は、ゆっくり慎重に開ける |
このレシピの範囲内でのアレンジ
- 青ねぎだけにする: 原レシピが任意としているにらとセリを省きます。にらの代わりに青ねぎ3本を使えます。香りは単純になりますが、キムチとして成り立ちます。
- 韓国大根を大根にする: レシピが認めています。大根の水分と辛みは少し違います。
- 砂糖を替える: タービナドシュガーの代わりに、ブラウンシュガーや白砂糖も使えます。
- 辛さを調整する: コチュカルは商品ごとに違います。量や種類を変えるとレシピが変わるので、それ自体を試す必要があります。別の唐辛子粉は同等の代わりになりません。
- 植物性のキムチ: このレシピは魚醤とセウジョッが前提です。単に抜くと、調味のバランスが変わります。最初から植物性として作られたレシピを使ってください。
- 切ったキムチ: 白菜を一口大に切ってから味付けするのは、マッキムチという別のレシピです。このレシピの簡易版ではありません。
キムジャン:冬に備えて、たくさん仕込む
キムジャン(김장)は、冬に備えてキムチをまとまった量で仕込み、分け合う習わしです。韓国観光公社は、寒い季節の前に家族が集まる慣習として紹介しています。ここで使ったレシピを書いたMaangchiは、母親が友人たちと大量の白菜キムチを仕込み、互いに手伝って持ち帰ったことを思い出として語っています。これは一つの家族の記憶で、韓国のすべての家庭の様子ではありません。それでも、このレシピがなぜたくさん作る前提なのかをよく示しています。
材料も、地域や家庭によって違います。韓国伝統知識ポータル(データ提供は韓国農村振興庁)の記録には、1997年の刊行物に基づく、白菜20kgで作る通白菜キムチが載っています。大根、セリ、からし菜、青ねぎ、魚醤、栗、牡蠣、もち米の粥などを使うもので、上のレシピとは材料の構成が違います。一つの正しいキムチがあるというより、家庭ごと、地域ごとの幅があります。この記事はそのうち一つを、最初から最後まで追いました。
よくある質問
味付けの前に白菜を切ってもよいですか?
できますが、そのときに作っているのはマッキムチのような切ったキムチで、葉ごと漬ける通白菜型ではありません。工程も仕上がりも変わります。切ったキムチにしたいなら、そのためのレシピに従ってください。
作ってすぐ食べられますか?
はい。原レシピは、できたてのフレッシュな味のまま食べても、発酵させてもよいとしています。
発酵に何日かかりますか?
室温によります。原レシピの室温で1〜2日は、その料理家の目安で、決まった日数ではありません。酸っぱい香りと味、上を押したときの泡を見て、冷蔵庫に移してください。
にらやセリがなくても作れますか?
作れます。どちらも原レシピでは任意の材料です。にらの代わりに青ねぎ3本を使えます。
魚介を使わずに作れますか?
このレシピでは無理です。魚醤とセウジョッが入っていて、抜くと別のレシピになります。ヴィーガンや魚介なしのキムチを作りたいなら、そのために考えられた別のレシピを使ってください。


















