盛り皿の上に、小さく丸めた深緑のほうれん草とくるみの団子。てっぺんにはザクロの赤い粒が散っています。そばには焼いたパンが添えられ、ちぎって少しずつ、冷たい前菜をすくって食べます。野菜とくるみの前菜がジョージアの食卓にそっと並ぶ、その一皿がプハリ(Pkhali、ფხალი)です。刻んだ野菜をナッツ、香草、にんにく、酢などと合わせる料理で、見た目の素朴さのわりに、口に入れるとくるみの濃さと酸味、香草の青い香りが順番に立ち上がってきます。
今回作るのはほうれん草版です。火を使うのは主に葉をゆでる工程だけで、あとは、くるみの脂と細かい粒が葉をひとまとめにしてくれます。油で揚げる団子ではありません。ゆでた葉を絞り、刻み、ナッツと混ぜて冷やす前菜です。丸められるほど濃く仕上がるかどうかは、水切りでまとまりが変わる、これに尽きます。生のほうれん草600gから4人分が作れ、冷蔵の2時間を含めて約3時間30分の作業計画です。
イメレティの春、食卓に並ぶ野草のプハリ

プハリはほうれん草だけの料理ではありません。ねぎ、キャベツ、なすなど、ほかの野菜で作るプハリもあります。つまり料理名が指しているのは特定のほうれん草のレシピではなく、野菜とナッツを調味して合わせるという共通の仕組みのほうです。野菜を替えて作る料理だと思っておくと、土地や季節による顔ぶれの違いも自然に受け止められます。
春の野草で作る種類もあり、フィールド・プハリと呼ばれます。ジョージア各地にあり、とりわけイメレティ地方を象徴する料理として紹介されています。上イメレティのフィールド・プハリを作る伝統には無形文化遺産の地位が与えられた、とジョージア政府観光局が紹介しています。ただし、いつ頃から作られてきたのか、最初に作ったのは誰か、全土でどのくらいの頻度で食べられているのかは、わかっていません。
野草版の紹介では、葉を強く絞りすぎず、ゆで汁で濃度を整える方法が挙げられています。一方、今回のような丸めるほうれん草版のレシピは、水をよく絞るところから始まります。同じプハリという名前でも、完成の形によって水切りの加減は変わります。丸めるならしっかり水切り、と覚えておいてください。
野草版には、地域ごとの小さな違いも紹介されています。政府観光局の野草版の紹介によると、グリアではヘーゼルナッツ・香草・酢を使い、カルトリでは油で炒めた玉ねぎと若いにんにくを、サメグレロでは酸味のあるトケマリと赤唐辛子を加える例があります。これは野草版の地域例で、すべてのほうれん草版に当てはまる決まりではありません。今回の材料表は、くるみで作る冷たいほうれん草版です。
途中で見つける、味の決め手
まとまらないときは、水と粒の大きさを確かめる
皿に置いたら水がじわっとにじんできた、というときは、葉や香草の水切りが足りなかったことを疑います。まだ混ぜていない葉なら、もう一度絞ってください。混ぜたあとは、まず冷蔵の2時間でまとまりを見ます。水が分離しても、油や酢を足して整えようとはしません。水がにじむか確かめるのは、冷やしたあとの皿の上です。どうしても丸められなければ、無理に団子にせず、浅い皿に広げて前菜として食べます。食感が変わるだけで、傷んだ料理を救う方法ではありません。
葉が長く残っていると、丸めた表面が割れやすくなります。混ぜる前に、もう少し細かく刻んでおきましょう。大きなくるみ片が残ってばらける場合は、次に作るとき、挽きを細かくします。冷やしても乾いて割れるだけなら、清潔な飲用水を水は小さじ1ずつ加えて混ぜます。一度に足しすぎないでください。
唐辛子は製品ごとに辛さが違うので、少量から加えます。混ぜたあとで辛さを減らすのは難しいからです。酢を足すときも少しずつにして、酸味を消そうとして砂糖や油を際限なく足すことはしません。生の玉ねぎの辛さと唐辛子の辛さは別のものなので、玉ねぎのほうは刻む段階で調整します。
冷蔵保存と食べる前の注意
生の香草と玉ねぎを加えたあとは再加熱しない料理です。混ぜた後は再加熱しないからこそ、手、まな板、器具をきれいに洗い、香草も流水で洗ってから使います。くるみアレルギーのある人には出さないでください。添えるパンの小麦なども、表示を確認しておきましょう。
くるみはアレルギーを起こしうるナッツです。食べる人のアレルギーと、商品の表示を確認してください。ナッツを挽いた器具やまな板を共有する場合は、混入にも気をつけます。ほかのナッツに替えることは、安全な代替としては勧めません。香辛料は食用として販売されているものを使い、観賞用の花や、種類を確認できない野草は材料にしないでください。
FoodSafety.govが示す一般的な食品安全の基準では、冷蔵庫は4℃以下で冷蔵、要冷蔵の食品を室温に2時間以上置かない、32℃を超える環境では1時間以内に冷蔵する、とされています。冷ます時間、混ぜる作業、盛り付けたあとの時間も、室温にあった時間として合計で数えます。浅い容器に入れて、速やかに冷蔵庫へ移しましょう。
プハリ専用の保存期限を確認できた資料はありません。ここでの編集部の提案は、少量を作って当日から翌日を目安に食べ切る、というものです。安全な期限を保証するものではありません。冷蔵中はふたをして、食べる分だけを清潔な器具で取り出します。長く常温に置いたものは、冷やし直しても安全になったとは考えないでください。冷凍は、葉とナッツの混合物の食感を保証できないため、このレシピでは勧めません。食べ切れる量を作るのがいちばんです。
栄養の数値は、FoodLabの原レシピにある1人分の推定値を4倍した、全量の概算です。任意のコリアンダーパウダー分は含みません。実測値ではなく、玉ねぎの大きさ、スパイスの端数、ゆで湯へ出る塩などで変わります。全量でおよそ1028kcal、たんぱく質39.2g、脂質81.6g、炭水化物61.2gで、前菜1人分の概算は257kcalです。











