ベルリンで「プファンクーヘン(Pfannkuchen)」を頼んでも、平たいパンケーキは出てきません。ベルリン市の公式ポータルによると、この街で Pfannkuchen といえば、イースト生地を油脂で揚げた握りこぶしほどの菓子のことです。平たい卵液の焼き料理のほうは Eierkuchen(アイアークーヘン)と呼ばれます。ドイツ語圏のほかの地域では、同じ菓子が Berliner(ベルリーナー)や Krapfen(クラプフェン)の名で通っています。
割ってみると、薄く色づいた皮と粉糖、その奥にジャムの詰まった小さな空洞が現れます。家で作るときに仕上がりを分けるのは、イースト生地を二度きちんとふくらませること、油温を温度計で測って一定に保つこと、そして冷めてからジャムを詰めることの三つです。
ベルリンでは、パンケーキではなく揚げ菓子
よくふくらんだやわらかいイースト生地、黄金色に揚がった皮、そして揚げて冷ましたあとに詰める控えめな量のなめらかなジャム。粉糖は最後にふります。
まず名前の話から入ります。Berlin.de は、ベルリンの人々がこの菓子をそのまま Pfannkuchen と呼び、ほかの地域では Krapfen や Berliner と呼ぶと説明しています。民俗学者のイレーネ・クラウス(Irene Krauß)が Wissensforum Backwaren のために書いた解説記事も、ドイツ語圏で呼び名が地域ごとに大きく揺れることを紹介しています。
| 地域 | よく使われる呼び名 | 補足 |
|---|---|---|
| ベルリン | Pfannkuchen | 平たい卵液の焼き料理はベルリンでは Eierkuchen と呼ぶ |
| ほかの多くの地域 | Berliner | 市外で広く使われる呼び名 |
| そのほかの地域 | Krapfen | 同じ揚げイースト菓子の仲間を指すもうひとつの一般的な呼び名 |
この表は、よく耳にする呼び名の目安として見てください。きれいに塗り分けられる地図ではありません。呼び名は重なり合い、詰め物や形も土地によって違います。
断食前の台所と、ベルリンの記録に残るもの
クラウスは民俗学の立場から、ドイツ語圏の揚げ菓子が、断食期の前に牛乳、卵、脂を使い切る習慣と結びつけて語られてきたと説明しています。揚げ生地は家庭の台所でも作れるものでした。記事は家庭で揚げるときの道具の変遷にも触れています。ただしこれは過去の習慣についての解釈です。今日の家庭がベルリーナーを食べる理由を説明するものではありませんし、ひとつの起源譚でもありません。
ベルリンについては、同じ記事が、都市が大きくなるにつれてこうした菓子が街頭で売られた様子、1795年の詰め物なしの版のレシピの記録、19世紀後半の販売記録を紹介しています。一方で、ジャムなどを詰めた形がベルリンでいつ定着したのか、確かな記録はないとも明言しています。
Berlin.de は「この菓子はベルリンで生まれた」という話を紹介していますが、あくまで伝説として扱っています。特定の発明者にまつわる話も同じ扱いにとどめるのが適切です。確かに言えるのは、ベルリンの人々がどんな名前でどの菓子を指しているか、ということです。
粉、ジャム、バター、イーストについて、買う前に知っておきたい点
- 小麦粉:レシピは Weizenmehl Type 405 を500g使います。粉の表示は国によって違うので、日本で売られている粉が同じものだと考えないでください。
- ジャム:なめらかなタイプを選びます。種や大きな果肉が入っていると細い口金が詰まるので、粒のあるジャムは裏ごしするか、種なしのものを選びます。果物の種類は好みで構いません。赤いジャムが定番の見た目ですが、風味は選んだ果物によって変わります。
- 生イースト:ドライイーストで作る場合は、お使いの製品の表示にある換算に従ってください。ここでは換算値を示しません。
- バター:有塩バターを使うと、仕上がりの塩味が変わります。
この菓子には小麦、乳、卵が含まれます。ジャムなど市販品の表示も確認してください。
使う道具
- 大きめのボウル
- 打ち粉をした作業台かまな板
- 軽く打ち粉をしたトレーか天板
- 清潔な布巾
- 揚げ物用の深くて厚手の鍋
- 揚げ物用の温度計
- 網じゃくしかスキマー
- 油を切る網かペーパー
- 細い口金をつけた絞り袋
色、ふくらみ、白い帯:うまくいかないとき
Wissensforum Backwaren の記事によると、よく発酵した生地は油に浮き、そのため真ん中に白っぽい輪、ドイツ語で Kragen(クラーゲン)と呼ばれる帯ができます。この帯は品質のしるしとされています。家庭で作ったものにはっきりした帯が出るとは限りません。保証ではなく、確かめてみる目安と受け止めてください。
| 状態 | 確かめること | 対応 |
|---|---|---|
| 生地があまりふくらまない | 牛乳が熱すぎないか、イーストの状態、発酵場所が冷えていないか | 牛乳は人肌に保つ。イーストの期限を確かめる。ボウルをもっと暖かい場所に移し、時間を延ばす |
| 外は濃く色づくのに中が生 | 油の温度が高すぎる可能性 | 温度計で約170°Cに戻し、一度に入れる数を減らす |
| 油っぽい、色づきが遅い | 油温の低下、二次発酵の不足、鍋に入れすぎ | 温度計、生地のふくらみ、一度に入れる数の順に確かめる |
| 白い帯が出ない | 生地が油の中でどこまで浮くか | 二次発酵で丸い生地がはっきりふくらんでから揚げる |
| 口金が詰まる | ジャムの種や果肉の粒 | なめらかなジャムを使うか、先に裏ごしする |
| ジャムが漏れ出す | 熱いうちに詰めた | 完全に冷ましてから詰める |
ドイツ連邦観光局(German National Tourist Board)は、12個分の別のベルリーナーのレシピを公開しています。生地を丸めずに伸ばして型で抜き、160°Cで約3〜4分揚げる作り方です。そのレシピでは、揚げたものに粉糖をまぶして冷ましてから、ジャムを詰めます。分量も時間もこのレシピとは違うので、二つを混ぜて使わないでください。
詰め物と仕上げを変える
Berlin.de は、ベルリンで見られるジャム以外の詰め物をいくつか挙げています。変化をつけるときの手がかりになります。
- ジャムを変える:なめらかなジャムなら何でも使えます。酸味の強い果物と甘い果物とでは、まったく違う味になります。いちばん手軽な変え方です。
- プラムムース(Pflaumenmus):濃いプラムのペーストで、Berlin.de が挙げる詰め物のひとつです。製品によって固さが違うので、口金を通るか試してください。
- カスタード:これも Berlin.de が挙げています。なめらかで絞り出せるものを選びます。
- 卵リキュール入りクリーム:Berlin.de は、卵のリキュール(エッグノッグ)入りクリームを地元の詰め物として紹介しています。アルコールを含むので、子ども向けではありません。市販品を使うほうが手軽です。
Berlin.de は、マスタードを詰めたプファンクーヘンにも触れていますが、人を驚かせるためのいたずらの変わり種としてです。もし試すなら、思いがけない詰め物やアレルゲンで困る人がいないよう、あらかじめ声をかけてください。
よくある質問
ベルリンのプファンクーヘンはパンケーキですか?
いいえ。ベルリンで Pfannkuchen といえば、この揚げイースト菓子のことです。平たい卵液の焼き料理は、ベルリンでは Eierkuchen と呼びます。
ベルリーナー、クラプフェン、ベルリーナー・プファンクーヘンは同じものですか?
近い関係にある、ジャム入りの揚げイースト菓子の地域ごとの呼び名です。レシピや詰め物は違うので、すべてが同一というわけではありません。
中には何を入れますか?
このレシピはなめらかなジャムを使います。ベルリンでは、プラムムース、カスタード、卵リキュール入りクリームなども見られます。
ジャムはいつ詰めますか?
揚げて冷ましたあとです。そのあとで粉糖をふります。
ドライイーストでも作れますか?
このレシピは生イースト42gを使い、ドライイーストへの換算値は示していません。置き換える場合は、お使いのイーストの包装にある説明に従ってください。
ベルリーナーはカーニバルのときだけのものですか?
Wissensforum Backwaren の記事は、カーニバルの時期に需要が大きく高まる様子を紹介する一方で、その季節以外にも揚げ菓子が作られ、売られていたことも述べています。カーニバルと強く結びついていますが、その時期に限られるわけではありません。
ドイツの料理もご覧ください。ほかの揚げ菓子と比べるなら、オーストリアのアップフェルキュッフレ(Apfelküchle)やアイスランドのクレイヌル(kleinur)もあります。生地も形もイーストでふくらませるこのベルリーナーとは違います。














