切ったとき、緑の層が立つラザニア
ほうれん草を練り込んだ淡い緑の卵パスタ、たっぷりでも多すぎないラグー、薄くクリーミーに広げたベシャメル、そして削りたてのパルミジャーノ・レッジャーノ。少なくとも6層に重ねて焼き、5分休ませてから切ることで、層が立つ仕上がりを目指します。
角型の耐熱皿がオーブンから出てきます。表面はパルミジャーノの焼き色で茶色く、そこから5分、じっと待ちます。最初の一切れを切り分けて皿に移すとき、緑のパスタ、ラグー、ベシャメル、チーズが重なったまま立っていること。ボローニャの登録レシピが目指しているのは、その瞬間です。
「ラザニア」という言葉だけでは、さまざまな焼き料理を指してしまいます。この記事で扱うのは、ボローニャ(イタリア)の緑のラザニア、ラザーニェ・ヴェルディ・アッラ・ボロニェーゼひとつです。ほうれん草で色をつけた卵入りの生パスタを、ボローニャ風ラグー、ベシャメル、パルミジャーノ・レッジャーノと重ねて焼きます。生地は手でこねて伸ばし、ラグーは約2時間煮込むので、台所に時間をかけられる日の料理です。
ボローニャ風の条件は、緑のシート・ラグー・ベシャメル・パルミジャーノ
ボローニャ風を決めるのは、4つの要素です。 エミリア=ロマーニャ州の観光局は、ボローニャ風の緑のラザニアを、緑の生の卵パスタにラグー、ベシャメル、パルミジャーノ・レッジャーノを重ねたものと説明しています。ボローニャの公式観光情報サイト Bologna Welcome が載せているレシピも、まさにこの組み合わせでできています。
名前や見た目が似ている重ね焼きが、すべて同じ料理というわけではありません。南イタリアの祝祭のラザニアは別の伝統で、この記事では扱いません。ナスと肉とベシャメルを重ねるギリシャのムサカも別の料理です。英語圏で「ジョージアのラザニア」と呼ばれることのある、ゆでた生地とチーズとバターを重ねたジョージアのアチマも同じです。こうして並べてみると、緑のボローニャ版が何を大事にしているかが見えてきます。
この料理に使える食材・調味料
器具
- 25×35cmで深さ6cm以上の耐熱皿
- シートをゆでる大きく深い鍋
- 2倍量のラグーを炒めて煮込める厚手の鍋(1回分なら直径約20cmの鍋)
- ベシャメル用の小鍋
- 麺棒またはパスタマシン
- 包丁
- 木べら
- 網じゃくしまたは穴あきおたま
- 清潔な綿か麻の布
- つまようじ
- キッチンスケール
- オーブン
日本で材料をそろえるときの判断
00粉。 見つからないときは、中力粉が編集部の考える代替候補です。ただし、生地の弾力や水分の吸い方が変わります。加水や粉の量をどう調整すればよいかは試していないので、同量で置き換えられるとは考えないでください。強力粉と薄力粉を、とくに理由なく混ぜて00粉に似せるのも避けましょう。
ほうれん草。 生のほうれん草から始める場合は、ゆでて固く絞り、水気を切った後で350gを量ります。冷凍ほうれん草は、解凍してよく絞ってください。ポイントは、レシピと同じ「加熱して、絞って、刻んだ」状態にそろえることです。
パルミジャーノ・レッジャーノ。 組み立てる直前に、塊から削ります。市販の粉状の「パルメザン風」チーズは同じものではありません。手に入りにくいときは、ほかの硬質の熟成チーズでも代用できますが、風味は変わります。
パンチェッタ。 pancetta di maiale(豚のパンチェッタ)を使います。豚ばら肉が候補のひとつです。塩漬けなどの加工品や国内のベーコンを、同じ材料と決めつけないでください。
牛肉。 cartella、pancia、fesone di spalla、fusello といった部位の粗挽きを使います。日本では粗挽きの牛肉が使えますが、脂肪の割合はこれらの部位と違うかもしれません。
ワイン。 アルコールを避けたいなら省くこともできますが、ラグーの味は変わります。
乳製品。 乳製品を使わない作り方にすると、ベシャメルの風味ととろみが変わり、別の料理になります。
生地がゆるい、シートが破れる、切ると崩れる:失敗の戻し方
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 生地がゆるすぎる | ほうれん草の水気が残っている | ゆでたほうれん草を刻む前にしっかり絞る。粉を足す前に生地の水分を確かめ、足すなら最小限に |
| 鍋の中でシートが破れる、くっつく | 一度に入れすぎた、またはゆですぎ | 少しずつゆで、浮いたらすぐ取り出し、布の上で重ねずに乾かす |
| 層のあいだにすき間ができる | ソースのむら、空気が入っている | ラグーとベシャメルを薄く均一に広げて空気を抜き、シートにつまようじで3〜4か所穴を開ける |
| 食べると重い | ラグーが多すぎる、ベシャメルが厚すぎる | ラグーは「たっぷりだが過剰でない」量、ベシャメルは薄いクリーミーな層にとどめる |
| 切ると崩れる | オーブンから出してすぐ切った | 5分休ませてから切る |
登録レシピからの変更案
ここから先は、登録レシピからの変更です。ボローニャ版そのものではなく、実用的な選択肢として紹介します。
- 00粉の代わりに中力粉。 食感が変わります。生地に必要な水分量は確かめていません。
- 生のほうれん草を使う。 ゆでて水を切り、絞った後で350gを量ります。生地が水っぽくなるのを防ぐためです。
- パスタマシンがない場合。 麺棒で手伸ばしします。レシピに厚さの指定はないので、破れない範囲で薄く伸ばします。
- ラグーを先に始める。 長い煮込みを先に始め、同じ調理の流れの中で生地とベシャメルを仕上げます。使った資料に保存の指針はないため、この記事では作り置きの保存方法は案内しません。
- 乾燥ラザニアシートや、緑でない黄色い生パスタを使う。 実用的な代替ですが、緑のスフォリアの香りと食感とは違うものになります。ゆで方は、このレシピの手順ではなくパッケージの表示に従ってください。
由来とボローニャの食卓
ここで使っているのは、登録されたレシピです。 Bologna Welcome とボローニャ市立図書館の年表(Bologna Online)によると、イタリア料理アカデミー(Accademia Italiana della Cucina)が2003年にボローニャの緑のラザニアのレシピを定め、2003年7月4日にボローニャ商工会議所に寄託しました。Bologna Online は、寄託されたレシピに近いものが1930年代に現れ、ベシャメルを含んでいたことも記しています。「ラザーニェ」に関連する言葉はもっと古くからありますが、だからといって今の焼いて重ねる料理が昔から同じ形であったとは限りません。この記事では、古い料理を同じものとは扱いません。
緑のパスタは、もう少し広い伝統の中にあります。エミリア=ロマーニャ州の観光局は、手打ちの卵パスタをこの地域の食の大きな特徴として紹介しています。Bologna Online は、寄託されたラザニアの緑の生地に、小麦粉と卵のほかにほうれん草が入ることを記録しています。ラグーもこの街と深く結びついていて、Bologna Welcome は、そのラグーのレシピを、1982年にイタリア料理アカデミーのボローニャ支部が寄託した古典的な配合の更新版として紹介しています。
同じ地域の詰め物入り卵パスタなら、トルテッリーニもあわせてどうぞ。
登録されたレシピは、基準点であって、すべての台所が守る決まりではありません。州の観光局は、伝統料理は家庭ごと、土地ごとに違いがあるとも述べています。登録版は、家庭で作られてきた多くの同じ料理と並ぶ、ひとつのはっきりした基準として、これから作る手がかりにしてください。
よくある質問
「アッラ・ボロニェーゼ」のラザニアとは?
ここで紹介する版では、ほうれん草入りの緑の卵パスタ、ボローニャ風ラグー、ベシャメル、パルミジャーノ・レッジャーノを重ねて焼いたものを指します。
パスタの緑色は何で出しますか?
ほうれん草です。ゆでてよく絞り、刻んだほうれん草350gを、00粉700g、卵3個と一緒にこねます。
乾燥のラザニアシートで作れますか?
変更案としては作れますが、登録された緑の手打ちスフォリアとは別の仕上がりになります。シートのゆで方は、このレシピの「浮くまでゆでる」ではなく、パッケージの表示に従ってください。
何層に重ねますか?
少なくとも6層です。
何度で何分焼きますか?
約180℃に予熱したオーブンで25〜30分です。オーブンや皿で差が出るので、表面の焼き色と層のまとまりも確かめてください。切る前に5分休ませます。
なぜラグーを使い切らず、1kgを量るのですか?
ラザニアのレシピは完成したラグー1kgを求めていますが、ラグーのレシピ自体には完成量が書かれていません。ラグーを2倍で仕込み、煮上がってから1kgを量り取ることで、ラザニアの配分を保てます。足りないときは、水を足さずに同じ配合でラグーを追加してください。

















