黄金色に揚がったひし形のイムアレットと、切り口から見える濃い茶色のデーツ餡
🔪下準備1時間30分
🔥調理15分
🌍料理マルタ料理

イムアレットの作り方|マルタのデーツ入り揚げ菓子

約16分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 6

デーツを浸す

手順1: デーツを浸す

熱湯500mlを耐熱容器に入れ、種がないか確かめて1cmほどに刻んだデーツ250gを浸します。火にはかけず、そのまま1時間置いてください。熱湯を扱うので、容器が安定する平らな台の上で作業します。

スプーンで押すと潰れる柔らかさが目安です。硬ければ15〜30分ほど足してください。浸した水はあとで捨て、餡の水分にはしません。

STEP 22 / 6

生地をまとめて休ませる

手順2: 生地をまとめて休ませる

作業は約10分です。小麦粉300g、砂糖12g、塩小さじ1/4を混ぜ、冷たい2cm角のバター100gを指先ですり込みます。大きな塊が豆粒ほどになるまで潰してください。

冷水120mlと花の水5mlを加え、フォークでまとめて、ひと塊の円盤にします。細かな粉っぽさが少し残っても、強く練って消そうとしないでください。ラップで包み、冷蔵庫で1時間休ませます。まとまらないほど乾いている場合だけ、水を小さじ1ずつ補います。

STEP 33 / 6

水切りして餡を作る

手順3: 水切りして餡を作る

作業は約5分です。柔らかくなったデーツをざるに上げ、漬け水を十分に落とします。花の水5ml、シナモンとクローブ各小さじ1/4と合わせ、フードプロセッサーで短く数回回してペーストにします。刃に触れる前に、必ず電源をオフにしてください。

スプーンに盛って流れ落ちず、生地に塗れる粘度が目標です。硬ければ水を小さじ1以内で少しずつ加えます。緩ければ、少量ずつ弱火で2〜5分混ぜて水分を飛ばし、室温まで冷ましてから使います。この戻し方は家庭向けの調整です。

STEP 44 / 6

生地を伸ばして餡を包む

手順4: 生地を伸ばして餡を包む

作業は約10分です。冷蔵した生地を2等分し、打ち粉を薄く振った台で、それぞれ30cm×15cm前後、厚さ5mmを目安に長方形へ伸ばします。寸法は家庭向けの目安なので、厚さを優先してください。

長辺を手前にして、餡の半量を下半分に平たく塗ります。手前の端には5mmの余白を残します。上半分を折り重ね、長い合わせ目を押して封じてください。もう半分も同じように作ります。餡は山盛りにせず、均等に広げます。

STEP 55 / 6

ひし形に切り分ける

手順5: ひし形に切り分ける

作業は約5分です。封じた帯をそれぞれ斜めに6等分し、合計12個に切ります。幅は5cm前後が目安で、形より厚さを揃えてください。斜めの断面に餡が見えるのは、この作り方では普通のことです。

封じた長辺が開いていないか確かめ、開いていたら指で押し直します。切り口に出た餡を、すべて包み直す必要はありません。生地が柔らかくて持ち上がらないときは、覆って冷蔵庫で10〜15分冷やしましょう。

STEP 66 / 6

少量ずつ揚げる

手順6: 少量ずつ揚げる

深い鍋に油800mlを入れ、中火で180℃まで上げます。180℃で少量ずつ揚げるのがこの工程の要です。温度を測りながら3〜4個ずつ入れ、1回につき約5分、途中で返します。全体が黄金色になり、生地に小さな気泡ができたら取り出してください。3回で約15分を見込みます。

時間だけで引き上げず、厚い部分の焼き色と、生地の火の通りを確かめます。焦げそうなら火を弱め、次の組を入れる前に180℃へ戻してください。キッチンペーパーで油を切り、網に移します。餡が熱いので、少し冷ましてから食べましょう。

休ませた生地が、伸ばすとすぐ裂けるときは、乾燥しているか冷え過ぎています。まず室温で5分置き、それでもばらばらなら、濡らした指で少量の水をなじませてください。粉を大量に足すと、生地が固くなります。

反対に台へべたつくときは、生地が温まり過ぎています。覆って冷蔵庫で10〜15分冷やし、打ち粉は10gを目安に薄く使います。乾燥とべたつきは、同じ対処では直りません。

揚げている間は、鍋から離れないでください。油から煙が出たら火を止めます。鍋の取っ手は通路側に向けず、近くに鍋を覆えるふたを用意しておきましょう。

揚げた直後は、外側よりも餡に熱が残りやすくなります。取り出したら5分ほど置き、ひとつ割って温度を確かめてから出してください。5分は安全を保証する基準ではなく、食べる前の目安です。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

準備

買い出しの前に

生地は小麦粉300gに無塩バター100g、餡は種を除いたデーツ250gです。大さじ1の砂糖は生地にだけ入ります。今回は揚げる方法で、工程の時間と成形寸法の目安を補った、家庭向けに調整した配合です。種付きのデーツなら、種を取ってから量ってください。種を除いて250gが基準です。種なしと書かれていても、残った種がないか一粒ずつ確かめ、硬い部分があれば取り除きます。

デーツ、小麦粉、バターとシナモン、クローブ、花の水を揃えたイムアレットの材料
餡の甘さはデーツ、生地には少量の砂糖を加える
7品目

生地

材料 分量 代替・備考
小麦粉 300g 中力粉を基本に、薄力粉150gと強力粉150gでも可。後者は家庭向け代替で食感が同一とは限らない
無塩バター 100g 冷たいまま2cm角。マーガリンの作例もあるが、今回はバター
砂糖 大さじ1(12g) 生地に混ぜる
塩 小さじ1/4 餡ではなく生地に混ぜる
冷水 120ml 生地用。足す場合は小さじ1ずつ
オレンジフラワーウォーター 小さじ1(5ml) 食用。省く場合は冷水を125mlにする
打ち粉用の小麦粉 10g 作業台へ薄く振る。全量を練り込まない
5品目

デーツの餡

材料 分量 代替・備考
デーツ(種なし) 250g 砂糖やシロップを加えていない乾燥デーツ
熱湯 500ml 浸すための目安。全体が浸る容器を使い、漬け水は餡に混ぜない
シナモンパウダー 小さじ1/4 デーツと合わせる
クローブパウダー 小さじ1/4 香りが強いので量を増やさない
オレンジフラワーウォーター 小さじ1(5ml) 食用。省く場合は餡の固さを見て、水を0〜5ml加える
1品目

揚げ油

材料 分量 代替・備考
植物油 800ml 直径18cm前後の深い鍋で深さ3〜4cmの目安。使用器具の安全な油量を優先し、鍋に対して量が多い場合は鍋を替える

オレンジフラワーウォーターは、オレンジの花の香りを付ける食用の水です。果汁や皮とは香りが違うので、同量のオレンジジュースに置き換えることはしません。買うときは食品用の表示を確認し、化粧水や香料用は選ばないでください。花の水は食品用を選ぶことが大切です。なくても、デーツとスパイスの菓子として仕上がります。花の香りまで再現したいときに用意する価値があります。生地の小さじ1を省くなら、その5mlは水に戻してください。

コツ

デーツは商品ごとに乾き具合が違います。漬けたあとは、指ではなくスプーンで押して潰せるかを確かめてください。1時間が基本で、まだ硬ければ15〜30分ほど追加で浸します。レーズンに替えると、粒の皮と酸味が変わるので、同じ餡にはなりません。

注意

この菓子には、小麦粉の小麦とバターの乳が入っています。小麦や乳で症状が出る方は食べないでください。マーガリンに替えても乳成分がなくなると決めつけず、加工食品の原材料表示を確認しましょう。食物アレルゲンを避ける必要がある方は、原材料表示を見て、原因となる食品を使わないでください。

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栄養情報 1人分の目安
86kcal
エネルギー
1.0g
タンパク質
4.0g
脂質
12.0g
炭水化物
0.7g
食物繊維
17mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。
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材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

マルタの村のfestaで、屋台の油から上がってきたひし形の菓子が紙の上に並びます。表面には小さな泡が立ち、黄金色に揚がった皮。割ると、濃い茶色のデーツ餡からふわりと湯気がのぼります。イムアレットを売る屋台は、そんな祭りの風景のひとつです。薄い生地と濃いデーツ餡の対比がこの菓子の魅力で、甘さの中心はデーツにあります。生地に入れる砂糖は大さじ1だけです。

Imqaretはマルタのデーツ入り菓子で、伝統的には揚げて作ります。家庭では焼く作り方もあります。小麦粉、バター、デーツがあれば作れて、オレンジフラワーウォーターは入れなくてもかまいませんが、入れると香りが変わります。難しいのは材料の多さではなく、水切りした餡を作ることと、5mm厚の生地で餡を封じる工程です。つまり餡の水分と生地の厚さが出来を左右します。12個できて、1人2個なら6人分。休ませる時間を含めて約1時間45分を見てください。

マルタの祭りと家庭に残る、ひし形の菓子

Imqaretは複数形で、単数形はmaqrutといいます。Maltese E-Newsletter 274(2019年6〜7月号、12ページ)は、このmaqrutをアラビア語のひし形に結びつけ、アラブ文化の影響が残る菓子として紹介しています。斜めに切ればひし形になるので、名前に残るひし形は台所でもすぐ確かめられます。ただ、同じ資料には長方形の作例もあり、四辺の整った形だけが正解とは言えません。いつ伝わったのか、誰が作り始めたのか、特定の征服者が持ち込んだのかといったことは、資料からは確かめられないので、ここでは触れません。

同じニュースレターによると、この菓子はレストランやカフェ、家庭、そして祭りの屋台で出会えるものです。クリスマスの時期に紅茶と楽しむ例も挙がっていますが、クリスマスだけの菓子ではありません。揚げたてを屋台で受け取る場面もあれば、家でお茶を入れて、その横に置く場面もある。祭りの屋台からお茶の時間へと、食べる場所は広がっています。

レシピには家庭ごとの違いもあります。地域ごとに決まった配合があるとは確認できていないので、マルタ島とゴゾ島の違いのように分けることはしません。確かめられたのは、作り手による違いです。柑橘の果汁や皮、アニスシードやアニスのリキュールを使う配合があり、シナモン、クローブ、花の水を使う配合もあります。政府サイトに掲載されたニュースレターには、アニス、柑橘、バニラを使う例がありました。現地の料理家Alison Cashaの焼き版は、小麦粉、マーガリン、オレンジ、デーツ、八角で作ります。すべての家庭が同じスパイスを使うわけではありません。

豆知識

チュニジアのマクルードと見た目が似ていても、今回のイムアレットは小麦粉とバターの生地で作り、蜂蜜の蜜にはくぐらせません。セモリナ粉も必須の材料ではありません。生地と蜜の作り方が気になる方は、マクルードのレシピを見比べてみてください。ただし、両者が同じ料理だとも、片方がもう片方の直接の祖先だとも言えません。


焼く日、香りを変える日

揚げる代わりに焼くこともできます。成形までは同じです。190℃に予熱したオーブンで、紙を敷いた天板に間隔を空けて並べ、約15分焼きます。表面が薄い黄金色になり、生地がさっくりしたら焼き上がりです。焼くなら190℃で約15分で、油800mlは使いません。揚げれば細かな気泡のある皮に、焼けばビスケットに近いさっくりした皮になります。焼き時間は家庭のオーブンで差が出るので、色が薄ければ2〜3分ずつ足してください。これも家庭向けの調整です。

オレンジの果汁や皮を使う、現地料理家の作例もあります。今回の餡に皮を足すなら、よく洗ったオレンジ1/2個分の色の付いた部分を、細かくすりおろします。これは家庭向けの案です。白い部分は苦味が出るので、深く削らないでください。花の水を省いたときも、柑橘の皮で香りを足せます。ただし花と果皮は別の香りです。果汁を餡に大量に加えると緩くなってしまうため、皮だけにとどめます。

豆知識

アニスシードを使う現地の配合もあります。今回の餡を変える家庭向けの案は、クローブ小さじ1/4を抜き、軽く潰したアニスシード小さじ1/2を加えるやり方です。Alison Cashaの配合には八角を使う例もありますが、アニスシードと八角は、同量で置き換えられる材料としては扱いません。リキュールを使う配合もあります。ただ今回の材料には入らないので、ここでは酒を使わない香りの案を紹介しました。

変え方 分量・方法 変わる味と食感
オーブンで焼く 190℃、約15分 揚げた皮の気泡より、さっくりした焼き菓子の食感
花の水を省く 生地は冷水125ml、餡は水0〜5ml デーツとスパイスを中心に楽しめる
オレンジの皮を加える 餡へ1/2個分の表皮 花の香りより果皮の爽やかな香りが前に出る
アニスを加える クローブを抜き、潰したアニスシード小さじ1/2 甘いリコリス系の香り。現地作例を参考にした家庭向け案
甘い香りを控える クローブを抜き、シナモンは小さじ1/4のまま デーツの風味が分かりやすくなる家庭向け案

お茶の食卓と、残った分の扱い方

ニュースレターには、紅茶やアイスクリームと一緒に食べる例も載っています。揚げた菓子が少し冷めたら、甘みを付けない紅茶かコーヒーを添えて出してみてください。これは家庭向けの提案です。アイスを添えるなら、熱々の餡を安全に食べられる温度まで冷ましてからにしましょう。ソースや蜂蜜を重ねなくても、甘さの中心はデーツです。

デーツ餡を包んだ菓子をもっと作りたい方には、マアムールのレシピがあります。薄く包んで揚げる今回の菓子と、型で形を付ける菓子を並べて作ると、同じ餡の違う表情が見えてきます。どちらが古いか、どちらがより本場か、どちらが健康的かといった比べ方はしません。

作った当日は、食感を楽しみやすいときです。残った分は清潔な浅い容器に小分けし、長く室温に置かず、冷蔵庫へ入れてください。小分けして早く冷やすのが基本です。再加熱は、中心まで十分に、75℃以上を目安にします。イムアレット固有の保存試験は確認していないので、常温で何日、冷蔵で何日、冷凍で何か月といった安全な期間は保証できません。作り置きより、当日に食べ切れる個数を作ることを優先してください。

コツ

冷蔵した分は、冷たいまま出さず、160℃に予熱したオーブンで5〜10分を目安に温めます。中心温度が75℃以上になっているか、確かめてください。これは家庭向けの方法です。焦げそうな表面には、アルミホイルを緩くかぶせます。

時間をかければ温度に届くとは限りません。器具や食品の大きさで差が出ます。電子レンジだけで温めると、生地が柔らかくなりやすいです。怪しい臭いや変色があれば食べないでください。ただし、外見や臭いだけで安全を判定できるわけではありません。

よくある質問

デーツはレーズンで代用できますか?

この菓子の中心は、デーツのねっとりした餡です。レーズンは皮と酸味が違うため、同じ分量で同じ仕上がりになるとは言えません。デーツを主役にするつもりで、種なしの乾燥デーツを用意してください。

フードプロセッサーがなくても作れますか?

作れます。浸水後にスプーンで潰せるまで柔らかくして水切りし、包丁でごく細かく刻んで、スパイスと花の水を混ぜます。包丁を使う時間は5〜10分ほどが家庭向けの目安です。なめらかさは機械に及びませんが、餡が流れず塗れる状態を目指してください。

生地の合わせ目が開くのはなぜですか?

考えられる原因は、餡を端まで塗ったこと、餡の盛り過ぎ、生地が温まっていたことです。成形のときに5mmの余白を残し、開いた長辺は油に入れる前に押し直してください。長い合わせ目を閉じるのは、鍋に入れる前の仕事です。斜めに切った断面に餡が見えるのは正常です。油の中で、指や箸で無理に封じ直すことはしないでください。

辛いスパイスの菓子ですか?

唐辛子は使いません。シナモンとクローブは香り付けです。クローブの香りが苦手なら、抜いても作れます。これは家庭向けの案です。花の水も省けますが、香りの構成は変わります。

前日に用意するならどこまでですか?

前日から室温に置いておくことは、おすすめしません。今回の工程は、デーツの浸水と生地の冷蔵を、当日に並行して進める作りです。途中で中断するなら、冷蔵庫に入れてください。イムアレット固有の作り置き試験は確認していないので、日数の保証はできません。当日の仕込みを基本にしてください。

栄養の目安

1人分2個の概算は、518kcal、たんぱく質6g、脂質24g、炭水化物72g、食物繊維4g、ナトリウム102mgです。この数字は、No Frills Kitchenの焼き版1個(214kcal、たんぱく質3g、脂質7g、炭水化物36g、食物繊維2g、ナトリウム51mg)を2倍し、揚げ油の吸収を1人10gと仮定して90kcalと脂質10gを加えた、編集上の推計です。実測ではなく、吸油量の保証でもありません。吸油量を仮定した概算だと考えてください。

油温、揚げ時間、大きさによって、吸油量は変わります。焼く場合の同配合の参考値は、2個で428kcalですが、アレンジ後の栄養値は保証できません。打ち粉や代替材料でも差が出ます。表の1人分は2個として計算していることも、覚えておいてください。

主な参考リンク

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